こんにちは、ほぼ日のです。
人生に、一体なんなんだろう、というような
不思議なことが起こったことはありますか?
私はあります。
2017年、北ヨーロッパの国・ラトビアで行われた
「お邪魔者(Saboteur)」という
ボードゲームの世界大会で2位になりました。
いつか世界一になるのが夢です
‥‥なにそれ、と思いますよね。
自分でも思います。
上の写真、隣にいるのは、このゲームの作者、
ベルギー人のフレデリック・モイヤーセンさんです。

個人的な話で恐縮ですが、
一人でも多くの人にこのゲームの楽しさを
知っていただきたく、よかったらお付き合いください
3年間、全力で遊んだ日々の記録です。

前へ目次ページへ次へ

第8回 世界はこんなにおもしろい。

 
話はさらに翌年に。
2019年に再び「日本選手権」が行われました。
初年度の2016年から、2017、2018、2019と参加して、
4度目の日本大会です。
この年は、前年までと違って地区予選が行われず、
参加希望者は誰でも日本大会に直接参加できる、
という年でした。
「ほぼ日」からは、

の4名が参加しました。
優勝したら、今度はベルギーの
アントワープで開かれる世界大会に行けるとのことでした。
アントワープ‥‥それは、
チョコレートとダイヤモンドの町!(調べた)。
またまた士気が高まります。
(関係ないですが、ドイツのアミーゴ社さんは
どうやって毎回世界大会の地を選んでいるんだろう。
いつか聞いてみたいです)
「アントワープへの道」という
練習につきあってくれる社内のグループもでき、
たくさん練習を重ねて、いざ、会場入り‥‥!

▲廊下では、過去の大会や予選会で
何度も会った3人とバッタリ! ▲廊下では、過去の大会や予選会で 何度も会った3人とバッタリ!

▲会場の様子。 ▲会場の様子。

▲左は、ポーランドに一緒に行った、静岡の「しかさん」!
写真にはいませんが、毎年恒例の「しぐれさん」も、もちろん参加していました。 ▲左は、ポーランドに一緒に行った、静岡の「しかさん」! 写真にはいませんが、毎年恒例の「しぐれさん」も、もちろん参加していました。

 
そして結果は‥‥。
ほぼ日のメンバーは予選と準決勝で敗退しました。
私は、準決勝は1位通過したものの、
決勝で負け、4位に。
しかさんは3位でした。
2019年の日本大会は、
石川県の「どどさん」が優勝しました。
(名作ボードゲーム 「カタン」の
世界選手権で4位になられたことのある、すごい方です)
2位は福岡県の「ゆあさん」。
このお二人が、ベルギーで開催される
世界大会への切符を手にしたのです。

▲2019年の大会、決勝の様子。 ▲2019年の大会、決勝の様子。

▲石川県のどどさん。おめでとうございます! ▲石川県のどどさん。おめでとうございます!

 
どどさん、ゆあさん、おめでとうございます!!! と
心からの拍手をした後で、
ふと我に返りました。
ということは、
今年は世界大会に出場できないんだ‥‥。
一瞬、目の前が真っ暗になりました。

▲負けた‥‥。(コマタが撮ってた) ▲負けた‥‥。(コマタが撮ってた)

 
勝てなかった自分が悔しくて、情けない。
しかし大会前のスピーチで、私は
「もし負けてもベルギーには観戦に行きます!」と
恥ずかしくも勢いよく宣言してしまっていたのです。
それに、やっぱりどうしても
またあの世界大会の様子を見たい‥‥!
メビウスゲームズのご夫妻が
「私たちは今年は行けないから、
代わりに様子を見てきてくださいね。
アミーゴ社に伝えておきます」
とおっしゃってくださったことも後押しになり、
「うん、呼ばれてないけど‥‥行こう!」と、
航空券とホテルを自腹で手配し、
ベルギーまで世界大会を見に行くことにしました。

