イラストレーターの福田利之さんといっしょに、
和歌山「アドベンチャーワールド」へ行ってきました!
なぜなら福田さんが、このテーマパークの全動物、
122種類のイラストを描きおろしたからです。
この偉業を記念して、渋谷PARCOの「ほぼ日曜日」では
「1/1動物園」という展覧会をひらきます。
くわしくはこちらをご覧ください。
でも、展覧会をひらくだけでは、
称えるきもちにまだ足りない。
「アドベンチャーワールド」へ行ってきました。
福田さんが描いた動物たちに会いたくて!
動物たちに
「この人が福田さんですよー」と伝えたくて!
‥‥伝わったかどうかは微妙でしたが、
「アドベンチャーワールド」は、
わくわくがとまらない場所でした。
ほんとうに、すばらしかった。
ジャイアントパンダが7頭もいるんですよ?
って、関西の方には常識のようで。
主に、この場所を未体験のあなたにお届けします。
「アドベンチャーワールド」、行ったほうがいいです。
レポートに同行したのは、
福田さんと18年来のお友だち、ほぼ日の山下です。
アドベンチャーワールドには、
パンダが暮らす場所が2か所あります。
最初にご紹介した「パンダラブ」と、
もうひとつが「ブリーディングセンター」。
ごはんを食べ終えたふたりは、
「ブリーディングセンター」にやってきました。
ここには1歳の「楓浜(ふうひん)」がいるんです。
※この取材(3月)のあと、楓浜は、
お母さんから離れ、ひとり立ちしてお引越し。
2022年4月14日から
「パンダラブ」での公開となりました。
- 福田
- こっちです。
- ───
- む、胸が高鳴ります。
- 福田
- ここです、ここ。
「ブリーディングセンター」。
- ───
- お客さんがたくさん。
そしてここも遮るものがなくて、
のびのびした場所です。
- 福田
- います、いますよー(笑)。
- ───
- わあ、2頭いっしょにいるー(笑)。
- 福田
- 親子なんです。
上で遊んでるのが
1歳の「楓浜(ふうひん)」。
下にいるのがお母さんで、
「良浜(らうひん)」。
- ───
- ふうひんは? 女の子?
- 福田
- はい。
- ───
- ふうひんちゃーん、
イラストを描いた福田さんですよー。
- 福田
- まだそれを(笑)。
- ───
- 初志貫徹しないと。
‥‥それにしても、たまらないですね。
1歳ですかぁ、かわいいなぁ。
- 福田
- ふうひんは、あれ、
竹を食べてるんですかね?(笑)
- ───
- 遊んでるように見えます(笑)。
- ───
- ‥‥か、かわいいっ!!
- 福田
- お母さんは、さすがの安定感で。
- ───
- お母さんもかわいいなぁ。
- 福田
- たくさん赤ちゃんを産んで育てた
ベテランのお母さんなんだそうです。
- ───
- そうなんだぁ。
‥‥ん? お母さん、笑ってる?(笑)
- 福田
- ようにも見えます(笑)。
- ───
- ああ‥‥(ただ見ている)。
- 福田
- ‥‥‥‥(ただ見ている)。
- ───
- ‥‥‥‥‥‥。
- 福田
- ‥‥‥‥‥‥。
- ───
- ‥‥たまんないです。
放心状態になってしまいます。
- 福田
- はい‥‥。
- ───
- ‥‥その放心状態のまま、福田さん、
フォトスポットがそこにあるので、
抱っこされてください。
- 福田
- はい‥‥(抱かれる)。
- ───
- ‥‥すばらしい。
- 福田
- そして、となりにいるのが(歩く)、
さらに大ベテラン。
お父さんの「永明(えいめい)」です。
- ───
- おーー、貫禄たっぷりですね。
- 福田
- たしか、ことし30歳だと思います。
- ───
- そうですかぁ。
落ち着いていて、風格を感じます。
お父さんも、また人気者ですね。
- ───
- (いちばん前の場所が空いたのを確認)
‥‥それでは、失礼いたします。 - えいめいさーん。
- ───
- イラストレーターの、
福田利之さんでーす。
- 福田
- ‥‥絵を描きました。
- ───
- あれ? ふ、福田さん、
お父さんの、あの表情は‥‥。
- 福田
- ‥‥どっしりと、
受け止められている気がします。
しばらくのあいだ、男ふたりはただただ、
パンダの姿を眺めていたといいます。
やがて、約束のお時間に。
それは、どんな約束なのか。
ずばり、パンダの飼育スタッフさんの
お時間をいただけるという幸福な約束でした。
ご指定いただいた場所に、
時間ぴったりに来てくださった
ジャイアントパンダ飼育スタッフ、
品川友花さんにお話をうかがいます。
- ───
- お忙しい中、ありがとうございます。
- 品川さん
- いえいえ、はじめまして。
- ───
- ええと、品川さん、福田さんとは‥‥?
