ほぼ日あっちこっち隊が、
このところ通いはじめている場所があります。
それが北海道の北東部にある
西興部(にしおこっぺ)村。
オホーツク紋別空港から車で約1時間、
人口1000人弱のちいさな村。
たっぷりと深い山あいに、
土地のおもしろさも厳しさもすべて受け止めて、
ゆかいに暮らす人たちがいます。
訪れたきっかけは、山登りをしているなかで、
エゾシカの食害問題について、
もっと知りたいと思ったこと。
実際に訪れてみると、シカの話にとどまらず、
都会とは全く異なる人々の暮らし方に、
心の奥が揺さぶられる感覚がありました。
このおもしろさを、いろんな人と共有できたら。
あっちこっち隊・西興部村編、スタートです。
写真|前田景
ヘッダーのイラスト|ワタナベケンイチ
- 北海道西興部村とほぼ日あっちこっち隊の
ちいさなコラボレーションとして、
2025年1月9日〜15日に東京・新宿で行われる
「生活のたのしみ展2025」で販売する、
西興部村のエゾシカジビエ。
- サラミ、ベーコン、ソーセージという
使いやすい加工品3種類なので、
気軽に使っていただけるとは思いますが、
せっかくなので、よりおいしく食べていただけるよう、
北海道の美瑛に暮らす料理家の
たかはしよしこさんに、簡単でおいしい
おすすめの食べ方を教えていただきました。 - たかはしよしこさんといえば、
万能調味料「エジプト塩」の生みの親、
というとピンと来る方も多いでしょうか。
- ほかにも「アルル塩」「チョコエ塩」
「北のソルト」「北のマスタード」など、
おいしくて絶妙な組み合わせの調味料を
たくさん生み出してきた方でもあります。 - また、現在は暮らしていらっしゃる
北海道美瑛で、地元食材などを使った
「SSAW BIEI」という素敵なレストランもされていて、
冬場はコースにシカを使ったお料理を
出されることもあるとか。 - ちょうど先日「ほぼ日LIVEコマァ〜ス」に
ご登場くださったご縁もあり、まさにいま、
「ほぼ日がエゾシカのレシピをお聞きするなら?」
と思ったとき、まず頭に浮かんだのが
たかはしよしこさんのことでした。 - ご連絡させていただいたところ、
「もちろん大丈夫です。
エゾシカって北海道ならではだし、
シカの増加はけっこう切実な問題で、
住んでいてすごく感じるし、
私も届けられるならぜひたくさんの人に
食べてほしい思いがあったので、ぜひ」
と、嬉しいお返事が。 - できあがったサラミ、ベーコン、ソーセージを
お送りしたところ、それをもとに、
北海道らしさもある、作りやすくて
おいしい食べ方を3品ご考案くださいました。 - サラミは「サラミ大根」に。
ソーセージは「焼きリンゴのチーズトースト」に。
ベーコンは「ジャガボナーラ」に。 - それぞれ、食べてみた印象は、
「普段食べている豚の加工品と比べると、
ちょっと固めかな、というのが最初の印象ですね。
でも、しっかりうま味があって、深い味わい。
噛めば噛むほど味が出て、
シカならではの風味がおいしいので、
そのあたりをたのしんでもらえるように、
考えていきました」とおっしゃられていました。
●エゾシカサラミ大根
(材料)
エゾシカサラミ 適量
カラフル大根 適量
(作り方)
大根は特にスライサーでスライスをおすすめします。
どちらも薄くスライスしてお皿に並べたらおつまみの完成!
白い大根でも、もちろん大丈夫。
(たかはしよしこさんより)
これはスライスするだけ、みたいな。
レシピといえるのかな(笑)。
「お酒のつまみがいますぐ欲しい!」
みたいなときにいいと思います。
今回、サラミが特に面白くて、個性があって、
シカの良さがすごく出てるなと思いました。
ぎゅーってしてて、しっかり味がするから、
ガジガジ食べるのが、おいしい。
シカ肉でまったり、大根ですっきり、という
交互の味の違いをたのしんでもらえたら。
お酒はわりと、なんにでも合うと思います。
●エゾシカソーセージと焼き林檎のチーズトースト
(材料/トースト1枚分)
エゾシカソーセージ 20g
林檎 1/4個
バター 小さじ1
塩 少々
シュレッドチーズ 20g
食パン 1枚
北のマスタード 小さじ2
(作り方)
(1)林檎は皮付きのままくし切りにして、
フライパンに並べたら、バター、水を小さじ2、
塩を少々かけて火にかける。
弱火で10分、蓋をして蒸し焼きにする。
途中1回、林檎をひっくり返す。
(2)食パンにシュレッドチーズをまんべんなく敷き詰め、
(1)の焼き林檎を並べ、ソーセージのスライスものせて、
オーブントースターで7~8分焼く。
北のマスタードをのせたら完成。
*焼くときに、ローズマリーなどの葉を
パラパラとのせたら、より美味しくなりますよ!