▲ベルギー・アントワープへ。世界一美しいといわれる
アントワープ中央駅。 ▲ベルギー・アントワープへ。世界一美しいといわれる アントワープ中央駅。

▲中はこんな感じです。 ▲中はこんな感じです。

▲駅を出たところ。 ▲駅を出たところ。

▲とりあえずベルギーワッフルを食べました。
(駅から出た瞬間、あちこちに焼き立てワッフル屋さんがあったのです) ▲とりあえずベルギーワッフルを食べました。 (駅から出た瞬間、あちこちに焼き立てワッフル屋さんがあったのです)

 
さて、勢いに乗って着いたアントワープは、
想像以上に美しい町でした。
しかし世界大会での私は‥‥
ただ広い会場をうろうろするだけで、
まったくなんの役にも立ちませんでした。
「これぞ本当のお邪魔者だな」と感じるばかり。
のこのこと来てしまったけれど‥‥。
次の大会には、やっぱり勝ち抜いて、
プレイヤーとしてここに来たい。
真剣に勝負をするみんなを見ながら、
そういう思いを、ひしひしと感じた1日となりました。

▲お邪魔者世界大会の会場。
▲お邪魔者世界大会の会場。

▲誰かと思ったら、作者のフレデリックさん。
今年は作者自ら、お邪魔者コスプレ‥‥!
(どんどん陽気なおじさんになっていく‥‥) ▲誰かと思ったら、作者のフレデリックさん。 今年は作者自ら、お邪魔者コスプレ‥‥! (どんどん陽気なおじさんになっていく‥‥)

▲フレデリックさんからのサインも、3年目に。 ▲フレデリックさんからのサインも、3年目に。

▲ギリシャのみなさんとは道中に会いました。 ▲ギリシャのみなさんとは道中に会いました。

▲日本代表「どどさん」(左)と「ゆあさん」(右)。
ファイト!!! ▲日本代表「どどさん」(左)と「ゆあさん」(右)。 ファイト!!!

▲ギリシャのヤニス教授と再会!
▲ギリシャのヤニス教授と再会!

▲2018年の「お邪魔者」チャンピオン、オーストリアのモニカさんもいましたよ。
スペインのオスカー・マーティン、香港のホラス・チャンさんは
残念ながらこの年は出場していませんでした。 ▲2018年の「お邪魔者」チャンピオン、オーストリアのモニカさんもいましたよ。 スペインのオスカー・マーティン、香港のホラス・チャンさんは 残念ながらこの年は出場していませんでした。

▲どどさん。 ▲どどさん。

▲どどさんとゆあさんが偶然同卓に!
(予選はテーブルを変えて何度も行います) ▲どどさんとゆあさんが偶然同卓に! (予選はテーブルを変えて何度も行います)

 
どどさんもゆあさんも、
すごくいきいきとプレイをされていて、
やっぱり世界大会って、いいな、
人と人が向き合ってゲームをする、って
なんておもしろいことなんだろう、と
見ていて感じました。
残念ながらお二人とも
決勝テーブルには進めませんでしたが、
おお、いいぞ!という瞬間は何度もありました。
くわしい大会の様子は、「どどさん」も
旅行記(ブログ)に書かれているので、
よろしければどうぞご覧ください。

▲こっちのテーブルでは「WIZARD」の大会がはじまります。 ▲こっちのテーブルでは「WIZARD」の大会がはじまります。

 
さて、世界大会を3度この目で見て、
心底感じたのは、
ヨーロッパではボードゲームが
ものすごく盛んだ、ということです。
家族や友人と当たり前のように
ボードゲームを楽しむ人たちが多いようで、
大会と同時に開催される「ゲームマーケット」でも、
老若男女、たくさんの来場者がいました。
休憩時間に、そちらのほうも見に行きました。

▲会場には、さまざまなゲームの幟が。 ▲会場には、さまざまなゲームの幟が。

▲世界中のボードゲームが並びます。 ▲世界中のボードゲームが並びます。

▲日本を舞台にしたボードゲームのコーナーも!
「畳」を模したエリアで、
日の丸の鉢巻きをしめたベルギー人が、ゲームを楽しんでいました。 ▲日本を舞台にしたボードゲームのコーナーも! 「畳」を模したエリアで、 日の丸の鉢巻きをしめたベルギー人が、ゲームを楽しんでいました。

▲遊んでいたのは、
1700年代の日本を舞台にしたゲーム「FUJI KORO」。
ものすごく手が込んでます。作者はベルギー人なんだそう! ▲遊んでいたのは、 1700年代の日本を舞台にしたゲーム「FUJI KORO」。 ものすごく手が込んでます。作者はベルギー人なんだそう!

