ほぼ日あっちこっち隊が、
このところ通いはじめている場所があります。
それが北海道の北東部にある
西興部(にしおこっぺ)村。
オホーツク紋別空港から車で約1時間、
人口1000人弱のちいさな村。
たっぷりと深い山あいに、
土地のおもしろさも厳しさもすべて受け止めて、
ゆかいに暮らす人たちがいます。
訪れたきっかけは、山登りをしているなかで、
エゾシカの食害問題について、
もっと知りたいと思ったこと。
実際に訪れてみると、シカの話にとどまらず、
都会とは全く異なる人々の暮らし方に、
心の奥が揺さぶられる感覚がありました。
このおもしろさを、いろんな人と共有できたら。
あっちこっち隊・西興部村編、スタートです。

写真|前田景
ヘッダーのイラスト|ワタナベケンイチ

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​​4)交流は続く。まずは「たのしみ展」で、エゾシカのジビエを販売。

 
そんなふうに、すこしずつ縁がつながってきた、
北海道西興部村。
2度の訪問のなかで、大きな自然のなかで
豊かに暮らしている人たちに
たくさん出会い、ほぼ日あっちこっち隊は
すっかりこの村のファンになりました。

▲さまざまな花が咲く、道の駅そばのナチュラルガーデン。村にはこんな場所もあります。
撮影|前田景
▲さまざまな花が咲く、道の駅そばのナチュラルガーデン。村にはこんな場所もあります。
撮影|前田景

▲シカは本当に、あちこちで見かけます。
撮影|前田景 ▲シカは本当に、あちこちで見かけます。
撮影|前田景

 
さて、あっちこっち隊‥‥これから何をしよう?
ひとまず、ご縁ができたことで、
ハンターの順平さんや良子さん、
GA.KOPPERの和さんと千世さんなど、
みなさんとときどきやりとりを
させていただくようになりました。
エゾシカの肉を送ってくださって、
ほぼ日のキッチンで調理してみんなで食べたり、
ほぼ日からは、ジビエに合いそうな
調味料を送らせてもらったり。
また、順平さんが東京にいらっしゃる
用事のついでにほぼ日に来てくれて、
ジビエの料理会をしてくださった日もありました。
このときもまた、順平さんの作ってくれた
エゾシカ料理のおいしかったこと!

▲じゃーん。順平さん@ほぼ日のキッチンです。
撮影|ほぼ日 ▲じゃーん。順平さん@ほぼ日のキッチンです。
撮影|ほぼ日

▲びっくりするほどきれいな赤身のお肉。
撮影|ほぼ日 ▲びっくりするほどきれいな赤身のお肉。
撮影|ほぼ日

▲ロースト中。食欲をそそる香りがあたりに漂います。
撮影|ほぼ日 ▲ロースト中。食欲をそそる香りがあたりに漂います。
撮影|ほぼ日

 
「個性が強くて、食べる人を選ぶのでは?」
などと思われやすいジビエですが、
西興部村のエゾシカは、そんなイメージを
がらっと変えてくれるもの。
クセがなくてすいすい食べられる、
だけどうまみたっぷりの、ヘルシーな赤身のお肉。
実際食べた人たちからは、
「言われないとシカ肉とわからないかも?」
なんて声も、よく聞こえてきます。
このとき順平さんが作ってくださったのは、
ロースト、カツ、そぼろ寿司、ユッケジャン。
和洋中問わず、いろんな料理に変身してしまう、
懐の深さがあります。

▲エゾシカのロースト。
撮影|ほぼ日 ▲エゾシカのロースト。
撮影|ほぼ日

▲揚げたてのカツ。
撮影|ほぼ日 ▲揚げたてのカツ。
撮影|ほぼ日

▲そぼろ寿司。
撮影|ほぼ日 ▲そぼろ寿司。
撮影|ほぼ日

▲ユッケジャンスープ。
撮影|ほぼ日 ▲ユッケジャンスープ。
撮影|ほぼ日

 
その日出社していた糸井重里や
ほぼ日の乗組員たちに、
声をかけて食べてもらうと、
エゾシカ初体験のメンバーがほとんどながら、
「こんなにおいしいんだ!」とみんなびっくり。
たくさんの料理が、みんなのお腹に
次々と消えていきます。

