こんにちは、ほぼ日の奥野です。
長年、長渕剛さんのファンなんですが、
長渕さんソックリに
長渕さんの歌を歌う人に出会いました。
Takuya Nagabuchiさんが、その人。
いわゆる「ソックリさん」に対しては、
ファンであればあるほど、
「厳しい目」を向けがちなものです。
しかしながら、Takuyaさんの歌には、
並み居る長渕ファンの先輩方も、
すっかり舌を巻いているご様子。
だから、たしかめに行ったんです。
そしたら「感動してしまった」のです。
Takuyaさんの声に、その姿に。
なぜ俺は、「偽物」に、こんなにも?
自分で自分がわからなくなり、
こうして
インタビューを申し込んだ次第です。
「なぜ俺は『偽物』に感動したのか?」
あつくるしいファン2名による
ただのおしゃべりになっていましたら、
たいへん申しわけございません。
Takuya Nagabuchi
ご本人いわく「究極の長渕剛ファン」。長渕剛さんの「デビュー時からの変遷」を年代別に再現できるという唯一無二のパフォーマンスで、テレビやラジオに多数出演、著名人・芸能人の長渕剛ファンからも一目置かれている存在。「モノマネ」や「そっくりさん」などのお笑い枠とは一線を画しており、新たな音楽ジャンルとして未知なる領域を開拓すべく日々活動している。長渕剛さんの音楽を、次の世代へ、またこれまで馴染みが薄かった人へも「クラシック音楽や古典芸能が代々受け継がれていくように、一切の誇張なくストレートに伝えたい」という。実際にインタビューさせていただいたら、しゃべり声まで似ていました。
- ──
- 巣鴨で格闘技関連グッズを扱っている
「闘道館」館長であり、
「開運!なんでも鑑定団」で、
たまに鑑定士を務めている泉高志さん、
あの方が大学の先輩なんです。
- Takuya.N
- あ、なるほど。
- ──
- で、そのご縁で、闘道館で開催された
Takuyaさんのライブ、
これまでに2回、拝見しているんです。 - あれはもう、
すっかりコロナ前のことですけれども。
- Takuya.N
- ありがとうございます。
- ──
- もともと、泉先輩は、
「長渕剛ファンの会 ~LICENSE~」
という大学サークルで一緒で‥‥。
- Takuya.N
- あ、なんか聞いたことあります。
- ──
- 当時から打撃系って言うんですかね、
空手の大道塾にも通っていて、
何やら有段者とかで強そうだったので、
実はすごく優しい人なんですが、
ぼくは、勝手に怖がっていたんです。
- Takuya.N
- ハハハ。
- ──
- そのサークルでは、みんなで
長渕さんのライブに行くんですけども、
会場のまわりに、
ギターの弾き語りで
長渕さんの曲を歌ってらっしゃる人が、
たくさんいらっしゃいますよね。
- Takuya.N
- いますね。
- ──
- 中には、モノマネ系の人もいたりとか。
- で、何て言ったらいいんでしょう、
そういう人の場合、
どうしても小さく見えちゃうというか、
ご本人が大きく見えるだけに。
- Takuya.N
- わかります。
- ──
- 別に悪口言いたいわけじゃないですが、
過剰にデフォルメ効いてる人の場合、
ファンとしては、
とりわけ、認めにくいところがあって。
- Takuya.N
- そうでしょうね。
- ──
- でも、Takuyaさんに関しては、
その並み居る長渕サークルの先輩方が、
こぞって絶賛しているし、
なにより、あの泉高志館長が、
Takuyaさんのライブのために、
自分のお店を提供する‥‥と言ってる。 - えっ、今までの「ソックリさん」とは、
何が違うんだろう‥‥と思って、
でも、まだ半信半疑のまま、
闘道館のライブに足を運んだわけです。
- Takuya.N
- はい。
- ──
- そして、
狐のように疑り深い眼差しで見た‥‥
Takuyaさんの歌に、
自分は、「感動」してしまったんです。
- Takuya.N
- あ、ほんとですか。
- ──
- はい。はじめのうちは、
感動してる自分がわかんなかったんです。 - 長渕のライブを観てたら‥‥
あっ、自分「長渕」って呼ぶ派なんです。
親愛の情を示したいときには、とくに。
- Takuya.N
- ハハハ。「剛」じゃなくてね。
- ──
- 世代的になのか、わかんないんですけど。
- 中森明菜さんのことも、
「明菜ちゃん」とは照れ臭くて言えない、
遅れてきた世代なんです。
‥‥という、どうでもいい話はともかく、
なぜ自分は、
「本物ではない」Takuyaさんの歌に
あれほど感動したのか、
今日は、
その理由を確かめに来たという次第です。
- Takuya.N
- わかりました。世代の話で言うと、
ぼく、1984年の生まれなんですけど、
小学校や中学校のとき、
そんなには、まわりに
剛さんのファンっていなかったんですよ。
- ──
- あー、ドンピシャ世代ってことで言えば、
Takuyaさんより、
10コくらい年上の人たちですもんね。