▲こっちは日本発の「オニタマ」という、陰陽師の跡継ぎを争うゲームをしていました。
みんな、正座してます。 ▲こっちは日本発の「オニタマ」という、陰陽師の跡継ぎを争うゲームをしていました。 みんな、正座してます。

▲人がいないときはこんな感じ。 ▲人がいないときはこんな感じ。

 
戻ると、ちょうど「お邪魔者」大会も、
決勝がはじまるところでした。
ここはしっかりと見届けなきゃ、と近寄ります。

▲決勝で優勝が決まった瞬間。
台湾のプレイヤーもいます。
▲決勝で優勝が決まった瞬間。 台湾のプレイヤーもいます。

▲おお、ギリシャのヤニス教授が
「お邪魔者」世界2位に! 優勝はウクライナの方、3位は台湾の方でした。 ▲おお、ギリシャのヤニス教授が 「お邪魔者」世界2位に! 優勝はウクライナの方、3位は台湾の方でした。

▲「WIZARD(ウィザード)」のほうは、中央のギリシャ人、スピロスが優勝!左のバシリスは2位。幼馴染ペア、本当に強いです。 ▲「WIZARD(ウィザード)」のほうは、中央のギリシャ人、スピロスが優勝!左のバシリスは2位。幼馴染ペア、本当に強いです。

▲ギリシャ仲間で写真を撮ろう!と誘われて。
ギリシャのみんながいつも私を助けてくれました。 ▲ギリシャ仲間で写真を撮ろう!と誘われて。 ギリシャのみんながいつも私を助けてくれました。

▲翌日、アントワープの街を歩きました。 ▲翌日、アントワープの街を歩きました。

▲みんなで食べたベルギーワッフル、おいしかったです。
▲みんなで食べたベルギーワッフル、おいしかったです。

▲ネロとパトラッシュ。 ▲ネロとパトラッシュ。

▲「ブリー」というチョコレートの店。アントワープ(アントウェルペン)って、「手を投げる」という意味なんだそうです。手の形をしたチョコレートもたくさんありました。 ▲「ブリー」というチョコレートの店。アントワープ(アントウェルペン)って、「手を投げる」という意味なんだそうです。手の形をしたチョコレートもたくさんありました。

▲ギリシャや香港出身のお邪魔者メンバーと「カタン」で遊ぶどどさん。ボードゲームって言語の壁を越えるなぁと改めて実感!(写真提供:どどさん) ▲ギリシャや香港出身のお邪魔者メンバーと「カタン」で遊ぶどどさん。ボードゲームって言語の壁を越えるなぁと改めて実感!(写真提供:どどさん)

 
2泊のベルギー滞在を終え、
無事、2019年の大会は終了しました。
いろんな人々と楽しくゲームができるのは、
大会の雰囲気がとてもいいからで、
その背景には、運営してくださる方々がいます。
プレイヤーとして世界大会に参加したときは、
とにかく勝つことに必死でしたが、
ただの「お邪魔者」として大会を少し外から見てみると、
各自に配られるネームカードも、
当日の進行表も、何もかもが誰かの手によって作られ、
歓迎会も当日の大会も、ぬかりなく進むよう
誰かが頑張ってくれているからだ、
ということを実感しました。
改めて、メビウスゲームズさん、すごろくやさん、
ドイツのアミーゴ社のみなさんに感謝です。