▲おいしい料理に、次々と人が増えていきます。
撮影|ほぼ日 ▲おいしい料理に、次々と人が増えていきます。
撮影|ほぼ日

▲食べると、みんなの表情が変わる!
撮影|ほぼ日 ▲食べると、みんなの表情が変わる!
撮影|ほぼ日

 
この日は、元狩猟家でもある
写真家の幡野広志さんも来てくださいました。
料理を食べた第一声は
「すごい、歯で、噛めた!」。
基本的にシカ肉は固いものという
印象があったそうですが、
「こんなやわらかいシカ肉、食べたことないです。
群を抜いてうまいです」
と本気で驚いていらっしゃいました。

▲幡野広志さん。
撮影|ほぼ日 ▲幡野広志さん。
撮影|ほぼ日

▲どんどん料理が減っていきます。
撮影|ほぼ日 ▲どんどん料理が減っていきます。
撮影|ほぼ日

 
順平さんと、元ハンターの幡野さんとで、
狩猟についての話も交わされます。
「本州で狩猟している人たちにとって、
北海道は憧れの場所だと思う」と幡野さん。
どうやら本州と、北海道、
なかでも猟区としていろんな設備が整っている
西興部村は、まったく違う環境のようでした。
本州で鹿を捕獲した場合、解体までに数時間など、
それなりに時間がかかることがほとんど
(もちろんさまざまなケースがありますが)。
それが西興部村では、すぐに運んで、
すぐに必要な処置ができる。
この「とったあと、時間をおかずに
必要なことをできる」という部分が、
けっこうおいしさにも関係しているようでした。

▲順平さんと幡野さん。
撮影|ほぼ日 ▲順平さんと幡野さん。
撮影|ほぼ日

 
やはりエゾシカの増加問題の話にもなります。
「いま、76万頭以上生息していて、
増加率が年間約20%。
15万頭以上とらないといけないのに、
とらなきゃいけない分がとれてない」
東京にいると、シカの問題は、
興味や関わりのある一部の人以外では
めったに話題にあがらないもので、、
そもそも問題自体を知っている人が少ない。
「まずはジビエがおいしかった、
みたいなところからでも、
興味を持つ人が増えてくれたら」
と順平さんもおっしゃっていました。

▲糸井も試食して「どれもおいしいです」とニコニコ。
撮影|ほぼ日 ▲糸井も試食して「どれもおいしいです」とニコニコ。
撮影|ほぼ日

 
さらにその後、2024年10月。
「いつか西興部村のツアーのようなことを
できたら」という思いをこめて、
社内のいろんなメンバーを誘い、
10人ほどで、ミニ西興部村ツアーを行いました。

▲到着早々、この開放感。北海道は、空気からなにから気持ちがいい!
撮影|ほぼ日 ▲到着早々、この開放感。北海道は、空気からなにから気持ちがいい!
撮影|ほぼ日

 
最初は西興部村の「にしおこっぺ」も読めない、
場所もわからない、シカの話もよく知らない
メンバーばかりだったのが、
実際に訪れると、みんな一気に
西興部村への認識が変わります。
自然のすばらしさ、村で暮らす人のお話など、
あちこちで心を動かされ、
それぞれにたくさんの発見とともに帰ってきました。
訪れたみんなの感想は、とにかく、
「ここまでおもしろい場所だと予想してなかった!」
というもの。
戻ってきてから全員が全員、まわりの人たちに
「こんな体験をしてきてね」と喋りまくったとか。

▲宿泊はGA.KOPPER。この日は校庭でピクニックランチ。
撮影|ほぼ日 ▲宿泊はGA.KOPPER。この日は校庭でピクニックランチ。
撮影|ほぼ日

▲森できのこ探し。こんなアクティビティもたのしい。この後、川釣りもやりました。
撮影|ほぼ日 ▲森できのこ探し。こんなアクティビティもたのしい。この後、川釣りもやりました。
撮影|ほぼ日

