鈴木かゆさんは、
「おかゆ」だけを専門に研究する、
日本でただひとりの「お粥研究家」です。

かゆさんがつくる「おかゆ」はどれも、
カラフルで、ポップで、おいしそうで‥‥
わくわくさせてくれるものばかり!
おかゆについて自由に考え、
おかゆをつくる時間を心からたのしむかゆさんに、
おかゆだいすきな乗組員が、
おかゆの魅力を正面からうかがいました。

「おかゆのレシピ」も、お届けします。
ぜひぜひつくってみてください。
ほんとうに、おいしかったです!

>鈴木かゆさんプロフィール

鈴木かゆ プロフィール画像

鈴木かゆ(すずき・かゆ)

お粥研究家

おかゆを専門に研究する「お粥研究家」。
2020年よりおかゆ生活をはじめ、
毎朝の自分の体調に合わせたおかゆをつくっている。
世界中のおかゆに関心を持ち
香港、台湾ほか現地でリサーチも重ねて、研究中。
著書に『日本、台湾、韓国etc. ととのうおかゆ365日』
(KADOKAWA)。
おかゆワールド.com(公式サイト)
X(twitter)
Instagram

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第2回  じっくりたのしい「とうもろこし粥」

 
(ほぼ日のキッチンにやってきました)
かゆ
じゃじゃーん!
こちらが、今回の材料たちです。

DSC04083.jpg お米、とうもろこし、塩、水

───
えっ、材料はこれだけですか?
かゆ
はい。
この食材たちをじーっくりゆーっくり煮込むと、
わぁ~っとおいしさが出てくるんです。
───
おぉー。
かゆ
まずは、お米をさっと研ぎます。
もちろん、無洗米を使っていただいても大丈夫です。
研いだお米は鍋の中にいれておきましょう。
今回は直径18cmの片手鍋を使います。
若干おおきめのほうが、
ふきこぼれにくいのでおすすめです。

DSC04037.JPG など

かゆ
つぎは、とうもろこしの準備です。
とうもろこしの皮をむき、
実を軸から外していきます。
こうやって、包丁をざっ、ざっと入れてあげてください。

DSC04156.JPG や DSC04149.jpg など

───
1本から、こんなにたっぷりの実が取れるんですね。
かゆ
ええ。
今日はとうもろこしを、1本まるごとつかっちゃいます!
さきほどの鍋に、実をすべて入れてください。

DSC04195.jpg

───
お米が見えなくなっちゃいました。
かゆ
これは、まずいです‥‥。
───
ん?
かゆ
これは‥‥、
贅沢すぎますっ。
もりあがってきましたーっ!

DSC04225.JPG など

───
ふふふ。
かゆさん、ほんとうにたのしそうに
おかゆづくりをされますね。
かゆ
まだまだ、これからですよ。
あっ、さきほどのとうもろこしの芯も
忘れずにお鍋にいれてあげてくださいね。
───
芯も。
なんだか、炊き込みご飯みたいです。
かゆ
炊き込みご飯と、考え方はおなじかもしれません。
お米にあうものだったら、
おかゆに合いますから。
───
そうか、たしかにそのとおりです。
かゆ
そして、水800mlをくわえます。

DSC04205.jpg

かゆ
さて、ここで
おいしいおかゆをつくるための
大切なコツをご紹介します。
───
おねがいします。
かゆ
鍋におかゆの材料をいれたら、
できるだけ平らにならしてください。
───
平らに。
かゆ
ええ。
おかゆはお米がメインの料理なので、
一粒一粒を均等に調理してあげることで、
おいしくなります。
ですから、
均等を意識していただくことが重要です。
お鍋の中はもちろん、
火にかけるときも、コンロの中心に置くようにして、
均等な火加減を保てるようにしてください。

DSC04217.jpg

───
なるほど、わかりました。
そういえば、お米を炊くときのように、
浸水はしなくても良いのでしょうか。
かゆ
はい、浸水はしなくていいです。
浸水をするレシピもあるんですが、
季節や水の温度によって、
けっこう浸水具合が左右されてしまうんです。
ですから、浸水せずに調理して、
最後に蒸らしたほうが
ねらいどおりの味が出しやすくなります。
───
最後に蒸らすだけでいいんですね。
かゆ
それでは、火をつけます。
はじめのうちは、中火~強火です。
コポコポと湧いてきたら、
おたまや木べらで、
鍋底からお米の粒をはがすようにかきまぜます。
この一手間で、
おかゆが焦げ付いてしまうのを防げます。
かきまぜおわったら、お鍋にフタをします。
ここで、もうひとつコツをご紹介します。
───
おねがいします。
かゆ
お鍋の上にお箸を2本渡して、
その上からフタをしてください。

