ひとつの教室に、昆虫博士がいて、
魚釣り名人がいて、
鷹匠までいる高校があるんです。
群馬県立尾瀬高校、
自然環境科3年生のクラスです。
みんながみんな、それぞれに、
好きなことをやっていて、
たがいのことを尊敬している。
偏差値とかとはちがうところで、
じつにのびのびと
才能を発揮している高校生たちに、
あこがれさえ感じました。
大きな自然を前にして、
先生と生徒が一緒に学ぶ関係性に、
あこがれたのかもしれません。
みんなこの3月に卒業、
それぞれの道を歩きだすその前に、
ギリギリ間に合いました。
担当は「ほぼ日」の奥野です。

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第8回 じゃあ5年後に、また会おう。

──
これから、この4人‥‥だけじゃなく、
クラスのみんなも、
卒業でバラバラになっていくけど、
何年か後の将来、
クラス会なんかで会うのも楽しみだね。
谷島
そうですね。
──
小川くんとかアラブ在住だったりして。
ターバンみたいのを巻いて。
小川
いやいや(笑)。
谷島
うちのクラスは、すごく仲いいんです。
家族みたいっていうか。
──
そうみたいだね、見てると。
谷島
だから、クラス会も今から楽しみです。

──
ぼくは20年以上前に、
群馬県の公立高校を出たんですね。
で、当時この尾瀬高校が、
いまみたいな尾瀬高校だったのか
わからないんだけど、
ふつうに実家からの通いやすさと、
偏差値で選んだんです。
大竹
はい。
──
だけど今日、みなさんの話を聞いて、
こういう高校生活、
いいなあって、あこがれました。
大自然を前に、
先生と生徒が一緒に学んでいる姿に、
あこがれたのかも知れない。
星野先生
うまく伝わったかな。大丈夫ですか?
──
はい、ぜんぜん大丈夫だと思います。
谷島
めっちゃいいこと言ったよね、俺ら。
星野先生
本当?
廣田
言った言った。

小川
大丈夫だから、心配しなくても。
星野先生
‥‥なんだか、おちゃらけてるけど、
この学校できちんと学んで
いろんな経験をしてるから、
最終的には
生徒を信じてはいるんですけど。
谷島
日ごろから評価されてないんだけど。
そのわりには。
星野先生
いやいや、そんなことないでしょう。
大竹
でも、俺たちは、認めてるよ。
谷島
こう言ってくれる仲間もいる。
──
いやあ、本当。いい仲間たち。
大竹
虫とか魚とか鷹匠とか、
ちょっと特殊なことをしてる人のこと、
誰も否定しないからね。
否定しないどころか、
みんな「すごいなー、おまえら」って。

廣田
おもしろそうにやってるから、
教えてほしいっていうこともあるしね。
──
誰も否定をしないって、すばらしいよ。
だって否定語ばっかりじゃないですか。
ネットの中とか、そういう目で見たら。
谷島
ここ以外の場所だったら、
ちょっとでも特殊な人だと思われたら
排除されたり、
いじめられたりするかもしれないけど。
──
うん。
谷島
うちの学校だと、それが武器なんです。
人とちがうってことが、いいんです。
大竹
だってさあ、本当に輝いて見えるから、
否定する気にならないんだよね。
だから、いじめとかも聞いたことない。
──
そんなこと、する気にもならないんだ。
そんなつまんないことは。
谷島
見たことも、聞いたこともないよね。
俺たちの代だけじゃなく、
歴代の先輩がたを見ていても、本当に。
──
大人なんですね、心が。
つまり、大人でいじめをやってる人は、
本当は大人じゃないんだと思う。
廣田
そうですね。
大竹
何を考えてんだろうって思うよ。
谷島
だから、ぼくたちは、
もっともっと
尾瀬高校のことを知ってほしいんです。
それで、もっともっとおもしろい人に、
入ってきてほしいと思っていて。
大竹
そうそう、そうだよね。
この高校、楽しいんだよって言いたい。
──
でも、知ったら入りたくなりますよ。
自分も、もう一回、
中学生に戻れるなら受けたいなと思う。
谷島
えっ、本当ですか。
雪上実習とかつらいですよ、けっこう。
──
ま、そこは、がんばるけど‥‥。

大竹
でも、楽しかったなあ、3年間。
谷島
うん、ものすごい充実感がある。
もう、詰まりに詰まった3年間(笑)。
──
いいなあ、そう言えるの。
小川
俺も、この高校でよかったです。
──
もう卒業だもんね。寂しい?
谷島
うん‥‥。
──
また何年か経ったら、
この4人に、ぜひ取材してみたいです。
谷島
あ、はい、それはもう!
ぜひ取材してください!
──
4年後は大学生の人もいるから、
じゃあ、5年後にしましょうか。
全員、社会に出てそうな5年後。
谷島
ああ、それ、おもしろそうです。
俺は挫折して‥‥
ちがうことをやってる可能性も、
なくはない。
小川
そんなことないでしょ。
──
小川くんはターバン巻いて(笑)。

大竹
俺は、日本にいない可能性がある。
──
そうなの?
大竹
はい、5年ごとに
国を変えて住んでみたいと思ってて。
なんでかって言うと、
俺は、これから学ぶ「柔道整復」を
世界に広げたいと思ってるから。
──
世界のどっかの国で整体をしている
大竹くんに、
5年後、連絡とれるかなあ。
大竹
メールもらえれば(笑)。
──
じゃあ、すみませんが、
取材のときには帰ってきてください。
大竹
わかりました。
谷島
絶対だからね。
大竹
うん。

(おわります)

2020-03-19-THU

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