前回の連載のなかで、
「ご実家などに眠っている
ファンシーなグッズはありませんか?」
と、呼びかけたところ、
メールやツイッターで
たくさんの投稿をいただきました。
どうもありがとうございます!
なんとメロさん、ほぼ全ての方の
投稿写真を鑑定してくださったんです。
ぱっと見ただけで、「あ、これはですね~」と
あらゆる方向に話が進んだ鑑定の様子を、
そのまま、こってりとお伝えします。
レアで貴重な「ファンシー絵みやげ」の数々、
その当時の時事ネタもおたのしみください。
担当はほぼ日のフジタです。

>山下メロさんのプロフィール

山下メロ(やましためろ)

ファンシー絵みやげ研究家。
1980年代・90年代の庶民風俗を研究。
特に観光地のファンシーイラストが描かれた
お土産雑貨=「ファンシー絵みやげ」を
収集・研究しており、
各種メディアで保護を訴えている。
所有するファンシー絵みやげは17000種を超える。

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第10回 メロ賞を発表します。

ーー
長い時間をかけて
鑑定していただきました。
メロ
たくさんありましたね。
ーー
メロ賞の発表に入る前に、
メロさん宛に
こんなメッセージが届いていました。
前回の記事を読んでくださった方からです。

ファンシー絵みやげの記事を拝読して、
「気づいた人の責任」として
連絡差し上げたくなりました。
「今、こんなにネットで
言及されていないものがあるのか。歴史の中に
確かに存在したものが忘れ去られている」
という文章を読んで、
私にもひとつ心当たりがあるのです。
(※中略)
気づいたからには、調査して保護する活動を
したほうがいいのでは、と思いはじめました。
私にもできるでしょうか?
(ホリイ)

ーー
メロさんの活動を見て、ご自身も
「ネットで言及されてないものがある」ことに
気づかれたそうです。
その内容を書いてしまうと、
ホリイさんの、ひょっとしたら今後行うかもしれない
調査活動に差し障りがあるといけないので、
記事にするときには略しますが、
メロさんは全文を読んで、
アドバイスをお願いできますか。
メロ
なるほど、ホリイさん、
おもしろいテーマです。
「私にもできるでしょうか」ということですが、
はい、できます。
やるかやらないかだけで、やるべきです。
というか「気づいた人の責任」ですよ(笑)。
大きな発見に結びつくかもしれないし、
ちょっとした答えがわかるだけで終わるかもしれない。
見返りを問わず、ぜひやってください。
なんなら手伝います。
ーー
ホリイさん、ぜひ挑戦してみてください。
では、まいりましょうか。
メロ
メロ賞決めますか。
ーー
お願いします!
メロ
すごく悩ましいです。
鹿児島の西郷どんと薩摩おごじょの
ペアキーホルダー(※第4回)もよかったし、
上州路の国定忠治のキーホルダー(※第6回)も
よかったですね。
どれもいいんだけど‥‥
やっぱり、最終的には、これです!

ーー
わーーーーー、やはり、これですか。
メロ
はい。メロ賞です。
ーー
すごい。
あらためて投稿をもう一度みてみましょう。

連載を興味深くよみました。
そして!なんと!初代と思われる、
このキーホルダーがありました。
忘れていたのですが、
1985年(わたくし、14歳)、
札幌の陸上全国大会で購入したか、
もらったかしたもののようです。
比べてみると、
尻尾のようすがちがうので、
本物ではない可能性もありますが‥‥。
ぜひ、鑑定をお願いいたします。
(satoko)

(※第3回に登場した投稿です)

ーー
satokoさん、おめでとうございます。
メロさん、選んだ理由を教えてください。
メロ
これはまず、もの自体に年号が書かれていること。
そして、ジュニアハイスクールミーティングという、
特定の場所でしか手に入らないレア度。
ファンシー絵みやげの最初とされる
ナキギツネであるということ。
どの側面から見ても貴重なものです。
かわいさとか絵の良さとか以上に、
ものとして貴重です。
特定の大会向けに作られたなんて、
絶対手に入らない。
ーー
メロさんの
「欲しい度」も一番高いですか。
メロ
はい。欲しい度も一番高いです。
これが出てきたときから、
本当にいいなあ、と思ってまして。
ただ、これを超えるものが
出てくる可能性もあるので、
確定はできてなかったですけど、
これがずっと暫定1位でした。
他のものも、それぞれの良さがありつつも、
これを超えてくる要素としては難しかった。
みなさんの思い出の中のものなので、
本当はどれもいい。
優劣つけられる話ではないですよね。
でも、あえて選ぶなら、
これがやはり突出してる部分が多かったので、
決めました。

ーー
たしかに。どれも素晴らしかったですけど、
やっぱりこれは相当貴重なんですね。
「ジュニアハイスクールミーティング」ですから。
メロ
1985年に14歳だったんですね。
ーー
35年前のものを大事にとっておいてくださって。
さて、「メロ賞」の賞品は、
メロさんのコレクションのなかから
選んでいただくことになってます。
メロ
はい。決めました。
「おコン!」のキーホルダーにする予定です。
ーー
おコン‥‥というと、
キツネつながり?
メロ
はい。北海道で買ったものです。

▲「メロ賞」賞品のキーホルダー。
「革に金属が貼ってあります。
こういうデザインなら今も使えるかなと」とメロさん。
▲「メロ賞」賞品のキーホルダー。 「革に金属が貼ってあります。 こういうデザインなら今も使えるかなと」とメロさん。

ーー
satokoさんには副賞として
「ほぼ日」からもお茶やカレー、タオルなどが入った
「ほぼ日グッズつめあわせセット」をお送りします。
satokoさんには、あらためてこちらから
メールを差し上げますね。
‥‥さて、2日間かけてたっぷりと鑑定しましたけど、
メロさん、いかがでしたか?
メロ
自分でもたくさん発見があって、
おもしろかったです。
こんなに多くの方に送っていただいて、
ありがとうございました。
何十年もファンシー絵みやげを
大事に取っておいてくれた、
ということもうれしかったです。
そして、いつか、もし不要になったときは、
捨てる前に私に送ってください。
責任をもって保護します。
ーー
隣で鑑定を聞いていて、
全国の、いろんな情報を知ることができました。
なんというか「日本を一周した」といっても、
メジャーなところを
ぐるっと周ったわけじゃなくて、
メロさんの場合、本当に細かい場所まで
くまなく歩いて調査して、
しかも1回じゃ見落としがあるかもしれない、
ということで
場所によっては2~3周しているわけですよね。
そのことの凄さがよくわかりました。
メロ
やっぱりその土地の歴史まで知らないと、
ファンシー絵みやげについて
語れない部分が多いので。
もともと一人旅とか
できないタイプだったんですけどね(笑)。
ーー
引き続きの保護活動、応援してます。
メロさん、どうもありがとうございました。
投稿してくださったみなさまも、
本当にありがとうございました!

鑑定中、何度も「欲しいな」「すごいな」とつぶやくメロさん。 鑑定中、何度も「欲しいな」「すごいな」とつぶやくメロさん。

(おわります)

2020-04-09-THU

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