次第に日差しがあたたかくなってきました。
きれいで、やさしくて、おいしいものが
大好きなわたしたち。
親鳥であるニットデザイナー・三國万里子さんの審美眼に、
ときめきに花を咲かせる4人が水鳥のようにつどい、
出会ったもの、心ゆれたものを、
毎週水曜日にお届けします。
「編みものをする人が集える編み会のような場所を」と、
はじまったmizudori通信は、
ニットを編む季節の節目とともに一旦おやすみします。
ニット風景も一挙ご紹介です!

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♯009

2020-12-23

福岡市の三菱地所アルティアムというアートスペースで
「編みものけものみち 三國万里子展」
という展覧会を開催しています。
会期は12月の19日から年明け1月31日まで。
わたしは準備のために16日に福岡に行って、
3日かけて会場の設営をしました。
というとわたしが一人でやったようですが、
もちろんそうではなくて、
企画を一年近くかけて進めてくれた
担当キュレーターの山田さん、
デザイナーの竹藤さんと、
さらに「インストーラー」という美術展の設営の専門家の方がお二人、
他にも多くの方が関わって会場が作られました。
おかげで無事開幕して、来場者の方に
楽しんでいただけているようでホッとしています。
山田さん曰く「好きなように見て回って、
ご自分のヒントになるようなものを
一つでも二つでも見つけて、連れ帰ってもらえるとうれしい」と。
わたしも同じ気持ちです。
一人の女性が「編みもの」を通して仲間と知り合い、
仕事を得て、表現の道を歩んでいくという道筋を
作品と私物、文章で構成した展示ですが、
「この人はそれなりに成功したからよかったね」
で終わるような内容にしてしまったら、おもしろくない。
以前もmizudoriのコラムで書いたように
展覧会の裏テーマは「孤独と愚鈍」で、
そういう人でもなんとかやってるし、
そういう人だからこその生き方っていうのもあるのか、
というサンプルにしてもらえたらいい。
そして「自分ならどんな道を行くのか」ということを
考えるときの材料の一つになったらいいなと思います。
展覧会とは関係ないのですが、
会期中に不思議なことがありました。
初日の夜、食事に行った帰り道にふとしたことから
身につけていた指輪のダイヤモンドが取れてしまったのです。
今年の仕事が無事に済んだ記念にと
先日買ったばかりの指輪でしたが、
物自体は100年以上前のアンティークだったため、
どこかもろくなっていたのだろうと思いました。
あとで修理に出そうと輪の部分と一緒に紙ナプキンに包んで
ポケットに入れていたのですが、
ホテルに戻って取り出そうとした時には失くなっていました。
この感染症のご時世、道に折りたたまれた紙ナプキンが落ちていても、
拾って開けてみる人もいないでしょうし、
雑踏の中でどこかに紛れてしまったのだろうなと思います。
不注意を後悔しましたが、仕方ありません。
そして話はここで終わらず、翌日のこと。
編みもののワークショップが午前中にあり、
講師として受講者を教えながら
部屋の中を歩き回っていたところ、
会を手伝ってくれていた編集者の三角さんに
「これ落ちてましたよ」と小さなものを手渡されました。
それは10年以上お守りのように身につけてきた大事なペンダントで、
見るとチェーンがちぎれていました。
なんだか気味が悪い。
二日続けて、身につけていたジュエリーが壊れ、
落としてしまうなんて、どういうことだろう…。
でもね、そんな不安な気分は長続きしませんでした。
わたしには経験からの信念というか、
実感のようなものがあるんです。
それは「自分は何か大きな、善きものに守られている」
という安心感のようなものです。
わたしが世界に対してなるべく親切でいる限り、
世界もわたしに親切にしてくれる。
それはわたしなりの信仰と言っていいかもしれません。
そういえば周りの仕事仲間もだんだん年季が入ってくると、
「言霊(ことだま)」みたいなことを信じるようになるなあ、
とこのごろ思います。
たとえば匿名の立場にたっても、
ひどいことを言ったり書いたりしない。
それは結局は自分のためだから、というのです。
注意深く生きる人たちは年月を重ねるうちに、
自分がしたことは巡り巡って
自分に返ってくるということを
知るようになるんだろうと思います。
そして、悪いことの後にはいいことがやってくるものです。
科学的な説明はできませんが、
自分の来た道を振り返るとずっとそうでした。
大事なものが立て続けに壊れたことも、
いいことが起きる前触れなのでしょう。
そう期待して、わたしも来年に向かって歩いていきます。
失くすものがあれば、得るものもある。
写真のセイウチのキーホルダーは、
福岡の古着屋さんで見つけて連れ帰ってきた、
自分のためのお土産です。

