鈴木かゆさんは、
「おかゆ」だけを専門に研究する、
日本でただひとりの「お粥研究家」です。
かゆさんがつくる「おかゆ」はどれも、
カラフルで、ポップで、おいしそうで‥‥
わくわくさせてくれるものばかり!
おかゆについて自由に考え、
おかゆをつくる時間を心からたのしむかゆさんに、
おかゆだいすきな乗組員が、
おかゆの魅力を正面からうかがいました。
「おかゆのレシピ」も、お届けします。
ぜひぜひつくってみてください。
ほんとうに、おいしかったです!
鈴木かゆ(すずき・かゆ)
お粥研究家
おかゆを専門に研究する「お粥研究家」。
2020年よりおかゆ生活をはじめ、
毎朝の自分の体調に合わせたおかゆをつくっている。
世界中のおかゆに関心を持ち
香港、台湾ほか現地でリサーチも重ねて、研究中。
著書に『日本、台湾、韓国etc. ととのうおかゆ365日』
(KADOKAWA)。
おかゆワールド.com(公式サイト)
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Instagram
- かゆ
- つぎのおかゆは「鶏粥」です!
- ───
- 私、かゆさんの鶏粥レシピが
だいすきで、よくつくるんです。
手軽にできるのに、びっくりするほどおいしくて、
家族にも大好評でした。
- かゆ
- うふふ。
ありがとうございます。
ですが、今日はただの鶏粥ではないですよ。
- ───
- えっ。
- かゆ
- 「骨付き鶏粥」ですっ!
- ───
- 骨付き‥‥、まさかこのお肉ですか!?
- ───
- 想像よりもずっと大きいです。
- かゆ
- 今回はこのおっきなお肉をつかって、
おかゆをつくります!
まずはお肉の下準備からいきましょう。
塩胡椒を少々揉み込んであげます。 - そして、お米をよーく研いで
お鍋にいれておきます。
しょうがはうすぎりにして、
にんにくは皮をむいてください。
- ───
- 今回も、材料はとってもシンプルですね。
- かゆ
- はい。
お肉からうまみがたっぷり出てくるので、
あえてシンプルにしています。 - おかゆをつくりはじめたころは、
いろいろなお野菜もいれて、
具だくさんにつくることも多かったのですが、
最近はシンプルに仕上げることが増えてきました。
- ───
- そうなんですね。
- かゆ
- おかゆって、
素材から出る味を、
お米がぜんぶ吸収してくれるんです。
ですから、たくさんの食材をつかうよりも
メインの食材をきめて、シンプルにつくったほうが
素材のおいしさも、お米のおいしさも引き立って、
おかゆにとって良いんだ、
ということに気がついたんです。
- ───
- おかゆにとって良い。
- かゆ
- ええ。
ですから今は、
お米プラス1、2食材くらいを目安に考えています。
- ───
- お米ともう1食材。
なんだかおにぎりみたいですね。
- かゆ
- あっ、そうかも!
鮭、梅、のり‥‥、
おにぎりの食材はどれもおかゆにも合うものばかりです。
おかゆの食材選びに迷ったときは、
おにぎりのイメージで考えていただくと、
決めやすいかもしれません。
- ───
- なるほど!
それならばレシピに頼らなくても、
自分でいろいろな食材をためせそうです。
- かゆ
- ふふふ、
おかゆを自由にたのしむ考え方が、できてきましたね。 - さて、食材の下準備ができたら
さきほどお米をいれたお鍋に、
お肉、しょうが、にんにくを入れます。
- ───
- 今回もお鍋の中は平らに、ですね。
- かゆ
- はい、そのとおりです。
- ‥‥って、あれ。
どうしましょう。
- ───
- ん? どうしましたか。
- かゆ
- お肉が大きすぎちゃったみたいで、
ぜんっぜん平らにできません(笑)。
- ───
- あははは。
ほんとうですね!
もう、お鍋のフタがしまらないくらいだ。
- かゆ
- 大丈夫です、まかせてください。
お肉をもうちょっと、曲げて‥‥。
ふんっ!
