ほぼ日あっちこっち隊が、
このところ通いはじめている場所があります。
それが北海道の北東部にある
西興部(にしおこっぺ)村。
オホーツク紋別空港から車で約1時間、
人口1000人弱のちいさな村。
たっぷりと深い山あいに、
土地のおもしろさも厳しさもすべて受け止めて、
ゆかいに暮らす人たちがいます。
訪れたきっかけは、山登りをしているなかで、
エゾシカの食害問題について、
もっと知りたいと思ったこと。
実際に訪れてみると、シカの話にとどまらず、
都会とは全く異なる人々の暮らし方に、
心の奥が揺さぶられる感覚がありました。
このおもしろさを、いろんな人と共有できたら。
あっちこっち隊・西興部村編、スタートです。

写真|前田景
ヘッダーのイラスト|ワタナベケンイチ

前へ目次ページへ次へ

5)たかはしよしこさんの、エゾシカ加工品3つのレシピ。

▲こんな3つの料理をご紹介します!
撮影|前田景 ▲こんな3つの料理をご紹介します!
撮影|前田景

 
北海道西興部村とほぼ日あっちこっち隊の
ちいさなコラボレーションとして、
2025年1月9日〜15日に東京・新宿で行われる
「生活のたのしみ展2025」で販売する、
西興部村のエゾシカジビエ。

▲こんな自然のなかで育った、エゾシカのジビエです。
撮影|前田景 ▲こんな自然のなかで育った、エゾシカのジビエです。
撮影|前田景

 
サラミ、ベーコン、ソーセージという
使いやすい加工品3種類なので、
気軽に使っていただけるとは思いますが、
せっかくなので、よりおいしく食べていただけるよう、
北海道の美瑛に暮らす料理家の
たかはしよしこさんに、簡単でおいしい
おすすめの食べ方を教えていただきました。
たかはしよしこさんといえば、
万能調味料「エジプト塩」の生みの親、
というとピンと来る方も多いでしょうか。

▲異国のおいしさがぱっと加わる万能調味料、エジプト塩。通称「エ塩(えじお)」 ▲異国のおいしさがぱっと加わる万能調味料、エジプト塩。通称「エ塩(えじお)」

 
ほかにも「アルル塩」「チョコエ塩」
「北のソルト」「北のマスタード」など、
おいしくて絶妙な組み合わせの調味料を
たくさん生み出してきた方でもあります。
また、現在は暮らしていらっしゃる
北海道美瑛で、地元食材などを使った
「SSAW BIEI」という素敵なレストランもされていて、
冬場はコースにシカを使ったお料理を
出されることもあるとか。
ちょうど先日「ほぼ日LIVEコマァ〜ス」
ご登場くださったご縁もあり、まさにいま、
「ほぼ日がエゾシカのレシピをお聞きするなら?」
と思ったとき、まず頭に浮かんだのが
たかはしよしこさんのことでした。
ご連絡させていただいたところ、
「もちろん大丈夫です。
エゾシカって北海道ならではだし、
シカの増加はけっこう切実な問題で、
住んでいてすごく感じるし、
私も届けられるならぜひたくさんの人に
食べてほしい思いがあったので、ぜひ」
と、嬉しいお返事が。
できあがったサラミ、ベーコン、ソーセージを
お送りしたところ、それをもとに、
北海道らしさもある、作りやすくて
おいしい食べ方を3品ご考案くださいました。
サラミは「サラミ大根」に。
ソーセージは「焼きリンゴのチーズトースト」に。
ベーコンは「ジャガボナーラ」に。
それぞれ、食べてみた印象は、
「普段食べている豚の加工品と比べると、
ちょっと固めかな、というのが最初の印象ですね。
でも、しっかりうま味があって、深い味わい。
噛めば噛むほど味が出て、
シカならではの風味がおいしいので、
そのあたりをたのしんでもらえるように、
考えていきました」とおっしゃられていました。

●エゾシカサラミ大根

(材料)
エゾシカサラミ 適量
カラフル大根 適量

(作り方)
大根は特にスライサーでスライスをおすすめします。
どちらも薄くスライスしてお皿に並べたらおつまみの完成!
白い大根でも、もちろん大丈夫。

撮影|前田景 撮影|前田景

(たかはしよしこさんより)
これはスライスするだけ、みたいな。
レシピといえるのかな(笑)。
「お酒のつまみがいますぐ欲しい!」
みたいなときにいいと思います。
今回、サラミが特に面白くて、個性があって、
シカの良さがすごく出てるなと思いました。
ぎゅーってしてて、しっかり味がするから、
ガジガジ食べるのが、おいしい。
シカ肉でまったり、大根ですっきり、という
交互の味の違いをたのしんでもらえたら。
お酒はわりと、なんにでも合うと思います。

●エゾシカソーセージと焼き林檎のチーズトースト

(材料/トースト1枚分)
エゾシカソーセージ  20g
林檎  1/4個
バター 小さじ1
塩 少々
シュレッドチーズ 20g
食パン 1枚
北のマスタード 小さじ2

(作り方)
(1)林檎は皮付きのままくし切りにして、
フライパンに並べたら、バター、水を小さじ2、
塩を少々かけて火にかける。
弱火で10分、蓋をして蒸し焼きにする。
途中1回、林檎をひっくり返す。
(2)食パンにシュレッドチーズをまんべんなく敷き詰め、
(1)の焼き林檎を並べ、ソーセージのスライスものせて、
オーブントースターで7~8分焼く。
北のマスタードをのせたら完成。

*焼くときに、ローズマリーなどの葉を
パラパラとのせたら、より美味しくなりますよ!