あったか靴下

 
10月や11月と比べ、ここ数日は
ぐっと冷えて冬らしい日が続いていますね。
わたしは寒さに弱い方ですが、
キリッとした冬の寒い空気の中で
着込むことがとても好きです。
寒さの中でぬくぬくとあたたかさを
手に入れるためには足元も大事です。
そこで大活躍しているのが
あったか靴下たち。
セーターに合わせて選んだり、
今日はこの靴下をはきたいっと思って
服を選ぶこともあります。
見える面積が少ないので、派手な色や、
柄ものにも挑戦してみたくなります。
毎日の靴下選びとともに
この冬の寒さもたのしみます。

来年もつづけたい習慣。

 
ことしもあと、約1週間ですね。
「編みものけものみち 三國万里子展」の
テキスト中継で福岡をおとずれ、
けものみちを歩みながら
ことし一年をぐるぐると振り返っていました。
やってみたいこと、
わたしにとってたのしいこと、
知りたいことはなんだろう。
あたらしい一歩を踏み出す前に、
考えたり思いを巡らせたりするのに
日記はとても大切なもの。
三日坊主のわたしですが、
日記だけは高校生の時からつづけています。
なにも書かない日もありますが、
書ける日は、毎朝少し時間をとります。
一昨年くらいから、
ふだんの日記にくわえて
5年手帳を導入しました。
おもに子どもの成長記録ダイアリー。
書くスペースも小さいので、
子どものことでおもしろかったこと、
できるようになったこと、
短文でツラツラと書き連ねています。
また、もらったものや行った場所の記録も
一緒に貼るようにしています。
去年の今日を振り返ることができるので、
成長をみるのもとってもたのしい。
最近、お月さまに声をかけて手を降るようになったのですが、
「あー、あー」と声を出し始めたのは
ちょうど一年くらい前だと知りました。
たった一年で、これだけ変わってしまうんだ。
子どもといると、
「今日何したっけ?(何もしていないのでは)」と
思ってしまうことも多く、日記は
精神衛生的にもとても大事なものでした。
とつぜんやってきた世界で、
懸命に歩みを進めて、透き通った瞳で見つめて、
感動したり笑ったり怒ったりする。
日々忙しなく過ごしていると忘れそうですが、
あらゆる物事を愛しむ力を、日記をめくりながら
思い出していました。
さあ、来年は何をしようかな。
日記だけは来年も続けていきます。

去年の春に入手したすみれの帽子と手袋、昨日完成しました!
色がとっても綺麗で、みているだけで嬉しいです。
指が出る手袋、パソコンする時によさそうですね、
冬はキーボードの下の金属部分がとても冷たくなりますから。
帽子は今年の春に完成して、手袋は昨日に。
ちょっと不満なのは、手袋が、なんだか横はきついのに、たては長い(23cm)…。
ひっぱりすぎなんでしょうか?
これから、マフラーに着手します。
(minmin)

 

冬に向かって、編みもの作品が
どんどんできあがっていらしてすばらしいです。
次のマフラーも楽しみですね。
どんな風にコーディネートされるのかも気になります。

 

スミレのセット、完成おめでとうございます!
とてもチャーミングで写真を眺めながらニコニコしてしまいました
細長くなるのはご愛嬌とわたしは思いますが、
裏に渡る糸をゆるーくすると縦横の比率が変わると思いますよ。
マフラーもエンジョイしてくださいね〜〜

 

“わたしのニット風景”を、年明けも引き続き募集します。
ほぼ日の中で編みものの進み具合やできばえを
みんなでたのしみあえたら、と思います。
完成した作品のコーディネート、お供のお菓子やお茶など
写真とひとこと添えて送付ください。

送り先→postman@1101.com 件名→わたしのニット風景

福岡県の三菱アルティアムで「編みものけもの道 三國万里子展」が開催中です。展示に行かれる際は、テキスト中継の福岡おすすめスポットも参考にされてみてくださいね。

2020-12-23-WED

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