▲アミーゴ社のみなさん。 ▲アミーゴ社のみなさん。

 
さて、その後、またも練習を開始します。
これまでの大会で、楽しい出会いもあり、
イープラスのボードゲーム部のみなさんとは
会社対抗ゲーム大会をしたりもしました。

▲他のゲームでも遊びます。
同僚と「ベストフレンド」をしたり、
▲他のゲームでも遊びます。 同僚と「ベストフレンド」をしたり、

▲延々とピクテルをしたり、 ▲延々とピクテルをしたり、

▲カルカソンヌにはまったり‥‥。
(カルカソンヌは、2人でほとんど会話をせずとも
対戦できるゲームなので、コロナ禍にもおすすめです‥‥!) ▲カルカソンヌにはまったり‥‥。 (カルカソンヌは、2人でほとんど会話をせずとも 対戦できるゲームなので、コロナ禍にもおすすめです‥‥!)

 
それでも、なんといっても「お邪魔者」が好きな私たち。
年が明け、さあ2020年の大会もがんばるぞ! 
と思った矢先に、新型コロナウィルスが蔓延し、
世界大会そのものが中止になりました。
次にリアルの大会が開かれるのは、
いつになるかわかりません。
でも、あれほど盛り上がった世界大会、
また安全にできるときがきたら、
再開してくれることを信じています。
いつか「世界一」になりたい。
ですが、コロナ禍のため練習は長らくできておらず、
会社もリモート作業が多めになり、
「お邪魔者」の箱はずっと開けていません。
あの日々は夢だったのかな、と思うほどです。
私は、「お邪魔者」というゲームも、
プレイするために集まる人達も、
いつのまにかものすごく好きになっていました。

 
人生は何がおきるかわかりません。
ふとしたきっかけではじめたボードゲームが、
こんなにも世界を広げてくれました。
「お邪魔者」というゲームは、
ヘンだけど、ものすごく楽しいです。
隠れていた自分の性格がわかるし、
堂々と嘘をついたり、人をだましたり、
裏切ったりできます。
(こう書くと、ひどいゲームですね)
何より、やっていると、
おもしろい人にたくさん会えます。
もし興味があるかたは、コロナ禍が落ち着いたら、
まわりのかたと一緒にぜひ遊んでみてください。
そして、いつか大会で会えたらうれしいです。

(終わります。ありがとうございました。)

2021-10-04-MON

前へ目次ページへ次へ
  • お邪魔者ってこんなゲームです。

    ドイツ生まれのボード(カード)ゲーム。
    「お邪魔者」と「お邪魔者2」がありますが、
    大会は通常の「お邪魔者」のほうを使います。
    3人以上でできますが、5~8人がベストな人数です。
    最初に引く役割カードによって、
    「金鉱掘り」チームと「お邪魔者」チームに別れます。
    どのチームになったかは自分だけがわかっています。
    各々の言動やカードの出し方を見つつ、
    味方が誰か、敵が誰か、を推理しながら、
    順番に1枚ずつカードを場に出していきます。
    「金鉱堀り」チームは「道」のカードをつないで
    金塊を掘り当てると得点が入ります。
    「お邪魔者」チームは「金鉱掘り」の動きを妨害し、
    金鉱を掘り当てる前に全員の手持ちのカードを
    尽きさせることができると
    得点が入ります。

    基本的な遊び方やルールは
    すごろくやさんのページをご覧ください。
    (動画付きでわかりやすいです)

    ★このほか、日本・世界大会用の特別ルールには、
    「自己中ドワーフ」という
    新しい役割も加わります。
    これによりゲームが一段と楽しくなるので、
    基本的な遊びかたがわかったら、
    ぜひ大会ルールでも遊んでみてください。
    「自己中ドワーフ」の役になった人は、
    「金鉱掘り」になりすまし、 自分のターンで
    金鉱を掘り当てると、 得点を独り占めできます。

    ※「自己中ドワーフ」の役割カードは、
    「お邪魔者」の商品には付いていないので、
    「赤い服を着た金鉱掘り」の役割カードを
    「自己中ドワーフ」にみなすといいですよ。
    (私たちもそうしています)
    2019年の世界大会のルールはこちら。

    協力:メビウスゲームズすごろくや