よしっ、入りました。
- ───
- あぁ、よかった(笑)。
なんて豪快なおかゆなんでしょう、
たのしすぎます。
- かゆ
- なんていったって、骨付き肉ですからね。
これくらいがっつりじゃなくちゃ!
- ───
- そうですね。
- かゆ
- じつは今日、
もうひとつチャレンジしたいおかゆがあるんです。
- ───
- ほう!
- かゆ
- 今日のほぼ日さんのようすに合わせて、
食材を決めようと思って、
いろいろなお野菜を持ってきたんです。
- ───
- おおー!
- かゆ
- この中のどれか一つを、
鶏肉と一緒に煮込んでみます。 - えーっと、
どれがいいかなぁ。
‥‥そうだ、長芋!
長芋お好きですか?
- ───
- はい、大好きです。
- かゆ
- 決めました。
今日は長芋を入れましょう!
- ───
- 長芋のおかゆ‥‥。
出来上がりが想像できません。
- かゆ
- 長芋はいろいろな使い方ができるんですよ。
完成したおかゆに
すりおろしてトッピングしてもいいですし、
ピーラーでうすーくスライスしてのせてもおいしいです。
今日は、
半月切りにして、いっしょに煮込みましょう。
- ───
- わぁ、それもおいしそうです。
- かゆ
- 長芋を生米から一緒に煮込むのは、
はじめてなんですけどね(笑)。
- ───
- えっ!?
- かゆ
- ですが、安心してください。
おいしい予感がしています。
さっそくもう一つのお鍋に
「長芋入り骨付き鶏粥」の準備をしなくては!
- ───
- はー、今まさに
かゆさんの「お粥研究家」としての一面を
見ることができた気がします。
- かゆ
- ふう‥‥。
なんとか鶏肉と長芋、すべてお鍋に入りきりました。
- ───
- お鍋の中がほんっとうにパンパンですね(笑)。
いったいどんな仕上がりになるのか‥‥、
わくわくしてきました!
- かゆ
- ふふふ。
ここまで準備ができたら、
水900mlを入れて、火にかけます。
ポコポコと沸いてくるまでは、中火~強火です。
- かゆ
- 沸いてきたら、
お米が焦げ付かないように
鍋底からゆっくりとかきまぜます。
- ───
- お肉が大きくて、混ぜるのも一苦労です(笑)。
- かゆ
- ですね(笑)。
かき混ぜられたら、
均等に湯気が出ていくように、
お鍋に箸を渡してその上に蓋を乗せます。 - そうしたら、弱火~中火の
ふつふつと波打つ程度の火加減で、40分間煮込みます。
タイマーかけておきますね。 - (コポコポコポコポ‥‥)
- ───
- ‥‥いいですねぇ。
- かゆ
- ‥‥ですね。
ずぅーっとながめていられます。
- ───
- いやされます‥‥。
- かゆ
- お、だんだんと
いい香りがしてきました。
- ───
- お米のいい香りがするのはもちろん、
今回は、まるでラーメン屋さんのような香りもします。
お腹が空いてきました‥‥。 - (ゴポゴポゴポゴポ‥‥)
- ───
- あ、音が低くなってきた。
- かゆ
- あら、おかゆの音がわかってきましたね。
- ───
- そうかもしれません。
朝の時間に、こうやってゆったりと
おかゆをつくってすごせたら、すてきです。
- かゆ
- ‥‥そろそろです。
- ───
- あっ、タイマー、30秒切りました。
- 一同
- 3、2、1!
- ピピピピピピピピ!(タイマーの音)
- 一同
- やったー!(拍手)
- ───
- おかゆに対しておもわず
拍手をしたくなる日がくるとは
思いませんでした。
- かゆ
- おめでたいです、おめでたいですねぇ!
- かゆ
- 火をとめて、アクを取り除きます。
このタイミングで
お塩をくわえて、あじをととのえてください。
そして、再びフタをして5分ほど蒸らします。 - ピピピピピピピピ!(タイマーの音)
- ───
- 蒸らし時間、おわりました!
- かゆ
- 盛り付けますよー、えいっ!
- ───
- わぁすごい、すごいです!
