『MOTHER』シリーズが生まれたのは1989年のこと。
続編『MOTHER2』が発売されたのは1994年。
ゲームには当時のアメリカの文化が色濃く反映されてます。
そんなアメリカの文化をとことん追求するブランド、
「WAREHOUSE COMPANY(以下、ウエアハウス)」と
ほぼ日『MOTHER』プロジェクトががっちり組んで、
最高の長袖Tシャツをつくりました。
ウエアハウスのものづくりにかける研究と技術、
そしてアメリカンヴィテージに対する情熱について、
広報担当の藤木将己さんにお話をうかがいました。
あこがれのブランドとコラボレーションできたことを
とてもうれしく思います!
- ——
- 店内を見渡すと、ジーンズ、
Tシャツ、スウェット、ジャケット、靴と、
ラインナップが豊富です。
- 藤木
- たくさんつくっています(笑)。
- ——
- 「ウエアハウス」というブランドを、
知らない方にかんたんに説明すると?
- 藤木
- 1995年に創業した、
ベーシックなカジュアルウェアのブランドです。
「ヴィンテージウェアの復刻」をやっています。
だいたい1900年代から1970年代あたりの
アメリカンカジュアルの服を、現代に蘇らせています。
- ——
- 「復刻」をはじめた経緯というのは?
- 藤木
- ウエアハウスの創業者は、
塩谷健一、塩谷康二という兄弟です。
本人から聞いた話では、彼らは中学2年生くらいから
ヴィンテージ古着を収集していました。
当時から集めたジーンズを分解して
生地の織り方を見たり、
ボタンやリベットといった部材の形を
研究したりしていたんです。
その後、彼らは「エヴィスジーンズ」という
ブランドのメンバーになりました。
そこでものづくりの修行をしたのち、
3年で独立してウエアハウスを立ち上げたんです。
もう約38年前から、ふたりは
「ヴィンテージウェアの復刻」をしているんですね。
- ——
- 「復刻」というのを、わかりやすく言うと?
- 藤木
- 我々はよく「正解のあるものづくり」と言うんですけど、
まずヴィンテージ古着を手に入れてきて、
それをいろいろな角度から考察します。
時には分解して、使われている糸や部材、
編み方、織り方、縫い方、プリントの手法なんかを
すべて研究します。それで、同じものをつくる。
- ——
- 同じものを。見本のヴィンテージと、そっくりに。
- 藤木
- はい。
通常の服飾デザイナーさんが服をつくるときって、
完成形がデザイナーさんの
頭の中にしかないじゃないですか。
でも、たとえば有名な
リーバイス(リーバイ・ストラウス社)の
501XX(ダブルエックス)という
1950年代のジーンズがあって、
それと同じものをつくるとなったら‥‥。
- ——
- なるほど、正解がすでに存在している。
- 藤木:そうなんです。
見本にした501XXと
できあがったウエアハウスのジーンズは、
並べて見比べることだってできますよね。
そうしたときに、そのふたつの差を
極限までなくしたいと思ったんです。
実際にふたつを並べて見比べても遜色がない、
誰が見ても「これは501XXだ」と
思ってもらえるようなジーンズをつくりたい。
そんな強い思いから
ウエアハウスのものづくりは始まりました。
- ——
- 最初にジーンズをつくったんですか?
- 藤木
- いえ、製作の環境が整わなかったので、
最初につくったのはチノパンでした。
まずはサンプルを作って、
前職でお付き合いのあった工場に
挨拶に持って行って
「ブランドを始めます」と伝えたんですね。
そうしたら、
「キミたちがやるなら
こだわったものづくりをするんだろう。
楽しみにしてるよ」と言われて。
そこからすべてがスタートしました。
オリジナルのジーンズをつくったのは、
その後のことです。
- ——
- 当時、同じようなことをやっていた
競合ブランドはほかにあったんですか?
- 藤木
- はい。90年代には、すでにヴィンテージを復刻する、
いわゆる「レプリカブランド」がいくつかありました。
そんな中で我々が突出して評価していただけたのは、
縫製でした。
- ——
- 縫製というのは、つまりジーンズの縫い方。
- 藤木
- そうです。ジーンズの「形」は
ほかのブランドもヴィンテージジーンズに
合わせてつくっていたんですが、
そのジーンズを縫う糸の番手(太さ)まで
着目しているところは、ほとんど無かったんです。
でも、塩谷兄弟が昔から見てきた
ヴィンテージのジーンズは、
そうはなっていませんでした。
繊細に縫わなくてはいけないところには
細い番手の糸が使われていて、
強度の必要なところには
タコ糸ばりに太い番手の糸が使われていたんです。
縫うときのピッチ(間隔)も、
細い番手は細かく、太い番手は粗くなっている。
さらに表から縫ったり裏から縫ったりと、
縫い方だけでもさまざまに工夫されていたんですね。
現代使用されている、強い糸ならば
ぜんぶ同じ番手で縫うこともできるんですけど、
それらをひとつも簡略化せずに再現したのが
ウエアハウスのジーンズでした。
- ——
- そこまでていねいに縫製すると、
手間や工夫も格段に増えてしまいそうです。
- 藤木
- 「ミシンの神様」と言われている有名な方がいて、
その方にまずラッパ(ミシンのパーツ)を
つくってもらいました。
日本のミシンは長さの単位が「センチ」なんですけど、
アメリカのミシンは「インチ」なんですね。
だから、まったく同じ風に縫えるように、
「インチ」で縫える仕様に改良してもらいました。
生地に関しては、
デッドストックの501XXを手に入れてきて、
それを切ってバラバラにして、
生地に使われている糸を
紡績研究所に出して分析しました。
(その後、2013年にオリジナルの未裁断デニム原反を入手し、
バナーデニムとしてアップデート)
- ——
- 貴重なヴィンテージのジーンズを、
惜しみなく切って。
- 藤木
- 糸の撚り回転数や、
太い繊維と細い繊維の含有率などを調べるには、
解くしかないんです。
そうやってつくったのが、
ウエアハウスの定番となった
1001XXというジーンズです。
- ——
- そのジーンズのモデルとして
1950年代の501XXを選んだ理由というのは?
- 藤木
- 501XXも年代によって太さや
ディティールがさまざまです。
そんな中で1947年頃につくられたものは、
生地、縫製、シルエットがすべて抜群。
とくにシルエットは誰がはいても細すぎず太すぎず、
バランスがちょうどいいんです。
だからジャストではくと、一番さまになる。
そんなジーンズに魅了されて、
完璧に再現するために、
とくに注力したのが縫製だったんですね。
2023-11-21-TUE
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WAREHOUSE 長袖Tシャツ
各8,580円(税込・配送手数料別) -