ほぼ日オフィス、引っ越します!
通いなれた「青山」を離れ、
次なる新天地「神田」に大移動です。
しかも今度の新オフィス、
これまでのはたらき方を見直し、
まったく新しい発想でつくるとか。
えっ?なにそれ?どういうこと?
というわけで、秋頃までつづく
新オフィス完成までのてんやわんやを、
不定期連載でおとどけします。
担当は「ほぼ日」稲崎です。

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08 集中と分散。

──
ほぼ日のオフィスを設計してみて、
率直にどんなふうに思いましたか?
吉田
やっぱり糸井さんって、
ものすごい本質的なところを、
常に考えているんだなって思いましたね。
意匠だったり、素材だったり、
表層的な雰囲気をつくる
ということではないというのが、
最初のプレゼンのときにすごくわかりました。

谷尻
今回のプロジェクトって、
材料をつくる感覚に近かった気がしますね。
空間をつくるというより、
オフィスを構成する材料をつくる感覚。
その材料さえそろっていれば、
オフィスをどう使うかについては、
そこで働く人たちが徐々に
育てていただければいいっていう、
そういうところがありました。
──
コロナのことがあって、
働き方の選択肢も増えたように思うんです。
ちょっと大きな質問になってしまうのですが、
これからのオフィスの役割って、
どうなっていくと思いますか?
谷尻
ぼくは二極化するような気がしています。
いまだからこそオフィスをつくり込む人もいれば、
「オフィスなんてもう要らないよ」
っていう人もどんどん増えてくると思います。
吉田
私たちもリモートワークを経験してみて、
「あれ、オフィスって要るの?」
って思っちゃったんですよね。
オフィスに全員が集まらなくても、
けっこう仕事ができたというか。
でも、そう思ったのと同時に、
やっぱりみんなで集まらないと
できないこともあるなって思いましたね。
会社の思想や価値観を共有するとか、
一緒に何かをたのしむとか、
やっぱりそういうことって
「場所」がないと難しいと思いますね。
ある意味では「働くためのオフィス」は、
もう要らないのかもしれないけど、
みんなが「集まるためのオフィス」は、
これからも必要とされるかもしれないですね。
──
働くためじゃなく、集まるためのオフィス?
吉田
おしゃべりしたり、雑談したり。
そういうことをする場所があるというのが、
けっこう大事だったりしますよね。
やっぱりオンライン会議だと、
そういうのはできないから。
──
できないですね。
谷尻
けっきょくオンライン会議って、
インターネットで検索するのと同じ感覚ですよね。
調べたいことしか出てこないというか。
画面に映ってる情報しか入ってこないんです。
対面だと人と話しながら、
音楽の話になったり、お昼ごはんの話になったり、
そういう関係のない情報が飛び交いますよね。
そういうところから思いがけない
発想って生まれるわけで。
──
これからは「集中できるオフィス」より
「気が散るオフィス」のほうがいいのかも(笑)。
谷尻
でも、実際に集中していいものができるかというと、
それは話が別じゃないですか。
リラックスして、楽しんでいるときにこそ、
いいアイデアが出るというのは、
みんなもすでに経験済みだと思うんです。
だからリラックスしてるときの方が、
よっぽど集中してるというかね。

吉田
いろんな物や人に出会うという、
「摩擦」が大事になるんでしょうね。
──
いい摩擦も、悪い摩擦も、
どちらも「刺激」ですからね。
谷尻
そうそう、だからノイズが要るんでしょうね。
吉田
家でひとりで仕事しているだけだと、
そういうノイズには触れられないですから。
谷尻
あと、ぼくは、ぜんぶ「外」に
しちゃえばいいのにって思ってます。
──
外に? 屋外ってことですか?
谷尻
みんな内部に集まることに敏感なんだったら、
別に外でいいじゃんって思うんです。
壁も窓もなし。エアコンもなし。
夏は日陰、冬はたき火。
──
キャンプですね(笑)。
谷尻
でも、もしキャンプ場で
オンライン会議ができるなら、
もうそこをオフィスにしてもいいわけで。
吉田
まあ、電波さえあればできるよね。
谷尻
そもそも人類はずっと外で生活していたわけで、
中にずっとこもっていたら
「お前なにやってんだよ」って
言われてたような時代があったはずで。
──
「洞穴にいないで、出てこいよ」って(笑)。
谷尻
そういう時代があったはずですよね。
だから、ほんとは外がデフォルトというか。
それがいつの間にか、
内がデフォルトになってますよね。
どこかのタイミングで、
みんなが原始に戻っていくようなことが
あるかもしれないなって、
ぼくは思ってますけどね。
吉田
一説によると、
人類は狩猟時代が一番幸せだった
という話もあるみたいですね。
谷尻
そういう時代のほうが、
感覚も研ぎ澄まされそうですよね。
吉田
そういう意味では、
ほぼ日の次のオフィスは
ちょっと遊牧民的なところはあるかも。
──
ああ、そうかもしれないですね。
どの場所で仕事をしてもいいわけだから。
吉田
あと、次のビルは、
すごくいい屋上がありますよね。
屋上に机をもっていけば、
外でも仕事ができますね。
テント張ったりして。
谷尻
十分、できますよね。
──
星空を見ながら仕事ができます(笑)。
吉田
それなら徹夜になっても
ブラックな印象はないですね。
一同
(笑)
──
きょうはお忙しいところ、
いろいろなお話をありがとうございました。
まだ工事がはじまった段階ですが、
ひきつづき、どうぞよろしくお願いします。
谷尻
こちらこそよろしくお願いします。
吉田
ありがとうございました。

(次回の更新につづきます)

2020-10-08-THU

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