イラストレーターの福田利之さんといっしょに、
和歌山「アドベンチャーワールド」へ行ってきました!
なぜなら福田さんが、このテーマパークの全動物、
122種類のイラストを描きおろしたからです。
この偉業を記念して、渋谷PARCOの「ほぼ日曜日」では
「1/1動物園」という展覧会をひらきます。
くわしくはこちらをご覧ください。
でも、展覧会をひらくだけでは、
称えるきもちにまだ足りない。
「アドベンチャーワールド」へ行ってきました。
福田さんが描いた動物たちに会いたくて!
動物たちに
「この人が福田さんですよー」と伝えたくて!
‥‥伝わったかどうかは微妙でしたが、
「アドベンチャーワールド」は、
わくわくがとまらない場所でした。
ほんとうに、すばらしかった。
ジャイアントパンダが7頭もいるんですよ?
って、関西の方には常識のようで。
主に、この場所を未体験のあなたにお届けします。
「アドベンチャーワールド」、行ったほうがいいです。
レポートに同行したのは、
福田さんと18年来のお友だち、ほぼ日の山下です。
和歌山県、南紀白浜のテーマパークに、
ほんのすこしの雨が降る。
男ふたりは、パークの奥に位置する
「サファリワールド」へやってきました。
何度か来たことがある福田さんが、
いきいきと道案内をしてくれます。
- 福田
- こっちです。
ほら、あそこ、見てくださいほら。
- ───
- ‥‥あれは、ゾウ?
パークの入り口にもいましたよね。
- 福田
- さっき見たのはアジアゾウ。
こっちは、アフリカゾウです。
- ───
- アフリカゾウ。
はじめて本物を見るかもしれません。 - お客さんがたくさんいますね。
- 福田
- フィーディングタイムです。
- ───
- フィーディング‥‥
つまり、ごはんをあげている。
そしてそれを体験できる!
だから人々が並んでいる!
- 福田
- ずばり正解。
さ、行きましょう(走る)。
- ───
- (走る)。
- 福田
- (到着)はぁはぁ‥‥。
- ───
- はぁはぁ‥‥
アフリカゾウフィーディング。
- 福田
- 順番を待ちましょう。
- ───
- 待ちましょう。
それはそうと、福田さん。
サファリパークという場所は、
車で進むものだと思ってました。
ここは歩いて進んでもいいんですか。
- 福田
- ええ、歩いて動物に会えます。
「ウォーキングサファリ」
というツアーです。
- ───
- いいですね、
歩いて動物に出会うって、
すごく生身で接する感じがします。 - ‥‥ほんと、近い。
- 福田
- で、バナナ。
- ───
- バナナ。
- 福田
- アフリカゾウにあげるバナナです。
- ───
- 手から?
- 福田
- そうです。
- ───
- 直接?
- 福田
- もちろんです。
- スタッフさん
- はーい、じゃあ次の方ー。
- ───
- ‥‥ぼくらの番です。
- スタッフさん
- お待たせしました、どうぞー。
- ふたり
- はいっ!
- スタッフさん
- このアフリカゾウに、
バナナをあげてくださーい。
- ───
- はい。
では福田さん、お願いします。
- 福田
- わかりました‥‥見ててください。
(アフリカゾウの正面に立つ) - ‥‥いきますっ。
- ───
- いった! 鼻がのびた!
- ───
- バナナをつかんだ、
鼻がもどった! 食べた!
- 福田
- ははははは。
- ───
- もういっかい、もういっかい!
- 福田
- いきますよ‥‥。
- ───
- 鼻がのびた! すごいのびる!
- ───
- ゾウの鼻の穴って、こんななんだ!
- 福田
- ほい。
- ───
- バナナをつかんだ、
鼻がもどった!
- ───
- もぐもぐ食べた!
- 福田
- ははははは。
- ───
- もういっかい、もういっかい!
- 福田
- いきますよー、ほい!
手元のバナナがなくなるまで、
福田さんはアフリカゾウにバナナを渡しました。
スタッフさんが、
ほかの動物でもフィーディング体験が
できることを教えてくれました。
ふたりは教わった場所へ向かいます。
もちろん、駆け足で。
- 福田
- ‥‥はぁはぁ‥‥
この場所のはずですが‥‥。
- ───
- このテラスでフィーディング体験‥‥。
肝心の動物は‥‥?
