鈴木かゆさんは、
「おかゆ」だけを専門に研究する、
日本でただひとりの「お粥研究家」です。

かゆさんがつくる「おかゆ」はどれも、
カラフルで、ポップで、おいしそうで‥‥
わくわくさせてくれるものばかり!
おかゆについて自由に考え、
おかゆをつくる時間を心からたのしむかゆさんに、
おかゆだいすきな乗組員が、
おかゆの魅力を正面からうかがいました。

「おかゆのレシピ」も、お届けします。
ぜひぜひつくってみてください。
ほんとうに、おいしかったです!

>鈴木かゆさんプロフィール

鈴木かゆ プロフィール画像

鈴木かゆ(すずき・かゆ)

お粥研究家

おかゆを専門に研究する「お粥研究家」。
2020年よりおかゆ生活をはじめ、
毎朝の自分の体調に合わせたおかゆをつくっている。
世界中のおかゆに関心を持ち
香港、台湾ほか現地でリサーチも重ねて、研究中。
著書に『日本、台湾、韓国etc. ととのうおかゆ365日』
(KADOKAWA)。
おかゆワールド.com(公式サイト)
X(twitter)
Instagram

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第1回 おかゆをつくる時間

───
これは、全部おかゆのための道具ですか?

DSC03797.JPG など

かゆ
はい!
はりきって、
ちょっと多すぎるくらい持ってきちゃいました。
───
たくさんご用意いただいて、ありがとうございます。
本日は、よろしくお願いします。
かゆ
こちらこそ、よろしくお願いします。
───
さっそく個人的なお話で恐縮なのですが、
私がはじめてつくったおかゆは、
かゆさんのレシピの「鶏粥」だったんです。
かゆ
わっ、うれしい。
いかがでしたか?
───
もう、とーってもおいしくて。
「おかゆってこんなにおいしいの!?」と
おどろきました。
かゆ
いやーっ、よかったです。
───
かゆさんのウェブサイトやSNSも
拝見しているのですが、
そこでもおどろいちゃって。
かゆ
といいますと?
───
おかゆって、
いろいろなバリエーションがあって
おいしい料理なんだ、とはわかっていながらも、
どうしても、体調のわるいときに食べる白粥のような、
地味なイメージがあったんです。
ですが、
かゆさんのつくるおかゆたちを見たら、
そんなイメージが一変しました。

───
元気で、カラフルで、おいしそうなおかゆが
ずらーっとならんでいて。
おかゆを見ているだけでわくわくしてくるなんて、
はじめての体験でした。
かゆ
そう言っていただけて、うれしいです。
SNSへの投稿は、
「うちのかわいいおかゆちゃんたちを見てー!」
という気持ちで、何気なくはじめたんです。
なので、はじめのうちは写真だけで、
レシピを乗せていなかったんです。
───
そうだったんですか。
かゆ
ええ。
ですが、そうやって写真を投稿していくうちに、
「レシピをおしえてください」と
声をかけていただけるようになって。
そこではじめて、
つくり方を知りたいと思ってくださる方がいるんだと
気がついたんです。
───
たしかに、レシピを知りたくなるおかゆばかりです。
この、まっ赤なおかゆとか
一体どんな味なんだろうと気になっちゃいます。

とろとろトマト01

かゆ
あっ、それはトマト粥ですね。
トマトの甘さと酸味をしっかりとあじわえる、
濃ゆ~いおかゆです。
───
このさつまいもがたっぷり乗ったおかゆも気になります。