- 品川さん
- あ、はじめてお会いします。
- ───
- そうですか!
- それではご紹介いたします。
品川さん、
福田利之さんです。
この度アドベンチャーワールドさんの
動物たち122種類の絵を描いた人です。
- 品川さん
- ほんとうに、お疲れさまでした。
- ───
- (通じる喜びを感じている)
- 福田
- ありがとうございます。
たのしかったです。
- 品川さん
- 飼育スタッフの意見を取り入れるのは
たいへんだったと思います。
- 福田
- そうですね(笑)、
飼育スタッフさんたちに
お話を聞かせていただいて、
まずは描いて、見ていただくんですが、
まあ、それが‥‥。
- ───
- 一回では決まらなかった。
- 福田
- はい。
当然ですが飼育スタッフさんたちは
それぞれに深い思いがありますので。
描き直して、見てもらって、また直す、
というのを繰り返す感じでした。
- ───
- パンダの絵も。
- 福田
- ‥‥正直、たいへんでした(笑)。
最後にいくつか候補を出して‥‥
あれはどうやって決めたんですか?
- 品川さん
- どれもかわいくて決められないので、
スタッフで人気投票したんです(笑)。
- 福田
- あ、そうだったんですね(笑)。
- 品川さん
- ありがとうございました。
- ───
- 品川さんは、どのくらい
ジャイアントパンダを
担当されているのですか?
- 品川さん
- 期間でいうと、10年くらいでしょうか。
- 福田
- 10年。
もう、家族ですね。
- 品川さん
- はい、もう、そうですね(笑)。
- 福田
- パンダの飼育スタッフさんには、
とくべつなご苦労があるのでしょうか?
- 品川さん
- とくべつといいますか、
生き物を飼育するという意味では、
どの飼育スタッフにも
それぞれの苦労があると思います。
まず、健康管理が第一です。
病気にならないよう、
衛生管理には常に気をつけています。
- 福田
- なるほど。
- 品川さん
- パンダの場合は、食べものでしょうか。
竹をものすごく食べるので。
- ───
- びっくりしました。
ずっと食べてるんですね。
- 品川さん
- 起きているあいだは
ずっと食べている動物なんです。
1日に20〜30キロとか。
もっと食べるパンダも。
ですから、常に大量の新鮮な、
おいしい竹を準備しなければいけない
という苦労はあります。
- 福田
- 気に入らない竹は食べないそうで。
- 品川さん
- そうなんです、グルメで(笑)。
スタッフがいろいろなところで
竹を手に入れて、
「永明はこれを食べる。
これはどうだろう」と試しながら、
それぞれの好みを探しています。
- 福田
- 個々に違う。
それはたいへんですねぇ。
- ───
- 変な質問かもしれませんが‥‥
パンダって、すごく遊びませんか?
- 品川さん
- あ、そうですね、遊びます。
ジャイアントパンダを
ずっとみてくださっている獣医さんも
おっしゃってました。
「パンダほど遊ぶ動物はいない」と。
- ───
- おとなのパンダも遊びますよね?