DSC04327.jpg

───
フタがすこし浮いた状態になっています。
かゆ
その隙間が大切なんです。
こうすることによって、
湯気が360度からまんべんなく出ていくようになるので、
均等におかゆを調理することができるんです。
───
ここでも、均等にするのが大切なんですね。
かゆ
はい。
お箸を渡した隙間から、
おかゆさんの様子がよくみえるんです。
ほら、
お米ととうもろこしがいっしょに踊っていて、
たのしそうでしょう?
───
ほんとうだ。
これならば、鍋の中の様子もわかって安心です。
かゆ
お米がふつふつと軽く波打つ程度の
弱火~中火で30分間煮込みます。
タイマーをかけておきますね。
───
‥‥あっ、
今、いい香りがしました!
かゆ
ん~~~!
そうです、そうです、この香りです。
お米のあま~い香り、たまらないでしょう。
───
たまりませんね。
朝、コーヒーを入れているときのような、
なんとも幸せな気持ちになります。
かゆ
そうでしょ、そうでしょ。
朝、この香りを嗅ぐのが、
ほんとうに幸せなんです。

DSC04391.jpg

かゆ
あっ、
ちょっと耳をすませてみてください。
 
(ボコボコボコボコ‥‥)
───
あれ、
さっきよりもお鍋の音が
低くなってきた気がします。
かゆ
そうなんです。
だんだんとおかゆに粘り気が出てきて、
はじめのコポコポという音から、
だんだんと低く、大人っぽい音になっていくんです。
───
大人っぽい。
おかゆが育ってきたんですね。
かゆ
そのとおりです!
こうなったら、完成が近づいてきた合図です。
慣れてくると、
タイマーなしでもわかるようになります。
───
香りもどんどん強くなってきました。
かゆ
とうもろこしを茹でたときの、
あのいい香りが部屋中にひろがって‥‥。
あ~どうしましょっ、完成がまちきれません!
ピピピピピピピピピ!(タイマーの音)
───
タイマーが鳴りました!
ついに、ついに完成ですね。
かゆ
いえ、ちょっと待ってください。
もうひとつ工程があります。
このタイミングで、
とうもろこしの芯を取り出して、お塩で味を整えます。
お塩は、天然塩がおすすめです。
もしもアクが出ていたら、取り除いてくださいね。

DSC04445.jpg

かゆ
そして最後に、5分ほど蒸らします。
この間に、
もりつけるお皿を準備をしちゃいましょう。
うーん、今日のおかゆさんにはどのお皿がにあうかなー。

DSC04479.JPG など

かゆ
白いお皿もいいけれど、
今日は、とうもろこしの黄色が映えそうな
この青いお皿にします!
───
おかゆのために食器を選ぶ時間も、
わくわくしますね。
ピピピピピピピピピ!(タイマーの音)
かゆ
できましたー!
さあっ、お鍋を開けますよ。
───
はい!

DSC04516.JPG

かゆ
きゃー! いい香り、いい色!
とってもいいかんじにできました。

DSC04552.jpg

かゆ
「とうもろこし粥」完成です。
さあ、どうぞあちあちのうちに
召し上がってください。
───
ん~、いい香り!
それではいただきます
───
(ひとくち食べて)んっ!?
かゆ
どうでしょうかっ。
───
お、おいしい!
えっ、すごい。
とうもろこしとお塩だけとは思えないほど、
おいしい味がします。
かゆ
よかったぁ!
あまみがつよくて、香りがいいのはもちろん、
お米のとろとろと、とうもろこしのシャキシャキを
あっつあつのうちに、
はふはふと食べる幸せといったら‥‥。
ん~~~~ったまりません!
───
とってもあまくて、やさしくて、
どんどん口に運びたくなります。
‥‥すみません、
おかわりをいただいてもいいですか?
かゆ
どうぞどうぞ、たっぷり召し上がってください。
このレシピで、
だいたい2~3人前できます。
もちろん、ひとりで食べちゃってもおっけーですよ!
───
ひとりで!
それはぜったい幸せだろうなぁ。
朝ご飯にも、おやつにもなるような
不思議な魅力があります。
かゆ
あっ、みなさんもぜひ召し上がってください!

DSC04640.jpg おかゆの香りにさそわれて、 乗組員たちがあつまってきました。

かゆ
今日は、もう1品おかゆをつくります!
乗組員一同
わーー!(拍手)
かゆ
次のおかゆは‥‥、鶏粥です!

とうもろこし粥

材料(お茶碗2杯分)
生米     1/2合(約75g)
とうもろこし 1本
水      800ml
塩      小さじ1/2

トッピングに黒胡椒 など

とうもろこしの皮を剥き、軸から実をはずしておく。


鍋の温度を上げる
厚手の鍋によく研いだ米、
とうもろこしの実と芯、水800mlを入れる。
具材のかたよりがないように鍋底をならして、
中~強火にかける。


コトコト煮込む
鍋の中がぽこぽこと沸いたら、
鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。
鍋にお箸を渡してフタをした状態で、
ふつふつと波打つ程度の弱~中火で30分煮込む。


味つけ
芯を取り出し、さっとアクをすくいとる。
塩で味をととのえる。
鍋全体をゆっくりとまぜて火を止める。


蒸らし
フタをして5分ほど放置して蒸らす。
器に盛りつけたら完成!

(かゆさんのおかゆづくり、つづきます)

2024-09-18-WED

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  • 『ととのうおかゆ365日』

    著者 鈴木かゆ
    発売日 2024年7月18日
    出版 KADOKAWA
    定価 1,870円 (本体1,700円+税)