ずるい、ひどい、よすぎる、ええーーっ!
‥‥そんな悲鳴が聞こえてくるのは当然です。
だって、いまどき、どういうわけか、
ロサンゼルスで大谷翔平選手の試合を
観られることになったのです! ほんとごめん!
もともとは、糸井重里がロサンゼルスに
お住まいの方とSNSを通じて知り合い、
「いらっしゃいませんか?」というお誘いに
応えて渡米することになったわけです。
で、糸井さんひとりで行くのもあれだし‥‥
という非常にぼんやりとした理由で
突然、この超幸運な任務に抜擢された
ラッキークルーが俺、ほぼ日の永田泰大です!
ごめん、ほんとごめん! でも超うれしい!
せめて現地で毎日書くよ、レポートを。
どうぞよろしくお願いします。ほんとごめん。
#01
ごめん、行ってきます!
思えばぼくも社会人経験が長く、
ほぼ日のなかでもそうとうな古株であり、
仕事内容的にも若手を教えたり指南したり、
さまざまな相談に乗ったりすることが増えた。
そういうことでいうと、
以前にぼくは「ほぼ日の塾」という、
社外の人たちを対象にしたワークショップ的な
場をしばらく運営していたこともあり、
恐縮ながらいわゆる「先生役」を務めることも多かった。
そのような場で、先生役としてのぼくが、
コンテンツを学ぶ生徒役の人たちに、
口をすっぱくして言っていたことがある。
それは、つくり手の都合だけがいいものは、
読む人にとって癪に障るものですよ、ということだ。
具体的にいえば、生徒役の人たちに、
やってみたい企画を自由に挙げてもらったときに、
「アジアを旅しながら写真と記事を更新します」とか、
「私が英語を話せるようになるまでを連載します」とか、
「素人の私が映画祭の授賞式に紛れ込みます」とか、
そういう企画が出ることがよくあるのだが、
あ、それはあんまりよくないよ、とぼくはすぐに言う。
なぜなら、つくり手がたのしいだけだから。
コンテンツのかたちを借りながら、
じつは本人たちがふわふわたのしんでるだけのものを、
読む人たちはうれしく思わないものですよ、と、
ぼくは年長者として経験者としてベテランとして指南し、
若人たちはふむふむなるほどと
熱心にメモなどとったりしていたわけである。
さて、諸君。
私は、ロサンゼルスに大谷翔平を観に行く。
その様子を、現地からレポートする。
そういうコンテンツがこれです。
いや、だから、そんなんまるっきりアウトである。
やっちゃいけないよと口をすっぱくして
言ってきたことの典型である。
ダメでしょう、ムリでしょう、
だってそれ、よすぎるもの、書き手の立ち位置が。
実際、これを読んでくださっている方も、
まだ100%ぼくのこの立場を支持していないに違いない。
実際、読者以前にほぼ日の同僚たちから
なにそれずるいよすぎなんなのと
厳しい目を向けられているぼくである。
そりゃそうだろう。俺もそう思うよ。
こんなん、みんながうらやましがるに決まってる。
さらに厳しい現実をあえて自分に突きつければ、
このコンテンツのタイトルだけをちらっと見て、
「またほぼ日の人がたのしそうなことして!」と呆れて、
中身を読まないことに決めた人だって、
たくさんいらっしゃると思いますよ。
だからなかなか厳しいんですよこういう企画は。
いちおう経緯を説明すると、
糸井重里がSNSを通じて知り合った
ロサンゼルス在住の方とやり取りするうち、
「ドジャースタジアムにいらっしゃいませんか?」
「ああ、いいですね」みたいな感じで話が広がり、
それがトントントンと実現してしまったわけである。
で、せっかく行くなら、ということで、
ほぼ日手帳の海外販売の様子も視察もするし、
ちょっとした取材もセッティングするし、
あんまり長くはいられないけれど、
5日間くらいの出張にしましょう、と。
で、糸井さんがひとりで行動するのはたいへんだし、
うーーん、じゃあ、永田、行く?
ロサンゼルスで大谷翔平、観る?
というふうにある日聞かされて、
「行きます行きますもちろん行きます」と、
誰よりもハキハキとアピールしたのが
このぼく、私、拙者、それがし、ミーなのである。
というわけでみずからザブンと飛び込んだこの劣勢の沼。
四面楚歌、孤立無援、背水の陣、五里霧中、中肉中背、
という感じであるが、ご覧あれが龍飛岬、
井の中の蛙飛び込む水の音というではないですか。
なにがいいたいかというと、
このようにオイラ丸裸ということである。
数時間後に飛行機に乗り、太平洋を渡って、
糸井重里といっしょにロスの街をふらふらしつつ、
クライマックスのその日には、
ドジャースタジアムで大谷翔平を
しっかり目撃してこようと思っております。
ごめん、でもがんばるよ。
せめて泥臭く、つぎの1点、つぎの塁を狙う心構えで、
しっかりと当たり前に毎日のレポートを
現地から書いていきたいと思います。
テーマソングは『可愛くてごめん』でお願いします。Chu!
時差とか日付の問題があるので、
全何回になるのかすらはっきりしてませんが、
ええと、たぶん、5日間くらいかな?
そもそも現地からの更新がうまくいくのか。
何時にアップするには何時が締切なのか。
Wi-Fi大丈夫? 充電器持った?
そのあたりのどたばたもいっそ売りにしつつ、
一生懸命がんばりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。荷造りします。
(つづきます)
2024-09-25-WED