おあ! 福田さん、うしろうしろ!
- 福田
- (振り返る)ほあー(笑)。
- ───
- 「キリンテラス」という場所です。
これは当然、
テラスの上にのぼるべきでしょう。
- 福田
- のぼるべきです!(階段で上へ)
- ───
- 待ってー!(階段で上へ)
- 福田
- ふほーーー(笑)。
- ───
- ‥‥すごーい。
キリンをこの高さから
見るのははじめてです。
- 福田
- キリンと目線の高さがいっしょ(笑)。
- ───
- ここにエサがあります。
さ、福田さん、食べさせてあげて!
- 福田
- わかりました。
- ‥‥うう、なんでやろ?
アフリカゾウよりこわい(笑)。
- ───
- がんばって(笑)。
- 福田
- ‥‥いきます。
- 福田
- うひゃあ~~~(笑)。
- ───
- どどど、どんな感触でした?
- 福田
- 舌が(笑)、
長い舌が指にからみついて(笑)。
ザラザラしてました。
すごい迫力。
「近い」どころではありません、
もう「接している」のです。
ありのままの動物に。
ふたりはさらに、ウォーキングサファリ。
いろいろなありのままの動物に会いました。
- ───
- (歩きながら)だいぶ進みましたね。
- 福田
- ねえ。
- ───
- (きょろきょろ)‥‥ライオンは?
- 福田
- え?
- ───
- ライオン。
どこにいるんですか?
- 福田
- ここにはいませんよ(笑)。
「ウォーキングサファリ」は
草食動物ゾーンを歩くツアーですから。
- ───
- そうなんですか。
- 福田
- ライオンは肉食動物ゾーンです。
歩いて行ったらえらいことになります。
- ───
- 肉食ゾーンにはどうやって?
- 福田
- 入り口に乗り物があったでしょ?
あれに乗って行くんです。
- ───
- じゃあ、入り口に戻りましょう。
- 福田
- 戻りますか、せっかくですものね。
けっこう奥まで進んだ道のりを、
ふたりは歩いて戻りました。
ちなみに「サファリワールド」には、
草食動物ゾーンを自転車で移動する
「サイクリングサファリ」
というツアーもありました。
これにすればよかったですね。
ともあれ、しばらく歩いて到着。
サファリワールドをゆっくりと一周する
「ケニア号」の乗り場へ向かいます。
- ───
- 来ました、来ましたよ!
ケニア号が来ました!
- 福田
- また気分が上がりますねー。
- ケニア号
- プッシューーー。(到着)
- ───
- わー、椅子がかわいい。
座りましょう!
- 福田
- (乗る)よっこいしょっと、
ああ、ごめんなさい荷物が。
- ───
- カラフルな袋が重たそうですね。
大丈夫ですか?
- 福田
- ほい、大丈夫です。
と、青いシートに落ち着いたときでした。
窓の外から、
立派な一眼レフカメラをかまえた
若い男性のスタッフさんが、
笑顔でぼくらに声をかけます。
「こんにちはー!」
- スタッフさん
- こんにちはー!
- ふたり
- こんにちはー!!
- スタッフさん
- 出発前に
お写真を撮らせてくださーい!
- ふたり
- はーーい!
- スタッフさん
- ポーズをとりましょー!
- ───
- どうします?
とりあえず肩を組みますか。
- 福田
- はい。
(右腕を山下の肩に)
- ───
- よいしょ。
(左腕を福田さんの肩に)
で、ガオーッ! とやりましょう。
- 福田
- ガオー?(笑)
- ───
- 肉食動物ゾーンに行くんだから。
せえのぉ‥‥
- ふたり
- ガオーーーッ!(ポーズ)
- スタッフさん
- わー(笑)、最高です!
撮りまーす!(パシャッ)
たのしいツアーをー!(去る)
- ふたり
- 行ってきまーす!
- ───
- ‥‥気持ちのいい若者でしたね。
- 福田
- 気持ちのいい若者でした。
- ───
- ケニア号で戻ってきたら、
今の写真を買えると思います。
- 福田
- 記念に買いましょうね!