- Takuya.N
- そう、そうなんです。
- そういう人たちのお話をうかがってると
テレビドラマの
『家族ゲーム』や『親子ゲーム』や
『親子ジグザグ』や『とんぼ』を観てて、
クラスの中に何人もファンがいて、
みんなでこぞって
剛さんの曲をアコギで歌って、
「よし、東京ドームのライブに行くぞ!」
みたいなことをやってたらしいんです。
で、そういう人たちが、
だいたい10コくらい年上なんですよね。
- ──
- うん、うん。
- Takuya.N
- 逆に自分よりけっこう下の世代になると、
親が剛さんファンで、
自分の子どもに曲を聴かせてたりしてて。 - それで、けっこういたりするんですよね。
剛さんのファンの若い子って。
- ──
- その点、Takuyaさんの場合、
長渕さんのエアポケット世代っていうか、
リアルタイムでもなく、
親御さんからの影響もなかった‥‥と。
- Takuya.N
- そうなんです。
- クラスの友だちは、GLAYとか
L'Arc-en-Cielとかを聴いたりしてました。
アイドルだったら、モーニング娘。
そういう環境で、
自分は「長渕剛だ、長渕剛だ」と言って。
- ──
- ファーストコンタクトは‥‥。
- Takuya.N
- 強烈に覚えているのは、
それこそリアルタイムで観たんですけど、
『とんぼ』の最終回です。
- ──
- あーーー、「英二さん」が刺されて‥‥。
- Takuya.N
- 血まみれになって。野次馬に靴を投げて。
- ──
- 震える手でタバコを吸って。
カメラがめっちゃ引いていくんですよね。 - あの衝撃のシーンが、幼心に刻まれたと。
- Takuya.N
- まず「死ぬ」ってことがわかんなかった、
たった4歳の子どもには。 - 刺されたあとにずっと咳き込んでるので、
「お母さん、この人風邪?」みたいな。
そのシーンを強烈に覚えていて。
その何年かあと、
小学生のとき再放送で再会したんですよ。
- ──
- おお‥‥。
- Takuya.N
- そうやって
ぼくは長渕剛というアーティストを知り、
その人が歌っている歌を、
どんどん、好きになっていったんです。
テレビから流れる「とんぼ」の歌詞を
「耳コピ」で紙切れに書きつけたりして。
何て歌ってるのかが、知りたくて。 - 当時は、いま(取材場所に)流れている
「RUN」の、
こんな臆病者だからこそ‥‥って部分の
「臆病者」の意味さえわからなかった。
そんなことしてたら、あるときに兄貴が
「CD買ってきてやったぞ」って、
シングルを買ってきてくれたりとかして。
- ──
- そこから、遡って曲を掘ったり?
- Takuya.N
- そうですね。最初に買ったアルバムは、
ライブ盤の『長渕剛LIVE '89』でした。
- ──
- シングルの「乾杯」のB面に入っていた
「THANK YOU WOMAN」って曲が、
自分は、もう一生、大好きなんですけど。
- Takuya.N
- いいですよね。
- ──
- 2015年に
富士山麓でやったオールナイトライブで、
はじめて生で聴いて感動したんですが、
でも、勝手な意見で申し訳ございません、
自分の中で
「THANK YOU WOMAN」と言ったら、
あの「乾杯」のB面なんです。
- Takuya.N
- わかります。
- ──
- いまの長渕さんは、
当時とは声の感じも歌い方もちがうし、
あの「乾杯」のB面の
「THANK YOU WOMAN」は、
一生聴けないんだなと思ってたんです。 - でも、Takuyaさんのライブに行くと、
聴けるわけじゃないですか。
本物じゃないけど、
こんな感じだったのかもと思えるほどの、
信じられないクオリティで。
- Takuya.N
- いえいえ‥‥。
- ──
- そのことが、すごく琴線に触れるんです。
「俺、聴けたんだ、この曲」
という、そういう気にさせられるんです。
- Takuya.N
- 本人じゃなくて、すみません。
- 自分も、
はじめて剛さんのライブに行ったのは、
1997年、中学1年のときの
「ふざけんじゃねぇ」ツアーなんです。
- ──
- ええ。
- Takuya.N
- つまり、それ以前の曲については、
生では体感できていないんです、ぼく。 - それは、これからも永遠に。
- ──
- はい。
- Takuya.N
- でも、過去の映像の中には、
当時の「長渕剛」がいるわけですよね。 - 「うわ、いまも当然いいんだけど、
この歌、この歌い方で聴きたかった!」
とか、めちゃくちゃ思うわけです。
- ──
- わかります。
- Takuya.N
- だから、自分みたいに、
遅れてきて好きになった世代にとって、
あのころの剛さんは、
ビデオの映像の中にしかいないんです。 - そういう世代の人間として、
過去の剛さんを疑似体験したいっていう、
そこが、はじまりなんです。
- ──
- 生で聴けないから‥‥
自分で歌って、それを「聴こう」と?
