シンクーが時間をかけて大切に作ったのが、
ハローウォッシュとセラム ウォッシュ、 2種類の洗顔料です。
自分たちが本当に欲しい商品を求めるうちに、
「こう洗いたい」と「こうありたい」は
よく似ていると感じるようになりました。
洗うって、肌のことだけじゃない。
モノやコトを清潔に保ち、心にまで働きかける。
その人らしさが、見えてくる。
さまざまな分野のプロたちが習慣にしている
「洗うこと」を、ミニエッセイでお届けします。
「洗う」と聞いて、谷尻誠さんが
真っ先に思い浮かべたのは、
頭のなかを洗い出して、ノートに書くこと。
「建築というのは、依頼主なり、会社なりを、
洗い出すプロジェクトだと思うんです。
例えば、建物が古くなったから、新しく建て替えたい
というオファーが来たとします。
僕は、なぜ新しくしなければならないのか?
新しくすることでどう変えたいのか?を
依頼主と徹底的に話し合うんです。
そうすると、じつは、依頼主ご自身も、
なぜ建て替えが必要か、分かっていなかったりする」
カウンセリングに似ています。
「そうです、そうです。
その物件がある土地の歴史を調べたり、
街を構成している材料を集めたり、
とにかく書き出して、言語化していく過程が、
この仕事には欠かせません。
そうやっていろんなことを洗い出して、
最終的には、空間にキャッチコピーをつける、
という作業をしているんでしょうね。
(シンクーの会社である)ほぼ日の糸井重里さんは、
コピーをつけるということを、
いろんなジャンルでやってこられたわけですよね。
だから、僕、昔から糸井さんの仕事が大好きなんです。
洗い出して、ひとことでまとめるという点では、
コピーライターと建築家は似ているのかもしれません」
ノートに手書きするスタイルは、
いつから始めたものなのでしょうか?
「それが、じつは、仕事のスタイルとして
固まっているわけではないんです。
毎回まったく違ったオファーが来ますから、
プロジェクトのたびにやり方を試行錯誤して。
依頼主に僕自身がいろんなことを教えてもらって、
インプットし続けているという感じです」
今回インタビューのために訪れたのは、
完成してまだ日の浅い、谷尻さんの自邸。
外からは内部の姿が想像できない、
暗くて広い、洞窟のような、アトリエのような‥‥
どう洗い出して、設計された家なのでしょう。
「生まれ育った広島の町家がベースにあります。
今までたくさんの住宅を作ってきたけれど、
明るい家を求められることばかりでした。
窓が大きくて、自然光がたっぷり入って….
日本人にとって、明るさって正義なんです。
でも、僕が再現したかったのは、町家の原風景。
家の奥へ、奥へ、入るごとに暗くなって、
その暗い室内から、明るい通りを見るような。
暗いと落ち着くんです。静けさが漂っているというか。
初めてのゲストはみなさん、
この暗さを少し意外に思われるようなんですけど、
人がリラックスして暮らすには、
本来はこの程度の灯りがあれば十分なんです。
暗い家なんて、クライアントには
なかなか提案しにくいものですが(笑)、
自分の家を建てるならと決めていました。
土地を見つけて、2年後には完成していましたから、
迷いは一切なかったですね」
たにじりまこと・建築家 起業家
1974年広島県生まれ。
SUPPOSE DESIGN OFFICE代表。
広島と東京に拠点を置き、
住宅から商業空間、ランドスケープ、
アート分野でのインスタレーションまで幅広く手がける。
近年は「絶景不動産」や「社外取締役」「DAICHI」など
多分野で開業。活動の幅が広がっている。
2021-08-11-WED