元テレビ東京のプロデューサーで、
現在はフリーで活躍する佐久間宣行さん。
著書『ずるい仕事術』をきっかけに、
糸井重里とじっくり話していただきました。
テーマは「はたらく」について。
やりたいことをやるためには、
何を乗り越えなければならないのか。
そのためには何が必要で、何が要らないのか。
いまの若い人たちを思いながら、
かつての自分たちを思い出しながら、
ふたりの「はたらく」についての対談です。
佐久間宣行(さくまのぶゆき)
- 糸井
- この本、すごいよ。
まずタイトルがワルぶってる。
- 佐久間
- ワルぶってるって
恥ずかしいんですけど(笑)。
- 糸井
- 思い切りワルぶってますよ。
なんかもう売れようとしてるし(笑)。
- 佐久間
- ふははははは。
- 糸井
- じつはこの本を手に取ってから、
どうしようかなって時間があったんです。
- 佐久間
- いわゆる「ビジネス書」だからですよね。
- 糸井
- そうそう。
- 佐久間
- わかります、わかります。
ぼくもビジネス書は得意じゃなくて。
いや、別にいろんなものを
批判したくはないんですけど(笑)。
- 糸井
- お互い批判しないようにしましょう(笑)。
- 佐久間
- したくないんですけど、
やっぱりたまにあるじゃないですか。
「それだけ食べればいいダイエット」とか。
- 糸井
- ありますね。
- 佐久間
- ぼくもそういうの得意じゃないので
本当は書くつもりはなかったんですけど、
じつは4、5年くらいずっと、
ぼくのインスタのDMに
いろんな仕事の悩み相談が届くようになって、
それにずっと答えていたんです。
- 糸井
- へぇーー。
- 佐久間
- たぶん、ぼくがサラリーマンの中でも
特殊な仕事をしてる人間だったからか、
「会社の中で消耗して」とか、
「人間関係で頓挫して」とか、
「やりたいことができません」みたいな。
- 糸井
- よくわかりますね。
- 佐久間
- ぼくもめちゃくちゃわかるので、
DMに届いた質問には
なるべく答えるようにしてたんですけど、
そのうち答えられない量の質問が
届くようになってしまって。
- 糸井
- すごいね。
- 佐久間
- そのとき答えていたこともあって、
自分の考えはある程度まとまっていたんです。
なのでフリーになったタイミングで
そういう本を出したら、
みなさんのお役に立てるんじゃないかと。
会社辞めてから本を出すまで
1年かかってしまいましたけど(笑)。
- 糸井
- 最初、この本にちょっと偏見があったんです。
外面に毛皮のファーを着てるから。
- 佐久間
- もう、すごくわかります(笑)。
- 糸井
- しかも佐久間さんが
こんなにも苦労して集めた
素晴らしい価値ある情報を、
君たちはあっという間に読めるんだよ
‥‥っていう帯も書いてある(笑)。
- 佐久間
- ははははは。
- 糸井
- そんな激しい価値の押し付けに、
ぼくはちょっとたじろいだわけです。
- 佐久間
- いやいや、めちゃくちゃわかります。
- 糸井
- それで、あれ、佐久間さんって
そんな人だったかなあと思って、
ちょっと我慢するつもりで読んでみたら、
まえがきがすでに違った。
- 佐久間
- ビジネス書のまえがきじゃないです。
- 糸井
- 違うんですよ。
- 佐久間
- たしかにそうですね。
- 糸井
- それで「ええーっ」と思って。
そのまえがきで安心したのと、
じゃあ、読むわっていう。
- 佐久間
- 「楽して〇〇」みたいな、
そういうタイプの本だと思わせて、
中身は全然そうじゃないですから。
- 糸井
- だって外面は
「チャラチャラしたやつ集まれ、儲かるぞ!」
みたいに見えたから(笑)。
- 佐久間
- いやいやいや(笑)。
- 糸井
- でも、中は見事におもしろかった。
- 佐久間
- ありがとうございます。
ほんとに最後の章とか、
ほぼ「メンタル大事にしろよ」しか
書いてないですから(笑)。
- 糸井
- だからこの本って、
じつはお父さんから子どもに
渡すタイプの本ですよね。
- 佐久間
- あっ、たしかに。
- 糸井
- お子さん、いくつですか。
- 佐久間
- 高1です。
- 糸井
- だったら読ませた方がいいですよ。
- 佐久間
- いや、初めてちゃんと読んでました、家で。
- 糸井
- わかります。
- 佐久間
- そういえばここに来る前も、
ある企業の重役の方から
この本の感想メールが届いたんです。
「1年目から10年目までの
メンタルケアのためにも読ませます」って。
- 糸井
- よくわかります。
この毛皮さえ脱いでくれたら、
ぼくも会社ですすめやすいのに(笑)。
- 佐久間
- この毛皮は悩んだんですよ(笑)。
やっぱりビジネス書然としないと
手に取ってくれない人もいるし、
どっちにどう届けるかっていうのは‥‥。
- 糸井
- そこはいまの時代、
悩ましいところですよね。
ビジネス書そのものの勢いが、
じつは落ちてたりするんだけど、
それでもビジネス書という形を取ったほうが、
たぶん「損して得取れ」みたいに
買ってくれる人の母数はいるんですよね。
- 佐久間
- うーん、なるほど。
- 糸井
- それにこの本の表紙に
「父から子へ 2022」と書いてあったら、
たぶん売れないですよね。
- 佐久間
- そうですよね(笑)。
でも本当はそういう本なんです。
「社会人の父から子へ」
みたいなところはあります。
- 糸井
- しかもこれを読みながら、
昔の自分も同時に想像できるんです。
「お前、結局言ってるだけじゃん」
っていう昔の自分に対して、
大人になった自分が
「その気持ちもわかるんだけど、
ちょっとだけ考えてみようか」
って語りかけるというか。
- 佐久間
- ほんとにそうなんです。
この本は自分がやったこと、
やれなかったことをミックスして、
これから戦おうとしてる人たちに、
ぼくが組織で学んだことを
お伝えするような本だと思っています。
-
20年以上のサラリーマン生活で学んだ
佐久間さんの「仕事術」をまとめた本です。
タイトルに「ずるい」とありますが、
楽に仕事をするための「ずるさ」ではありません。
自分を消耗させず、無駄な戦いはせず、
まわりに疎まれることなく
やりたいことをやるにはどうしたらいいか。
若かりし頃の佐久間さんが悩み苦しみ
必死になって身につけた「62の方法」が、
出し惜しみされることなく詰め込まれています。
はたらく勇気がじわじわ湧いてくる一冊です。Amazonでのご購入はこちらをどうぞ。