- 品川さん
- はい、うれしいとはしゃいで。
雪が好きなんです。
数年前に雪が降ったとき、
お父さんパンダの永明が
ほんとに童心に帰って遊んでました。
すごかったんです。
あんなにはしゃぐの
見たことないくらい(笑)。
- 福田
- あの貫禄のあるお父さんが(笑)。
- 福田
- アドベンチャーワールドには
7頭もパンダがいますが、
もしかして世界一ですか?
いや、それは中国か。
- 品川さん
- そうですね、中国以外で、
飼育頭数は現在のところいちばんです。
- 福田
- どうしてなんでしょう?
なぜアドベンチャーワールドでは、
たくさん赤ちゃんが産まれるんですか?
- 品川さん
- いくつかあるのですが‥‥。
まず、空気がきれいで、
水がおいしくて、
新鮮な餌も豊富に手に入るので、
ジャイアントパンダたちがのびのびと
健康に暮らせるというのは、
あると思います。
- 福田
- はい、のびのびとしていました。
- 品川さん
- そして、お父さんの永明に
自然交配できる能力があったことが
とても大きい理由です。
中国でも、飼育下で自然交配できる
ジャイアントパンダは
すくないらしいんです。
- 福田
- そうなんですか。
- 品川さん
- お母さんの良浜が
子育てをちゃんとできることも、
同じくらい大きい理由です。
- 福田
- お父さんお母さんがすばらしい。
- 品川さん
- あとそもそも、ジャイアントパンダは
オスメスの相性がすごくたいせつで、
相手を、人間並に選ぶんですね。
- 福田
- ペアリングが難しい。
- 品川さん
- そうです。
最初の顔合わせで相性が悪かったら
もう一生ペアになれない、
というくらいにたいせつです。
ですから相性が良かったことも、
家族が増えた大きな理由です。
- 福田
- いろいろな偶然が、たまたま重なって、
この奇跡的な家族が‥‥。
- 品川さん
- そうそう、そうなんです。
さらにさかのぼって言いますと、
梅梅(めいめい)という
パンダがここにいまして。
- 福田
- 梅梅は、たしか亡くなって‥‥。
- 品川さん
- はい、2008年に。
アドベンチャーワールドで
最初にお母さんになった
ジャイアントパンダの梅梅は、
中国から日本に来たとき、
すでにおなかに赤ちゃんがいたんです。
その赤ちゃんが、
たまたま女の子だった。
これも、大きな偶然でした。
- 福田
- 産まれてきた、その女の子が‥‥。
- 品川さん
- いまのお母さん、良浜です。
- 福田
- はあ~~~。
- 品川さん
- もしあのとき男の子が産まれていたら、
いまのこの家族はできていません。
- 福田
- ほんと、奇跡の家族なんですね‥‥。
- ───
- 品川さん、ありがとうございました。
お忙しい中、
お時間をとらせてすみません。
- 品川さん
- いえいえ、たのしかったです。
- 福田
- いつか、7頭それぞれを描きたいです。
ファンに怒られそうですけど(笑)。
- 品川さん
- それはすてきですね!
それぞれにポイントがあるので
描きわけていただけると思います。
- 福田
- はい、描きたいです。
‥‥あの、どうぞお戻りください。
すみません、
パンダたちが待ってますよね(笑)。
- 品川さん
- はい(笑)、
それでは失礼いたします。
- ───
- 貴重なお話をありがとうございました。
- 福田
- ありがとうございました。
- ───
- ‥‥いいお話が聞けました。
- 福田
- 奇跡、なんですねぇ‥‥。
- ───
- はい。
‥‥それはそうと、
気になったことがありました。
- 福田
- なんですか?
- ───
- 品川さん、傘を持ってましたよね。
- 福田
- はい。‥‥あ。
- ───
- はい。
-
ほぼ日曜日(渋谷PARCO8階)で開催!
福田利之 イラストレーション
1/ 1(じつぶつだい)動物園