私が人生で見たおかゆのなかで、
いちばん豪華なおかゆです!
- かゆ
- ふふふ、そうでしょう。
骨付きチキンといえば、クリスマスですから。
このおかゆは、クリスマスの朝にもぴったりですよ。
- ───
- クリスマスにおかゆ!
いままで考えたこともありませんでした。
たしかに、これは
クリスマスに食べたいおかゆです。
- かゆ
- さあさあ、
あちあちのうちに召し上がってください。
- ───
- ありがとうございます。
では、いただきます。
- ───
- これは、すごい。
ほんとうに、おいしい。
- かゆ
- わぁ、よかった!
- ───
- お肉とお塩、しょうが、にんにくだけですよね?
鶏ガラスープの素とか、入れてないですものね?
- かゆ
- はい、それだけです。
お米と食材をいっしょに煮込みますから、
食材から出たおいしさを、
まるごと味わうことができるんです。
- ───
- うんうん、
ガツンとしたうまみを感じます。
お肉も骨からするんと外れて食べやすいです。
- かゆ
- じーっくりゆーっくり煮込みましたから。
さあっ、長芋入りのほうも
召し上がってみてください。
- ───
- いただきます。
- おっ!
長芋がおかゆ全体にとけ出して、
さっきとは雰囲気がぜんぜんちがいます。
もったり、濃厚なおかゆになっていて、
こちらもおいしいです。
- かゆ
- どれどれ‥‥。
(ひとくち食べて)おいしい!
長芋自体も、
とろとろホクホクに仕上がって大成功です。
- かゆ
- さあ、さらにこのおかゆをたのしくしちゃいますよ。
おすすめのトッピングを、たくさん用意してきました。
- ───
- わ、こんなに。
- かゆ
- おネギに山椒、
おかゆの定番トッピングでもあるクコの実。
そして今回とくにおすすめなのが、
こちらの塩漬けの粒胡椒です。
- ───
- 塩漬けの粒胡椒ですか、はじめてみました。
- かゆ
- おかゆと胡椒はとっても相性がいいんです。
挽いた胡椒もとってもよく合うんですが、
粒の黒胡椒だと、おかゆ全体に広がらないので、
ピンポイントに味の変化をつけられるんです。
- ───
- んっ、ほんとうだ。
一噛みすると、ぶわっと胡椒の香りがひろがりますね。
いいアクセントになってたのしいです。
いっしょに煮込む具材だけではなくて、
トッピングを変えるだけでも、
こんなにたのしめるんですね。
- かゆ
- あ、みなさん、またあつまってきましたね。
さあどうぞ、
自由にトッピングをして召し上がってくださーい!
骨付き鶏粥
材料(お茶碗3~4杯分)
生米 1/2合(約75g)
骨つき鶏もも肉 1本(約400g)
しょうが 1かけ
にんにく 1かけ
水 900ml
塩 小さじ1/2~
トッピングに
黒胡椒
小ねぎ
水で戻したクコの実 など
1
下ごしらえ
骨つき鶏もも肉に塩胡椒(少々/分量外)を揉み込む。
しょうがを薄切りにして、にんにくの皮をむく。
2
鍋の温度を上げる
厚手の鍋に研いだ米、鶏もも肉、
しょうが、にんにく、水900mlを入れる。
具材のかたよりがないように鍋底をならして、
中~強火にかける。
3
コトコト煮込む
鍋の中がぽこぽこと沸いたら、
鍋底から米粒をはがすようにおたまでゆっくりまぜる。
鍋にお箸を渡してフタをした状態で、
ふつふつと波打つ程度の弱~中火で40分煮込む。
4
味つけ&蒸らし
さっとアクをすくいとり、
塩で味をととのえる。
鍋全体をゆっくりとまぜて火を止め、
フタをして5分ほど放置して蒸らす。
器に盛りつけたら完成!
(鈴木かゆさんのおはなし、つづきます)
2024-09-19-THU
-
『ととのうおかゆ365日』
著者 鈴木かゆ
発売日 2024年7月18日
出版 KADOKAWA
定価 1,870円 (本体1,700円+税)