こんにちは、ほぼ日のです。
人生に、一体なんなんだろう、というような
不思議なことが起こったことはありますか?
私はあります。
2017年、北ヨーロッパの国・ラトビアで行われた
「お邪魔者(Saboteur)」という
ボードゲームの世界大会で2位になりました。
いつか世界一になるのが夢です。
‥‥なにそれ、と思いますよね。
自分でも思います。
上の写真、隣にいるのは、このゲームの作者、
ベルギー人のフレデリック・モイヤーセンさんです。
個人的な話で恐縮ですが、
一人でも多くの人にこのゲームの楽しさを
知っていただきたく、よかったらお付き合いください。
3年間、全力で遊んだ日々の記録です。
- こんにちは、ほぼ日のです。
2017年11月、ラトビアの首都リガで行われた
「お邪魔者(Saboteur)」という
ボードゲームの世界大会で、世界2位になりました。 - それはとても不思議なことでした。
というのも、それまで私は
ボードゲームに詳しいわけでも、
ハマっていたゲームがあるわけでもなかったのです。
- 世界2位になったのは、4年前のことです。
当時、このボードゲームの大会に出たことを
何らかの記事にしたい、とは思っていました。 - 日本大会の予選には
「ほぼ日」からも8人が参加しましたし、
私は編集部に属しています。
社員の周辺で起こったことを
何でも気軽に書く傾向がある弊社、
これも、何らかの記事にするのが
自然だったと思います。 - ところが当日は私自身もゲームに集中しているので、
リアルタイムの中継はできない。
後から記事にするにも、結果的に
自分が勝ち進んでしまったので、書きにくかったんです。 - 日本大会で優勝したのは‥‥私です。
世界への切符を手にしたのは‥‥この私です!
(‥‥書きづらいです) - それで長く放置していたのですが、
やっぱり書いてみよう、と思い立ちました。 - 新型コロナの影響で、
昨年、2020年の「お邪魔者」世界大会は中止になりました。
今年もおそらく中止だと思います。
身近だった海外も遠ざかり、
きゅうくつさを感じる昨今、
振り返ると、みんなで集まって、
真剣に遊んでいたあの日々が夢のようにも思えます。
またいつかコロナ禍が落ち着いた後に、
大勢でボードゲームがしたい、
そう願っているからです。 - もうひとつの動機は、
こんなに「ヘン」で楽しいものがあることを、
やっぱり少しでも広めたいと思ったからです。 - ここまで変わった雰囲気のボードゲームの大会って
ほかにないように思います。
まず、敷居がものすごく低い。
ルールが簡単で、幅広い年齢層が楽しめます。
そして、戦略もあることはあるのですが、
世界2位になったあとも、勝ちパターンが
いまだハッキリしないのです。 - 将棋や囲碁の世界で、初心者が突然
「世界一になりたい」なんて言っても、
相手にされませんよね。
ボードゲームの世界も同じで、
世界大会が行われるようなボードゲームには、
必ず圧倒的に強い人がいて、
初心者が世界一を狙ったりはできません。
でも、「お邪魔者」は運が大きく勝敗を左右するので、
初心者がとんとん拍子に勝っていくことが
普通におこるのです。 - かといって、運だけではない部分もちゃんとあって、
練習のしがいもあります。
「相手に信用してもらう」
「相手の嘘を見破る」といった、
コミュニケーションのおもしろさもあります。 - ということで、このヘンなゲームの話を
読んでくださったかたが、
一人でも、「いつかやってみようかな」と
思ってくれたらうれしい。
そう思って、書き進めます。 - その前に、今更ですが、
「ボードゲーム」はご存知でしょうか?
