シンクーのコスメのいくつかは、
ハーブラボという会社で作られています。
本社は名古屋市にありますが、山梨県北杜市に農場を所有し、
10年以上前から無農薬のハーブ栽培に取り組んできました。
満開を迎えるハーブ畑へ、収穫にいらっしゃいませんか──
明野ハーブ農場のみなさんにお誘いいただき、
シンクーチームが収穫のお手伝いに行ってきました。
特急列車「あずさ」に乗って、出発です。

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前編 ふかふかの土で育った、おいしいハーブ。

JR中央本線の韮崎駅から車で20分。
ハーブラボの農場は、北杜市の明野町にあります。
新宿から約2時間で、この開放的な眺め。

南は富士山、北は八ヶ岳連峰、
そして西は南アルプス連峰に囲まれ、
見渡すかぎり稜線がひろがります。
この明野町、日本で一番日照時間が
長い土地としても知られています。
晴れの多さと、ときおり降るおだやかな雨。
ふたつの条件が揃った、
ハーブ栽培に適した環境なのです。

後列の左から2番目が、農場長の山口浩さん。
開墾前からこの畑を見続けてきた、
オーガニック農法のエキスパートです。
その左が荒木真人さん、右が小関伸生さん。
3人で日々、広大なハーブ畑を守っています。
前列右は、ハーブラボ社長の内藤雄二さんです。

栽培しているハーブから、
代表的なものをこんなふうに活けて、
シンクーチームを出迎えてくださいました。

オーガニックのコスメ原料を
自分たちの手で育てたいという農場長の思いから、
この農場では2009年に開墾をスタートしました。
2010年にまず8品種のハーブの栽培に着手し、
2012年に有機JAS認証を取得しています。

この有機JAS認証マーク、
きっと見たことがありますよね。

農薬と化学肥料に頼らずに育てられた農産物に対し、
農林水産省の認証を受けた登録認証機関が
検査・認証しているマークで、
太陽、雲、植物が重なる姿を表現しています。
この認証が得られていない農産物や加工食品などを、
「有機」や「オーガニック」と表示したり、
それらと似たまぎらわしい名称で表示することは、
法律で禁止されています。

有機JAS認証を取得するのも大変ですが、
維持するのもまた、大変な手間がかかることです。
明野ハーブ農場では、土壌をていねいに管理し、
毎年厳しい検査を通過して、
完全無農薬で約25種類のハーブを育てています。
それらの花、葉、根‥‥すべてが肌のためになる
可能性を秘めている。ハーブってすごいですね。

有機JAS認証と聞いて、
食品に付いているマークではないかと、
ピンときた方もいるのではないでしょうか。
そう、この農場で栽培されている花やハーブは、
食べられるクオリティなんです。

この日、収穫のあいまに「おひとつどうぞ」と
農場の方が差し出してくださったのは、コーンフラワー。
化粧品の原料としてだけではなく、
エディブルフラワー(食べられる花)として、
サラダや製菓の材料用に人気があります。

▶コーンフラワー。さわやかな辛味が、鼻に抜けます。 ▶コーンフラワー。さわやかな辛味が、鼻に抜けます。

エキナセアを飲みやすく焙煎したお茶も、
用意してくださっていました。
作業の合間に、ゴクゴクいただきます。

エキナセアは、ネイティブ・アメリカンが
薬として使っていた植物で、
炎症を鎮める効果に優れていると言われています。
明野ハーブ農場で栽培しているのは、
エキナセア・パープレアと呼ばれる品種。
オレンジと桃色が、ひときわ華やかです。

▶満開のエキナセア。 ▶満開のエキナセア。

農場を歩いていて、
私たちが気がついたことがあります。
土がふかふかして、気持ちいいんです。
靴底から土の弾力が伝わってきます。

ふかふかの理由を、
農場長の山口さんに聞きました。

「植物の残渣(絞った残りかす)を積んでおいて、
土と混ぜて、発酵させています。
ほかにも、近くのJA(農業協同組合)から
牛の糞や藁が混じった有機の堆肥を譲ってもらい、
土に混ぜ込んだりもしています。
こまめにかき混ぜて全体を馴染ませることで、
ふかふかでいい香りのする、柔らかい土ができます。
いい微生物が多い状態を保っているから、
土が元気でいられるんです」

もうひとつ、気がついたことがあります。
どこまでが畑で、どこからが通路なのか、
見分けがつかず、最初は戸惑ってしまいました。
どこもかしこも、なにかの小さな芽や、
草が生い茂っています。

「そうなんです。うちでは、葉も花も種も、
落ちたらあえてそのままにしています。
必要以上に手を加えることはしていません。
ただ、伸びすぎた草は、ハーブの生長を邪魔するので、
草刈機をかけてやる必要があります。
当然、除草剤は使えませんから、
しょっちゅう草刈機を稼働させてます」
(山口さん)

土の中で、目に見えない力が働いているからこそ、
畑に持ち込まれるものには細心の注意が払われます。
シンクーチームが自宅から履いていった靴の底にも、
もしかしたら、土壌の生態系に影響を与えるものが
付着しているかもしれない。
だから、農場に到着したらすぐに、
全員で専用の長靴に履き替えたのでした。

後半では、ハーブの収穫と
精油ワークショップの様子をお届けします。

▶カモミールも満開を迎えていました。 ▶カモミールも満開を迎えていました。

(つづきます)

2021-08-25-WED

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