『MOTHER』シリーズが生まれたのは1989年のこと。
続編『MOTHER2』が発売されたのは1994年。
ゲームには当時のアメリカの文化が色濃く反映されてます。
そんなアメリカの文化をとことん追求するブランド、
WAREHOUSE COMPANY(以下、ウエアハウス)」と
ほぼ日『MOTHER』プロジェクトががっちり組んで、
最高の長袖Tシャツをつくりました。
ウエアハウスのものづくりにかける研究と技術、
そしてアメリカンヴィテージに対する情熱について、
広報担当の藤木将己さんにお話をうかがいました。
あこがれのブランドとコラボレーションできたことを
とてもうれしく思います!

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03 着て、育てていく楽しみを。

——
それでは、今回、つくっていただいた
長袖Tシャツについてお聞きします。
藤木
はい。ベーシックなロングスリーブ(長袖)の
Tシャツですね。
シャドウボーダーの生地を使っていますので、
表面にざらつきがあって、
ヴィンテージのムードがあります。
ふつうのTシャツと違って、
着て、洗って、また着て、とくり返していくうちに、
ジーンズと一緒で味が出てきます。
ボディは少しずつにフェード(退色)していきますし、
気がついたらプリントにも雰囲気が出てきます。
ネック(首元)は洗うたびにキュッと詰まって、
「身体に馴染んできたな」という
感覚が味わえると思います。
——
生地はコットン100%ですね。
藤木
「着て、育てていく」という楽しみがあるのも、
コットンならではですね。
それなのに縫製はしっかりしているから、すごく長持ちしますよ。
洗って乾かすのを繰り返すと、生地自体が強くなっていくんです。
だから日常着として気兼ねなく使い倒せますし、
気がつけば自分だけのTシャツになっていきます。
あえてカチッとしたジャケットに
味の出たTシャツを合わせて、
ドレスダウンに使うのもオススメです。
——
今回、2つのデザインをつくりました。

藤木
ひとつは、『MOTHER』ロゴですね。
これは絶対に必要だなということで、すぐに決まりました。
もうひとつは「オネット」。
ヴィンテージにもある「カレッジTシャツ風」です。
——
「オネット」の絵のモチーフは、
オネット市役所ですね。
ウエアハウスさんからたくさんの資料をお借りして、
「ほぼ日」がデザインしました。
『MOTHER2』は199X年のお話なので、
「199X」と入れて。
藤木
ゲーム中の設定は1990年代でも、
この市役所は1950年代くらいに
建築されているような、
厳かな雰囲気がありますよね。
なので、なかなかキマっています。
『MOTHER2』の世界では、
1950年代からずっと代わらない版で
このTシャツがつくり続けられてきたかもしれない。
そう思えるような、クラシカルなイメージです。
そして、(文字や図柄が)4段。
ヴィンテージのカレッジTシャツは、
この段数が多いプリントほど評価も高いんです。
そこで、こちらから4段で
デザインすることを提案しました。
文字や図柄のサイズ感やバランスも、
最終的にこちらで整えさせていただきました。
——
ボディのカラーは4色あって、
2種類の方法でプリントしていただきましたね。
藤木
はい。オフホワイト(『MOTHER』ロゴ)と
杢グレー(オネット)のTシャツは
染み込みプリント、
スミクロ(『MOTHER』ロゴ)と
ボルドー(オネット)のTシャツは
ラバープリントという手法です。

——
では、まず染み込みプリントの
特長から教えてください。
藤木
水性の顔料を使ってプリントすると、
その顔料が生地に染み込むので
「染み込みプリント」と言います。
いま僕が着ているTシャツも、そうですね。
着て洗っていくうちに
どんどんプリントが生地に入っていく。
沈み込んでいく、と言いますか‥‥。
——
なじんで、定着していく感じでしょうか。
藤木
そうです。
だんだん生地の繊維が毛羽立ってきますし、
それと同時に顔料は薄くなって、
生地に溶け込むように変化していくんです。

藤木さんが着ているのが、同じ緑色の顔料で染み込みプリントを施したウエアハウスのTシャツ。手前のTシャツと比べると経年の変化がよくわかります。 藤木さんが着ているのが、同じ緑色の顔料で染み込みプリントを施したウエアハウスのTシャツ。手前のTシャツと比べると経年の変化がよくわかります。

——
では、ラバープリントというのは?
藤木
「割れラバープリント」というプリントの手法です。
——
ペンキでベタッと塗ったような。
藤木
そうですね。
現代の一般的なラバープリントと言うと、
ビニールみたいな印象のものですけど、
これは違います。
着ていくうちに徐々にプリントがひび割れていって、
かすれるように味が出ていくんです。
だから「ひび割れプリント」と言われています。

△左が今回のTシャツ「オネット」。右が同じラバープリントを施して、着込んだウエアハウスのTシャツ。徐々に文字や記号がひび割れていって、自分だけのTシャツに育っていきます。 △左が今回のTシャツ「オネット」。右が同じラバープリントを施して、着込んだウエアハウスのTシャツ。徐々に文字や記号がひび割れていって、自分だけのTシャツに育っていきます。