(たかはしよしこさんより)
林檎をフライパンでちょっと
蒸し焼きみたいにしてトロッとさせてから、
チーズ、ソーセージといっしょに
食パンにのせて、トースターで焼くものです。
うまみのあるエゾシカのソーセージと、
火を入れて柔らかくした林檎が引き立てあいます。
朝ご飯はもちろん、お酒のつまみにもなります。
最後にのせる「北のマスタード」は、
うちで作っているマスタードなんですが、
北海道ならではのハスカップのピューレが入ってて、
ちょっと甘酸っぱいところが、鹿にめっちゃ合うんですよ。
このソーセージをただ焼いたところに
つけただけでも最高に合うので、ぜひお試しください。
●エゾシカベーコンのジャガボナーラ
(材料/2人前)
エゾシカベーコン 80g
じゃがいも(男爵やキタアカリなど) 1~2個(120g)
卵 2個
ハードチーズ(すったもの) 5~10g
あら挽き黒胡椒 適量
オリーブ油 大さじ1
パスタの茹で汁 大さじ3
仕上げ用のオリーブ油 大さじ1
パスタ 200g
水 2.5リットル
塩 大さじ1.5
(作り方)
(1)パスタを茹でるためのお湯を沸かす。
(2)ベーコンはなるべく薄く切り、細切りにし、
フライパンにオリーブ油をしき、火を入れておく。
じゃがいもは皮をむき、1㎝弱のサイコロ切りにする。
(3)ボウルに卵を溶き、すったチーズと、
お好みであら挽きの黒胡椒を入れ、混ぜておく。
(4)お湯が沸いたら、パスタを茹でる。
じゃがいもを小さなザルに入れて、パスタと一緒にザルごと茹でる。
(5)パスタが茹で上がる直前にじゃがいもを出し、
マッシャーなどで潰しておく。
(6)パスタが茹で上がったら、あつあつのパスタと
じゃがいものマッシュを(3)の卵液に投入し、
(2)のベーコン、パスタの茹で汁大さじ3を入れ、
手早く混ぜる。お皿に盛り付けたら完成。
仕上げに粗挽き黒胡椒とオリーブ油をかける。
*あつあつのパスタを卵液と混ぜるときに、
卵が固まりやすいので、その瞬間だけ、
ばばっと手早くかき混ぜるのがポイント。
(たかはしよしこさんより)
噛めば噛むほど味が出る、やや固さのあるベーコンが
カルボナーラにぴったりだと思ったので、
北海道らしさも感じる、じゃがいも入りの
カルボナーラにしました。
屈斜路湖に『アトレーユ』という素敵な
ペンションがあるのですが、そこで創業当時から
出しているというカルボナーラがじゃがいも入りで、
すごくおいしかったので、それを思い出しながら、
エゾシカベーコンで作ったものです。
ちょっと食べごたえのあるカルボナーラですね。
ベーコンのうまみとチーズのうまみ、
パスタをゆでる塩分だけで、味が決まるので、
失敗しにくくて作りやすいと思います。
- 今回教えていただいたのは加工肉のレシピですが、
たかはしよしこさんに、
エゾシカ肉自体のイメージについて聞いてみると、
「北海道に住みはじめて、おいしくて衝撃でした。
火の入れ方を間違うと固くなりますけど、
ちゃんと調理すると、めちゃくちゃおいしい。
清らかな牛みたいな感じだから、
日本人は好きな人が多い気がします」とのこと。 - 「きっちり低温調理して、
こっちの山わさびとかと合わせて出したりすると、
みんなもう、驚くんですよ。
『めっちゃおいしい! どうすれば手に入るの?』
みたいな(笑)。
こっちでも、一部のいい肉屋さんとか、
加工場じゃないと買えなかったり、
知り合いに分けてもらったりして食べる感じなので、
誰でも気軽に手に入るわけじゃないですけど、
でも、おいしいですよね。
シカ肉のおいしさ、いろんな人に
知ってもらえたらいいのにな、と思いますよね」 - いやはや、おいしそう。
たかはしよしこさんのレシピで
調理したエゾシカ肉も食べられたら‥‥と
将来やってみたいことが、ひとつ増えました。 - ‥‥と、いうわけで、
「生活のたのしみ展2025」で販売する、
西興部村のエゾシカジビエ。
西興部村にぱっと旅行に出かけたり、
すぐにエゾシカ肉を手に入れたりするのは
ちょっとハードルが高めのところがありますが、
まずはジビエでぜひ、西興部村の
豊かな自然やその暮らしのおもしろさに、
思いを馳せてみていただけたら嬉しいです。
2025年1月9日(木)~15日(水)
東京・新宿、住友ビル三角広場でおこなわれる
「生活のたのしみ展2025」、
会場内のブース
「たのしみフードセレクション」にて販売。
(イベント詳細はこちらから)
(西興部村はじまり編は、ひとまずここまで。
続報をどうぞおたのしみに!)
2025-01-06-MON