- ───
- 買いましょう!
ガオーッ! とやってる写真を。 - おおっと、ケニア号が出発しました。
- 福田
- 出発進行ー。
- (ケニア号は進む)
- ───
- いやー、快適ですねー。
- あ、ほら、さっきぼくらがいた
アフリカゾウのところです。
- 福田
- ほんとだ。
- そしてキリンテラスも見えます。
(ケニア号は進む)
- ───
- ケニア号、いいですねー。
のんびり進む、この速度も。
- 福田
- シマウマー。
(ケニア号は進む)
- ───
- ダチョウ~。
(ケニア号は進む)
- 福田
- バクです。マレーバク。
- ───
- ほんとだぁ。
バクの白黒もパンダみたいに
保護色なんでしょうかねぇ?
- 福田
- どうなんでしょうねぇ?
- (ケニア号は、ゆっくり進む)
- 福田
- あ、サイですよ、ミナミシロサイ。
- ───
- 残念、お尻しか見えなかった(笑)。
- それにしても福田さん、
ぜんぶの絵を描いただけあって
名前をよく知ってますねぇ。
- 福田
- 勉強になりました。
- (ケニア号は、ゆ~ったり進む)
- 福田
- ‥‥さあ、いよいよ。
いよいよ肉食動物ゾーンですよ。
- ───
- いやぁ、快適ですー。
- 福田
- あ、ほら、山下さん、
ご希望のライオンです。
- ───
- お~。
- 福田
- たてがみが立派ですねぇ。
- ───
- ねぇ~‥‥。
- (ケニア号は、心地よ~く進む)
- 福田
- ははは、クマです。
エゾヒグマ。
でーんと座ってます(笑)。
- ───
- ‥‥はははは‥‥。
- (ケニア号は、なめらかに、進む‥‥)
- 福田
- うつくしい‥‥。
チーターって、きれいな動物ですよね。
- ───
- ‥‥チー‥‥タ‥‥・
- (ケニア号は、ゆりかごのように揺れながら進む)
(静かな車中。窓に雨粒。
春先のちょうどよい気温。
心地よく疲れた身体‥‥)
- 福田
- ああ、トラが寝ています。
アムールトラですね。
- ───
- トラ‥‥。
‥‥アムール‥‥
‥‥‥‥ト‥‥ラ‥‥
(ケニア号は、淡々と進む)
- 福田
- お、ホワイトタイガーだ。
- ───
- ‥‥‥‥‥‥‥。
- 福田
- 野生では見ることができな‥‥
‥‥あれ?
- ───
- ‥‥‥‥‥(寝息)。
なんということでしょう。
あってはならないことです。
(寝息)って!
福田さんはやさしく微笑むと、
スマホのカメラで寝息の山下を撮りました。
そのまま、約8分ほどが経過して‥‥。
- ケニア号
- プッシューーー。(到着)
- 福田
- ‥‥山下さん。
- ───
- ‥‥‥‥。
- 福田
- (やさしく)山下さん、着きましたよ。
- ───
- ‥‥はっ。
- 福田
- さ、降りましょう。
- ───
- ‥‥‥‥あ、はい。(降りる)
- 福田
- やー、ケニア号よかったですね。
- ───
- ‥‥‥‥福田さん、
ごめんなさい!!
なんでぼくはこんなときに‥‥。
- 福田
- (やさしく)気にしないでください、
朝早い飛行機だったし、
歩いたり走ったりしましたから(笑)。
- ───
- たのしくなかったわけじゃないんです!
- 福田
- (やさしく)わかってますよ。
- ──
- あと、そうだ‥‥
忘れてた。
「キリンさーん、福田さんですよー」
みたいに言うやつ。
これをしばらくやってなかった!
- 福田
- (やさしく)それはもういいですよ。
- ──
- ‥‥なさけないです。
- 福田
- じゃあ、こうしましょう。
眠気覚ましに、
コーヒーを淹れましょう。
- ───
- え、コーヒー?
- 福田
- そう、いつものやつです。
-
ほぼ日曜日(渋谷PARCO8階)で開催!
福田利之 イラストレーション
1/ 1(じつぶつだい)動物園