撮影|前田景 撮影|前田景

(たかはしよしこさんより)
林檎をフライパンでちょっと
蒸し焼きみたいにしてトロッとさせてから、
チーズ、ソーセージといっしょに
食パンにのせて、トースターで焼くものです。
うまみのあるエゾシカのソーセージと、
火を入れて柔らかくした林檎が引き立てあいます。
朝ご飯はもちろん、お酒のつまみにもなります。

最後にのせる「北のマスタード」は、
うちで作っているマスタードなんですが、
北海道ならではのハスカップのピューレが入ってて、
ちょっと甘酸っぱいところが、鹿にめっちゃ合うんですよ。
このソーセージをただ焼いたところに
つけただけでも最高に合うので、ぜひお試しください。

●エゾシカベーコンのジャガボナーラ

(材料/2人前)
エゾシカベーコン 80g
じゃがいも(男爵やキタアカリなど) 1~2個(120g)
卵 2個
ハードチーズ(すったもの) 5~10g
あら挽き黒胡椒 適量
オリーブ油 大さじ1
パスタの茹で汁 大さじ3
仕上げ用のオリーブ油 大さじ1
パスタ 200g
水 2.5リットル
塩 大さじ1.5

(作り方)
(1)パスタを茹でるためのお湯を沸かす。
(2)ベーコンはなるべく薄く切り、細切りにし、
フライパンにオリーブ油をしき、火を入れておく。
じゃがいもは皮をむき、1㎝弱のサイコロ切りにする。
(3)ボウルに卵を溶き、すったチーズと、
お好みであら挽きの黒胡椒を入れ、混ぜておく。
(4)お湯が沸いたら、パスタを茹でる。
じゃがいもを小さなザルに入れて、パスタと一緒にザルごと茹でる。
(5)パスタが茹で上がる直前にじゃがいもを出し、
マッシャーなどで潰しておく。
(6)パスタが茹で上がったら、あつあつのパスタと
じゃがいものマッシュを(3)の卵液に投入し、
(2)のベーコン、パスタの茹で汁大さじ3を入れ、
手早く混ぜる。お皿に盛り付けたら完成。
仕上げに粗挽き黒胡椒とオリーブ油をかける。
*あつあつのパスタを卵液と混ぜるときに、
卵が固まりやすいので、その瞬間だけ、
ばばっと手早くかき混ぜるのがポイント。

撮影|前田景 撮影|前田景

(たかはしよしこさんより)
噛めば噛むほど味が出る、やや固さのあるベーコンが
カルボナーラにぴったりだと思ったので、
北海道らしさも感じる、じゃがいも入りの
カルボナーラにしました。
屈斜路湖に『アトレーユ』という素敵な
ペンションがあるのですが、そこで創業当時から
出しているというカルボナーラがじゃがいも入りで、
すごくおいしかったので、それを思い出しながら、
エゾシカベーコンで作ったものです。
ちょっと食べごたえのあるカルボナーラですね。
ベーコンのうまみとチーズのうまみ、
パスタをゆでる塩分だけで、味が決まるので、
失敗しにくくて作りやすいと思います。

 
今回教えていただいたのは加工肉のレシピですが、
たかはしよしこさんに、
エゾシカ肉自体のイメージについて聞いてみると、
「北海道に住みはじめて、おいしくて衝撃でした。
火の入れ方を間違うと固くなりますけど、
ちゃんと調理すると、めちゃくちゃおいしい。
清らかな牛みたいな感じだから、
日本人は好きな人が多い気がします」とのこと。
「きっちり低温調理して、
こっちの山わさびとかと合わせて出したりすると、
みんなもう、驚くんですよ。
『めっちゃおいしい! どうすれば手に入るの?』
みたいな(笑)。
こっちでも、一部のいい肉屋さんとか、
加工場じゃないと買えなかったり、
知り合いに分けてもらったりして食べる感じなので、
誰でも気軽に手に入るわけじゃないですけど、
でも、おいしいですよね。
シカ肉のおいしさ、いろんな人に
知ってもらえたらいいのにな、と思いますよね」
いやはや、おいしそう。
たかはしよしこさんのレシピで
調理したエゾシカ肉も食べられたら‥‥と
将来やってみたいことが、ひとつ増えました。
‥‥と、いうわけで、
「生活のたのしみ展2025」で販売する、
西興部村のエゾシカジビエ。
西興部村にぱっと旅行に出かけたり、
すぐにエゾシカ肉を手に入れたりするのは
ちょっとハードルが高めのところがありますが、
まずはジビエでぜひ、西興部村の
豊かな自然やその暮らしのおもしろさに、
思いを馳せてみていただけたら嬉しいです。

2025年1月9日(木)~15日(水)
東京・新宿、住友ビル三角広場でおこなわれる
「生活のたのしみ展2025」、
会場内のブース
「たのしみフードセレクション」にて販売。
(イベント詳細はこちらから)

(西興部村はじまり編は、ひとまずここまで。
続報をどうぞおたのしみに!)

2025-01-06-MON

前へ目次ページへ次へ