言葉の意味を調べると、
「盤上にコマやカードなどを置いて、動かしたり、
取り除いたりして遊ぶゲーム」だそうです。
昔からあるものだと人生ゲーム、すごろく、モノポリー‥‥
つまり、「電気を使わないアナログのゲーム」ですね。 - 2015年頃、ほぼ日社内で
ボードゲームが流行りはじめました。
社員研修旅行の際に、
同僚が「ごきぶりポーカー」と
「ワンナイト人狼」というボードゲームを持って来ていて、
みんなで夜通し遊んだのがきっかけです。 - 小さなことにも熱くなる人たちと、
真剣に遊ぶことができるって、すごくおもしろいし、
幸せなことだなと実感したのです。
- その後、2016年の初夏のことです。
ボードゲーム専門のお店と会社「すごろくや」の代表、
丸田さんが弊社にやってきて、
「みんなで遊びましょう!」と、
たくさんのボードゲームを紹介してくれました。 - 丸田さんはかつて、糸井と一緒に
「MOTHER2」のスタッフとして
働いたこともある方です。
気仙沼のほぼ日乗組員の知り合いでもあり、
そのご縁で、
2015年の冬には、ほぼ日のTOBICHIで、
ボードゲームイベントも開催してくれました。
- いくつかのゲームで遊び終えた後、
丸田さんが、そうだ、これもついでに‥‥
という感じで言いました。 - 「いまイチオシのボードゲームがあります。
ドイツ生まれのゲームで、
日本語版が出たばかりなんですけどね」 - そう言って取り出したのは、手のひらサイズの小さな箱、
それが「お邪魔者」でした。
その場には7~8人ほどいたでしょうか。
丸田さんに説明を受けながら
まずはやってみることになりました。 - ‥‥なんだこれ、ものすごくおもしろい!!!
- それが私の最初の感想でした。
- ルールはいたってシンプルで、
誰が味方で誰が敵かわからない状況で、
嘘をついたり、かけひきをしながら、
「金」のゴールを目指します。
チーム戦ですが、1セットごとにチームが変わり、
得点は個人ごとに入ります。
- かんたんなのですが、奥が深く、
互いにだましだまされたりする要素がおもしろい。
嘘をうまくついてだましたときの
「にやり」となる気持ちもいいし、
真実を言って信用され、ゴールを掘り当てたときの
晴れやかな気持ちもいい。
私たちはすぐこのゲームに夢中になりました。
すると、丸田さんが言ったのです。 - 「もうすぐ、お邪魔者の日本選手権があります。
会場はすごろくやです。
優勝したらハンガリーのブダペストで行われる
世界大会に出場する権利をもらえます」 - ブダペスト‥‥!?
- 丸田さんが続けます。
- 「新しいゲームだし、初回ということもあって、
参加者は40人くらいだと思うんですよね。
これは運の要素が強いので、かなり乱暴に言ってしまえば、
40人のじゃんけんで勝った人が
ブダペストに行けるようなものです。
宝くじよりだんぜん高い確率です」 - 40人のじゃんけんで勝ったら
ハンガリーのブタペストに行ける‥‥? - 「出ようかな」
「私、出る」
「じゃあ私も」 - その場にいたメンバーのなかで、
なんでもやりたがりの3人が手を挙げました。
その3人は、 です。
(とはいえ、そんなにうまくいくはずもなく‥‥次回につづきます)
2021-09-27-MON
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お邪魔者ってこんなゲームです。
ドイツ生まれのボード(カード)ゲーム。
「お邪魔者」と「お邪魔者2」がありますが、
大会は通常の「お邪魔者」のほうを使います。
3人以上でできますが、5~8人がベストな人数です。
最初に引く役割カードによって、
「金鉱掘り」チームと「お邪魔者」チームに別れます。
どのチームになったかは自分だけがわかっています。
各々の言動やカードの出し方を見つつ、
味方が誰か、敵が誰か、を推理しながら、
順番に1枚ずつカードを場に出していきます。
「金鉱堀り」チームは「道」のカードをつないで
金塊を掘り当てると得点が入ります。
「お邪魔者」チームは「金鉱掘り」の動きを妨害し、
金鉱を掘り当てる前に全員の手持ちのカードを
尽きさせることができると得点が入ります。基本的な遊び方やルールは
すごろくやさんのページをご覧ください。
(動画付きでわかりやすいです)★このほか、日本・世界大会用の特別ルールには、
「自己中ドワーフ」という新しい役割も加わります。
これによりゲームが一段と楽しくなるので、
基本的な遊びかたがわかったら、
ぜひ大会ルールでも遊んでみてください。
「自己中ドワーフ」の役になった人は、
「金鉱掘り」になりすまし、 自分のターンで
金鉱を掘り当てると、得点を独り占めできます。 ※「自己中ドワーフ」の役割カードは、
「お邪魔者」の商品には付いていないので、
「赤い服を着た金鉱掘り」の役割カードを
「自己中ドワーフ」にみなすといいですよ。
(私たちもそうしています)
2019年の世界大会のルールはこちら。