▲気持ちのいい自然のなか、みんなで過ごすと仲良くなります。
撮影|ほぼ日 ▲気持ちのいい自然のなか、みんなで過ごすと仲良くなります。
撮影|ほぼ日

撮影|ほぼ日 撮影|ほぼ日

撮影|ほぼ日 撮影|ほぼ日

▲狩猟にも同行しました。緊張感のある、息をのむ時間。
「行ってようやくわかることがたくさんあった」と語るメンバーも。
撮影|ほぼ日 ▲狩猟にも同行しました。緊張感のある、息をのむ時間。 「行ってようやくわかることがたくさんあった」と語るメンバーも。
撮影|ほぼ日

▲みんなで鹿革のクラフト体験。先生は良子さん。
撮影|ほぼ日 ▲みんなで鹿革のクラフト体験。先生は良子さん。
撮影|ほぼ日

▲こんな感じのものを作れます。
撮影|前田景 ▲こんな感じのものを作れます。
撮影|前田景

▲GA.KOPPERの裏庭で焚き火もしました。時間の流れ方が、都会とは完全に違いました。
撮影|ほぼ日 ▲GA.KOPPERの裏庭で焚き火もしました。時間の流れ方が、都会とは完全に違いました。
撮影|ほぼ日

 
そんな北海道西興部村とあっちこっち隊の関わりは、
これから少しずつ、広がっていく予定です。
目標のひとつはやっぱり、
いろんな方に、西興部村の魅力を実際に
体験してもらえるツアーを開催すること。
大人数にはできなさそうですし、
だいぶ合宿感のある感じにもなりそうですが、
目下、やりかたを模索中です。
のんびりたのしみにしていただけたら、幸いです。

▲西興部村からオホーツク紋別空港へ。左手がオホーツク海。
撮影|ほぼ日 ▲西興部村からオホーツク紋別空港へ。左手がオホーツク海。
撮影|ほぼ日

 
とはいえツアーの開催は、なかなかハードルも高く、
まだまだ先になりそうなので、
「まずはできそうなことから」ということで、
ひとつ、直近のお知らせを。

 
順平さんが獲ったシカ肉を、
北海道の加工業者さんにお願いして、
家で簡単に調理して食べやすい
ソーセージ、ベーコン、サラミに
加工していただきました。

▲現地でいただいた、深い味わいのエゾシカのサラミ。
撮影|前田景 ▲現地でいただいた、深い味わいのエゾシカのサラミ。
撮影|前田景

 
エゾシカの加工品は、
シカならではの深いうま味があって、
噛めば噛むほど深い味が広がります。
ソーセージ、ハム、サラミは使いやすくて、
家で手軽におつまみなどをつくれますので、
ここから「シカ肉ってこんな味なんだ!」を
知っていただくとともに、
西興部村に思いを馳せてもらえたら嬉しいです。

▲ディナーパーティーのときに順平さんが作ってくれた、ソーセージ入りのポトフ。これまた、うまみたっぷり。
撮影|前田景
▲ディナーパーティーのときに順平さんが作ってくれた、ソーセージ入りのポトフ。これまた、うまみたっぷり。
撮影|前田景

 
また、せっかくのおいしいジビエなので、
食べ方も一緒にご紹介できたらと、
北海道で暮らす料理家のたかはしよしこさんに
力を貸していただきました。
あまり料理をしない人でも作りやすい
レシピを3つ、教えていただきましたので、
「たのしみ展」でご購入の方は、ぜひご参考に!
それでは次回、じっくりご紹介しますので、
どうぞ、おたのしみに!

2025年1月9日(木)~15日(水)
東京・新宿、住友ビル三角広場でおこなわれる
「生活のたのしみ展2025」、
会場内のブース
「たのしみフードセレクション」にて販売。
(イベント詳細はこちらから)

(つづきます)

2025-01-05-SUN

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