- Takuya.N
- そう、そこからはじまって、
だんだん、マニアックな人たちが観ても
「え、あの曲のあのバージョン?」
とか
「そのギターかよ!」
とか
「髪型も、当時の剛に寄せてきてる!」
みたいな、
決して本人じゃないんだけど、
限りなく
本人のライブはこうだったんだろうな、
という感覚にひたれるような、
過去の剛さんの歌を、
3Dで疑似体験できるようなライブを、
目指すようになったんです。
- ──
- なるほど‥‥なるほど。
- Takuya.N
- そういうライブを2時間とか3時間とか、
長いときで4時間くらいやってますが、
それは、
その人が経験できなかった過去に、
自分と一緒に行けたらいいなあ‥‥って。 - だから本当は「観たい」んです、自分も。
自分で演るより、
客席で「わあ!」とか、言いたいんです。
- ──
- でも、Takuyaさん以外に、
Takuyaさんほどのクオリティで演れる人は、
なかなか、いないから‥‥。
- Takuya.N
- そうなんです。
- ──
- つまり、半ば
自分のために自分で歌ってるようなところも、
あったってことですか。
- Takuya.N
- はじめは、ほとんどそうでした。
- ──
- 聴きたかった、観たかった「長渕剛」を、
自分で歌って、自分で聴いてる。 - 長渕さんの、どのへんがそんなにいいですか。
自分なんかが聞くのも変ですけど。
- Takuya.N
- 理屈じゃないんですけどね‥‥。
- 理屈じゃないんですけど、
たぶん、子ども心に、
他にいない大人だって感じたんだと思います。
- ──
- なるほど、たしかに。他にはいないや。
- Takuya.N
- 言葉の使い方は難しいんですけど、
破天荒ともまたちょっと違う気はしますけど、
誰も歌わないことを、歌ってるし。
- ──
- それは感じますね。
- Takuya.N
- 曲以外でも、紅白歌合戦に、
ベルリンの壁から衛星生中継で出演したとき、
すごいこと言いましたよね。
あんなこと言う大人、いないじゃないですか。
- ──
- いないです。
- Takuya.N
- ああ、この人は本気でやってんだな‥‥とか、
この人には嘘がないんだなとか、
子どもの心に、ズバッと突き刺さったんです。
- ──
- カッコいい‥‥と感じた?
- Takuya.N
- はい、感じました。
- 当時はうまく言葉に出来ないし、
何でカッコいいんだかもわかんないんだけど、
とにかく、カッコよかった。
ドラマを見てもストーリーはよくわかんない、
ましてやヤクザの世界なんか、
ぜんぜん、何にも、想像できなかったけど。
- ──
- ええ。
- Takuya.N
- この人は「スジが通ってる」と感じたんです。
- それで、ドラマから音楽に入って、
ライブビデオとかも買い漁って、観まくって、
『LIVE'92 JAPAN』の、
東京ドームのセンターステージの映像とかを
繰り返し繰り返し観て、
「俺は、もう、この人になりたい」と。
- ──
- なりたい。
- Takuya.N
- 自分は、長渕剛になりたかったんですよ。
- 音楽が好きだったとか、
ギターを弾いて歌ってみたいじゃなくて。
- ──
- 長渕剛に、なりたかった。
- Takuya.N
- そうです。なりたかったんです。
(つづきます)
2021-12-27-MON
-
Takuya Nagabuchiの最新情報は
YouTubeなどでチェック!まず、すぐにアクセスできるものとしては、
毎週金曜日の22時~23時に、
YouTubeライブによる生配信のラジオを
配信してらっしゃいます。
これ、話し声まで似てるんですよ‥‥。
もちろん弾き語りも披露してくださいます。
年の瀬12月30日(木)には、
今年最後のオンラインライブも開催予定。
参加者は、事前にメッセージを送ったり
リアルタイムのチャットで
曲のリクエストもできるということです!
生で聴くのもいいんですけど、
まずはオンラインから、体験してみては?
配信時間や参加方法など、
くわしくは配信チケットの販売ページで。