2021年に活動30周年を迎える増田セバスチャンさんは、
日本のKawaiiカルチャーを牽引する世界的アーティスト。
このたび、渋谷PARCO「ほぼ日カルチャん」にて、
イベント『増田セバスチャンと6%DOKIDOKI 1995→2021』
を開催することになりました。
このイベントでは、
「Sensational Kawaii(センセーショナル・カワイイ)」を コンセプトに掲げる
増田セバスチャンさんの原宿のショップ
「6%DOKIDOKI(ロクパーセントドキドキ)」をフィーチャー。
26年前のオープン当時の写真や商品カタログ、
商品デザインに使用されたアート作品などを展示します。
また、最新アートグッズやファッションアイテムのほか、
90年代に使用していたデザインの復刻版ポスターの販売も。
今回、イベントに先駆けて、
増田セバスチャンさんと
増田さんのアトリエのマネージャー北村さんに
たくさんのお話を聞きました。
Kawaiiとは何なのでしょうか。
そして、増田セバスチャンさんは
どこへ向かっているのでしょうか……?
[過去のほぼ日のコンテンツ]
増田セバスチャンさんと、糸井重里
増田セバスチャンの 「あっちとこっち」展 のページはこちらから。
<第3回>
世界がつながる
「Kawaii Tribe Session」
- ――
- 「Kawaii Tribe Session」では、
どんなことをされているんですか?
- 北村
- コロナ禍なので、まず最初に
「あなたの街の様子はどうですか?」という質問から始めます。
それから2時間くらい、
「あなたにとってKawaiiとは?」など
意見を交わしながら、みんなで話し合うんです。
- 増田
- アトリエチームが仕事の合間に配信の仕方を覚えて。
基本的には非公開で
参加者の周りや関係者のみに配信しています。
- ――
- ちなみに、最初に
「Kawaii Tribe Session」をやった国は?
- 北村
- カナダでしたね。
2020年7月、カナダがロックダウンで
いちばん厳しかった時期です。
その後、イギリス、イスラエル、ボリビア、
メキシコ、アメリカ、フランス。
- 増田
- 外に出られないから、
ふだんおしゃれもできないじゃないですか。
だからみんなで、家でおしゃれをして楽しむんです。
ミーティングなので、ちょっと難しい話もしますね。
- 北村
- そうですね。「Kawaii Tribe Session」のほかに、
もっと気楽に参加できるオンラインパーティも
定期的に開催しています。
店内から6%DOKIDOKIのスタッフがDJをして、
参加者で家にミラーボールがある人は
ミラーボールを回したりもして。
- 増田
- 6%DOKIDOKIは
毎年のように海外ツアーを開催してたんですが、
コロナ禍でそれができなくなったので、
原宿から配信しようと。 - ドレスコードも
開催国のリーダーの子たちと
一緒に決めるんですけど、
メキシコのときは「シュガースカル」といって、
メキシコの代表的な祭事・死者の日を
テーマにしました。 - そうすると、
みんなスカルのメイクをして
パーティに参加してくれるんです。
- ――
- 楽しそう。
たしかにそちらは気軽に参加できそうです。
- 増田
- 原宿に来たくてもみんな来られないから、
街を歩いてライブ中継をすることもあります。
- 北村
- 6%DOKIDOKIスタッフが街を歩くところを、
アトリエのスタッフがiPadを持ちながら撮影して、
竹下通りを歩いて原宿駅の新駅舎まで行ったり、
クレープを食べながら配信したり。 - そうすると、チャットで盛り上がって
「私も原宿に帰りたい!」
っていうメッセージがたくさん来るんです。
昨年は、このパーティーを
毎月欠かさずやっていました。
- 増田
- その後、今年に入ってからは
主催を海外にしたんですね。
ちょうどメキシコとカナダの回が
終わったんですけど、
どの国が主催でも、
全世界の人が参加できます。
- 北村
- 配信が終わった後はみんな仲良くなって、
SNSでフォローし合うんですよ。 - あ、メキシコには
「メヒジュク」があるというのをご存じですか?
- ――
- メヒジュク?
- 北村
- メキシコの原宿だから、メヒジュク。
場所の名前というよりは概念なんですけど、
原宿の子達が開催してる
「原宿ファッションウォーク」
というストリートファッションショーを真似て
「メヒジュク ファッションウォーク」
というイベントもやっていて、
そのイベントの動画も配信しました。
- ――
- とても興味を惹かれますね。
- 増田
- こういう活動をしていても、
なかなか知ってもらえないんですけどね(笑)。
でも、自分のコミュニティで
メンバーとコミュニケーションをとることが、
すでに作品になっていると言ってくださる方もいて。
それは素直にうれしいと思いました。
――:素敵だと思います。
- 増田
- Kawaii Tribe Sessionは
先日韓国でやって、
来月はバーレーンを予定しています。 - オンラインで
みんなが集まれるツールが
世界標準になったことによって、
Kawaiiを好きな子が本当にたくさんの国にいて、
前よりも自由に交流できることに気づきました。 - Kawaii以外の
日本のカルチャーに強い興味を持っている人もいますし、
日本的な考えかたに共感している人もたくさんいます。
いまは毎月のようにいろんな国の人と話して、
それがある意味自分のエネルギーといいますか、
いちばんのモチベーションになっていますね。
- 北村
- ここ2年は
そういったKawaiiについての活動の傍ら、
作品も作り続けてきました。 - コロナ禍になっていちばん最初に作ったのが、
じつは今回の「ほぼ日カルチャん」の
メインビジュアルになったきのこの作品で、
これはその後に続く『Primal Pop』というシリーズの習作です。 - ちなみにPrimal Popというのは、
「原始的なポップさ」という意味で、
本人が子供の時に持っていた感覚と、
創作活動を始めた90年代の感覚をミックスしたようなシリーズ。
今回ほぼ日カルチャんで展示する
90年代の6%DOKIDOKIの空気感と
とても親和性がある作品なんです。
- 増田
- これを作った後に、
今バンダイナムコの本社エントランスに飾られている
パックマンの作品に取り掛かったんですが、
自粛期間中に大きな作品の制作に没頭できたことも、
自分の支えにもなりました。 - カルチャんでは、
壁に90年代のカタログや店内写真も掲示しますが、
自分としては昔のものを見られて
ちょっと恥ずかしいんですよね。
漫画家のデビュー作のような気持ち。 - でもこの歴史があることで、今の活動や
6%DOKIDOKIを理解しやすいとスタッフが言うので、
こういうコンセプトのポップアップになっています。
- 北村
- 「Yes, Kawaii Is Art」の
前哨戦のようなイメージですね。
(つづきます)
2021-09-27-MON