ひとつの教室に、昆虫博士がいて、
魚釣り名人がいて、
鷹匠までいる高校があるんです。
群馬県立尾瀬高校、
自然環境科3年生のクラスです。
みんながみんな、それぞれに、
好きなことをやっていて、
たがいのことを尊敬している。
偏差値とかとはちがうところで、
じつにのびのびと
才能を発揮している高校生たちに、
あこがれさえ感じました。
大きな自然を前にして、
先生と生徒が一緒に学ぶ関係性に、
あこがれたのかもしれません。
みんなこの3月に卒業、
それぞれの道を歩きだすその前に、
ギリギリ間に合いました。
担当は「ほぼ日」の奥野です。
- ──
- これから、この4人‥‥だけじゃなく、
クラスのみんなも、
卒業でバラバラになっていくけど、
何年か後の将来、
クラス会なんかで会うのも楽しみだね。
- 谷島
- そうですね。
- ──
- 小川くんとかアラブ在住だったりして。
ターバンみたいのを巻いて。
- 小川
- いやいや(笑)。
- 谷島
- うちのクラスは、すごく仲いいんです。
家族みたいっていうか。
- ──
- そうみたいだね、見てると。
- 谷島
- だから、クラス会も今から楽しみです。
- ──
- ぼくは20年以上前に、
群馬県の公立高校を出たんですね。 - で、当時この尾瀬高校が、
いまみたいな尾瀬高校だったのか
わからないんだけど、
ふつうに実家からの通いやすさと、
偏差値で選んだんです。
- 大竹
- はい。
- ──
- だけど今日、みなさんの話を聞いて、
こういう高校生活、
いいなあって、あこがれました。 - 大自然を前に、
先生と生徒が一緒に学んでいる姿に、
あこがれたのかも知れない。
- 星野先生
- うまく伝わったかな。大丈夫ですか?
- ──
- はい、ぜんぜん大丈夫だと思います。
- 谷島
- めっちゃいいこと言ったよね、俺ら。
- 星野先生
- 本当?
- 廣田
- 言った言った。
- 小川
- 大丈夫だから、心配しなくても。
- 星野先生
- ‥‥なんだか、おちゃらけてるけど、
この学校できちんと学んで
いろんな経験をしてるから、
最終的には
生徒を信じてはいるんですけど。
- 谷島
- 日ごろから評価されてないんだけど。
そのわりには。
- 星野先生
- いやいや、そんなことないでしょう。
- 大竹
- でも、俺たちは、認めてるよ。
- 谷島
- こう言ってくれる仲間もいる。
- ──
- いやあ、本当。いい仲間たち。
- 大竹
- 虫とか魚とか鷹匠とか、
ちょっと特殊なことをしてる人のこと、
誰も否定しないからね。 - 否定しないどころか、
みんな「すごいなー、おまえら」って。
- 廣田
- おもしろそうにやってるから、
教えてほしいっていうこともあるしね。
- ──
- 誰も否定をしないって、すばらしいよ。
- だって否定語ばっかりじゃないですか。
ネットの中とか、そういう目で見たら。
- 谷島
- ここ以外の場所だったら、
ちょっとでも特殊な人だと思われたら
排除されたり、
いじめられたりするかもしれないけど。
- ──
- うん。
- 谷島
- うちの学校だと、それが武器なんです。
人とちがうってことが、いいんです。
- 大竹
- だってさあ、本当に輝いて見えるから、
否定する気にならないんだよね。 - だから、いじめとかも聞いたことない。
- ──
- そんなこと、する気にもならないんだ。
そんなつまんないことは。
- 谷島
- 見たことも、聞いたこともないよね。
- 俺たちの代だけじゃなく、
歴代の先輩がたを見ていても、本当に。
- ──
- 大人なんですね、心が。
- つまり、大人でいじめをやってる人は、
本当は大人じゃないんだと思う。
- 廣田
- そうですね。
- 大竹
- 何を考えてんだろうって思うよ。
- 谷島
- だから、ぼくたちは、
もっともっと
尾瀬高校のことを知ってほしいんです。 - それで、もっともっとおもしろい人に、
入ってきてほしいと思っていて。
- 大竹
- そうそう、そうだよね。
この高校、楽しいんだよって言いたい。
- ──
- でも、知ったら入りたくなりますよ。
- 自分も、もう一回、
中学生に戻れるなら受けたいなと思う。
- 谷島
- えっ、本当ですか。
雪上実習とかつらいですよ、けっこう。
- ──
- ま、そこは、がんばるけど‥‥。
- 大竹
- でも、楽しかったなあ、3年間。
- 谷島
- うん、ものすごい充実感がある。
もう、詰まりに詰まった3年間(笑)。
- ──
- いいなあ、そう言えるの。
- 小川
- 俺も、この高校でよかったです。
- ──
- もう卒業だもんね。寂しい?
- 谷島
- うん‥‥。
- ──
- また何年か経ったら、
この4人に、ぜひ取材してみたいです。
- 谷島
- あ、はい、それはもう!
ぜひ取材してください!
- ──
- 4年後は大学生の人もいるから、
じゃあ、5年後にしましょうか。 - 全員、社会に出てそうな5年後。
- 谷島
- ああ、それ、おもしろそうです。
- 俺は挫折して‥‥
ちがうことをやってる可能性も、
なくはない。
- 小川
- そんなことないでしょ。
- ──
- 小川くんはターバン巻いて(笑)。
- 大竹
- 俺は、日本にいない可能性がある。
- ──
- そうなの?
- 大竹
- はい、5年ごとに
国を変えて住んでみたいと思ってて。 - なんでかって言うと、
俺は、これから学ぶ「柔道整復」を
世界に広げたいと思ってるから。
- ──
- 世界のどっかの国で整体をしている
大竹くんに、
5年後、連絡とれるかなあ。
- 大竹
- メールもらえれば(笑)。
- ──
- じゃあ、すみませんが、
取材のときには帰ってきてください。
- 大竹
- わかりました。
- 谷島
- 絶対だからね。
- 大竹
- うん。
(おわります)
2020-03-19-THU