かゆ
さつまいものおかゆ!
とろとろあま~くて、おいしいですよ。
───
ほんとうに、どのおかゆもおいしそうです。
あらためて
基本的な質問となってしまうのですが、
かゆさんは、「料理研究家」ではなく
あくまで「お粥研究家」でいらっしゃるんでしょうか。
かゆ
はい、おかゆ専門の「お粥研究家」です。
もともと料理関係の仕事をしていたわけではなくて、
おかゆに出会うまでは、ずっとITの仕事をしていました。
───
えっ、IT!?
まったくおかゆと関係がなさそうですが‥‥。
なにか、きっかけがあったのでしょうか。
かゆ
きっかけは、コロナウィルスの流行です。
あのときって、
ほんとうになにもかもが止まってしまって。
オフィスに行くことも、人と会うことも
まったくできなくなってしまったんです。
───
ええ。
かゆ
コロナ以前は、まいにち出社していて、
はたらくのがたのしかったし、
仕事終わりにどこいこうかな、
あれしようかなって考えるのもたのしくて。
ですが、
コロナをきっかけに在宅で仕事をするようになり、
家にこもりきりになってしまったときに、
うまくたのしみを見つけられなくて、
かなり落ち込んでしまいました。
───
あのころは、
人と会う事自体がむずかしかったですものね。
かゆ
ええ。
そんなときに、
なにか無心で時間をつぶせるようなことはないかな、と
いろいろ探していたんです。
そこで出会ったのがおかゆづくりでした。
───
ほう。
かゆ
おかゆっていちからつくると、
完成まで1時間くらいかかるので
今の自分にぴったりだな、と思ったんです。
はじめは、プレーンな白粥をつくってみました。
コトコト煮込まれているおかゆをながめていたら、
急に、ぶわぁ~~っと
お米のなんともいい香りがしてきて。
気がついたら、涙がこぼれてきたんです。
───
涙が。
かゆ
お鍋の前で、もうわんわん泣いちゃって(笑)。
落ち込んでいた気持ちに、
お米の香りが、すぅーっと入ってきて。
あの香りは、すごかったんだよなぁ。
今思い出しても、涙がでてきちゃうくらい。

DSC03801.jpg

かゆ
そこからおかゆを日常的につくるようになって、
自分の生活の中の、選択肢のひとつとして
おかゆが加わったんです。
───
おかゆが選択肢に。
かゆ
ええ。
スーパーに行って、食材をみると
「あっ、これおかゆにしたらおいしそう!」と、
なんでもおかゆを通して見ちゃうんです。
───
なるほど。
だからあんなにたくさんのレシピを、
生み出すことができるんですね。
かゆ
そうかもしれません。
今でも、ITの仕事は続けていて、
ITとお粥研究家を、並行してやっています。
───
はー、そうでしたか。
ITのお仕事もされながら、
毎日のように、
おかゆのレシピを公開されていて、すごいです。
そういえば、
「お粥研究家」の方って
かゆさんのほかに、あまりお見かけしません。
かゆ
おかゆだけを専門にやっている方は、
いらっしゃらないですね。
───
どうして、
「お粥研究家」になろうと思ったんですか?
かゆ
おかゆをつくりはじめたころ、
ウェブなどでレシピを調べていたんですが、
白粥や中華粥などの基本的なレシピはあるものの、
それ以外には、雑炊に近いような、
お手軽な時短レシピが多くて。
生米からつくるレシピが、とても少なかったんです。
───
お手軽だからいい、
というわけではないんですね。
かゆ
そうなんです。
もちろん、ぱぱっと簡単にできるのもすてきです。
ですが、
朝、すこしはやおきをして、
自分のためにゆっくりコトコトとおかゆを煮込む時間が、
私にとっての幸せな時間なんです。
───
朝、自分のためにゆっくりおかゆをつくる‥‥、
すてきです。
かゆ
おかゆにかぎらず、
いろいろな趣味のことに言えると思うんですが、
ちょっと手間がかかったり、
一見大変そうだとおもうところが、
実はいちばんのたのしみだったりします。
───
たしかに、そのとおりかもしれません。
かゆ
なので、
レシピがないならば、
自分のすきなようにいろいろ試してみよう、
と思ったのが「お粥研究家」になるきっかけでした。
───
おかゆをすきなように試す!
まさに研究家でいらっしゃいますね。
かゆ
ふふふ、そうかもしれません。
───
いろいろ教えていただいて、ありがとうございます。
まだまだおかゆトークをしていたいところなのですが、
そろそろお願いしてもよろしいでしょうか、
‥‥おかゆづくりを!
かゆ
もちろんですっ。
今日はそのために、たーっぷり準備してきました。
───
ありがとうございます。
どんなおかゆをつくっていただけるのでしょうか。
かゆ
今回つくるおかゆは、
「とうもろこし粥」です。
───
「とうもろこし粥」。
とても魅力的な響きです。
かゆ
でしょでしょ!?
とーってもおいしいですよ。
では、さっそくキッチンへいきましょーっ!

(次回、鈴木かゆさんのレシピへつづきます)

2024-09-17-TUE

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  • 『ととのうおかゆ365日』

    著者 鈴木かゆ
    発売日 2024年7月18日
    出版 KADOKAWA
    定価 1,870円 (本体1,700円+税)