——
この見た目は、もうヴィンテージそのものですね。
藤木
はい。よく見かけるのが、
すでにひび割れた味のある状態の版を作って、
それをプリントしてしまうというケースです。
そういうものをつくるのはかんたんなんですけど、
100着あったら100着とも
ぜんぶ同じひび割れ方をしたTシャツができてしまう。
味気ないですし、愛着も湧きませんよね。
その点、これは時間をかけて育てていけるような、
そんなTシャツになっています。
——
どれを選ぶか迷う人が多そうです。
色ごとに、
それぞれの魅力を教えていただけますか? 
まず『MOTHER』のロゴの2色から。
藤木
オフホワイトは、Tシャツとしてはオーソドックスで、
生地がぼこぼことうねる、
シャドウボーダーの陰影が一番わかりやすい色です。
なので、この独特の生地の風合いを、
一番楽しんでいただけるんじゃないかな。
『MOTHER』のロゴも
黒でプリントする案があったんですけど、
せっかくの染み込みプリントなので
赤を提案させていただきました。
そのほうが、よりヴィンテージの雰囲気を
味わってもらえると思ったので。

——
なるほど。スミクロのほうは、どうでしょう?
藤木
スミクロは、深みのある美しい黒です。
でもそれは最初の話。
洗ってだんだん日焼けしてくると、
薄くなって少し緑がかった黒に変化していきます。
よりカジュアルになっていく、
というイメージでしょうか。
プリントは白のラバープリントなので、
生地との対比がはっきりしている。
だからひび割れてくると、
プリントの立体感が増すんですよ。
ベタっとした状態から立体感が増してくると、
ロゴが立体的に見えてきます。
‥‥そうだ。これ、プリントの版が
オフホワイトのほうと同じに見えますけど、
じつは違う版を使ったんです。
——
地球の色がついた部分と
そうでない部分が、逆になっていますね。
藤木
はい。地球の上の白い部分が、
スミクロは染料をのせて表現していて、
逆にオフホワイトは生地のままです。
この地球の雰囲気も、
着ていくことで十人十色に変わっていきますよ。
——
楽しみです。
では、つぎに、「オネット」の2色の魅力を。
藤木
ボルドーは、スミクロに次いで濃い色ですから、
スミクロと同様に退色の具合がはっきりと楽しめますね。
ラバープリントの顔料は、
オレンジがかった、マスタード調の
アメリカっぽいイエロー。
ジーンズやスニーカーとのコーディネートに
ものすごくぴったり合う組み合わせです。
かわいい雰囲気もありますので、
女性にもおすすめですね。

——
もうひとつの杢グレーですが‥‥。
藤木
じつはこの杢グレーだけ、ちょっと特別なんですよ。
ヴィンテージのグレー杢のカットソーに、このように
ウールのような濃いグレー杢の生地があったんですね。
その色目をTシャツで再現するべく、
黒とグレーの混ざったトップ糸を編み込むことで、
独特の粗挽きのグレー杢の風合いにしています。
そうすると、シャドウボーダーにものすごく合う
グレーができるんです。

——
糸の番手はほかと同じだけど、染めではなく、
編みで色を出していると。
藤木
そうです。グレーに染めるわけでもなく、
編みでこのグレーを作っている。
だから洗い込むごとに黒が掠れてきて
いまのグレーよりも薄くなっていくんです。
それに、染み込みプリントのビビッドな緑色も退色していきます。
——
いい雰囲気になっていきそうです。
ところでこれ、ふつうに洗っていいものですか?
藤木
はい。Tシャツですから、
なにも気にせずにガンガン着て、
中性洗剤で洗ってください。
洗うと若干の縮みが出ますけど、
それはつまり目が詰まって肉感が増すということです。
タンブラー乾燥だけは縮みすぎてしまうと思うので、
避けてください。
——
わかりました。
あと忘れてはいけないのが、
首元の織りネーム(タグ)ですね。
ウエアハウスさんのものと、
ほぼ日MOTHERプロジェクトのものが、
重ねて縫われています。
藤木
重ねて付けたのは、
ウエアハウスでも初めてのことかもしれません。
うちの織りネームは
ヴィンテージが元になっているから、
素材がレーヨンなんです。
だから、洗うとくるんと反り返って、
下のタグが見えるという。
これを狙って、重ね方なども
たくさん提案させていただきました。
この変化も楽しんでいただけたらと思います。

——
最後に、ウエアハウスのTシャツを
初めて着る方に一言お願いします。
藤木
シャドウボーダーなので、
無地でありながら柄物という側面もあります。
恐らく、これまでに感じたことのない感覚で
着られると思いますので、
存分に楽しんでください。
着込んで、洗って、育てる楽しみがあるTシャツです。
どんどん着て、ぜひ自分だけの1着に育ててください。
——
本日はありがとうございました。

 
2023年11月24日(金)AM11時から販売開始です。
お気に入りの1着を見つけてください。

2023-11-23-THU

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  • WAREHOUSE 長袖Tシャツ
    各8,580円(税込・配送手数料別)

    販売時期
    2023年11月24日(金)午前11時より販売開始

    素材
    コットン100%


    MOTHERロゴ(オフホワイト・スミクロ)
    オネット(ボルドー・杢グレー)

    サイズ(cm)
    S:着丈63/肩幅41/身幅48/袖丈62
    M:着丈66/肩幅43/身幅51/袖丈63
    L:着丈69/肩幅46/身幅53/袖丈65
    XL:着丈72/肩幅48/身幅56/袖丈66
    ※洗濯により下記の縮みが生じます。
    着丈:約1~2cm、肩幅:約1cm、 身幅:約2~3cm、袖丈:約1cm

    重さ
    S:224g
    M:260g
    L:300g
    XL:315g

    原産国
    日本製

  • モデル
    ben/amuna


    スタイリスト

    青木 穣


    ヘアメイク

    成田 祥子


    写真

    ロケ:東 京佑/物撮:大江 弘之

     

     

     

    ©SHIGESATO ITOI / Nintendo