こんにちは、ほぼ日の奥野です。
長年、長渕剛さんのファンなんですが、
長渕さんソックリに
長渕さんの歌を歌う人に出会いました。
Takuya Nagabuchiさんが、その人。
いわゆる「ソックリさん」に対しては、
ファンであればあるほど、
「厳しい目」を向けがちなものです。
しかしながら、Takuyaさんの歌には、
並み居る長渕ファンの先輩方も、
すっかり舌を巻いているご様子。
だから、たしかめに行ったんです。
そしたら「感動してしまった」のです。
Takuyaさんの声に、その姿に。
なぜ俺は、「偽物」に、こんなにも?
自分で自分がわからなくなり、
こうして
インタビューを申し込んだ次第です。
「なぜ俺は『偽物』に感動したのか?」
あつくるしいファン2名による
ただのおしゃべりになっていましたら、
たいへん申しわけございません。
Takuya Nagabuchi
ご本人いわく「究極の長渕剛ファン」。長渕剛さんの「デビュー時からの変遷」を年代別に再現できるという唯一無二のパフォーマンスで、テレビやラジオに多数出演、著名人・芸能人の長渕剛ファンからも一目置かれている存在。「モノマネ」や「そっくりさん」などのお笑い枠とは一線を画しており、新たな音楽ジャンルとして未知なる領域を開拓すべく日々活動している。長渕剛さんの音楽を、次の世代へ、またこれまで馴染みが薄かった人へも「クラシック音楽や古典芸能が代々受け継がれていくように、一切の誇張なくストレートに伝えたい」という。実際にインタビューさせていただいたら、しゃべり声まで似ていました。
- ──
- Takuyaさんがギターをはじめたのは
小学5年生だそうですが、
すぐに
長渕さんの曲をやりはじめたんですか。
- Takuya.N
- はい。
- ──
- そのときから「寄せて」たんですか。
歌声とか、歌い方とかは。
- Takuya.N
- 寄せてました。
- ただ‥‥当時は、
まだ、子どものかわいい声でしたからね。
似るはずもなかったんだけど、
気持ちだけは「寄せて」た気がします。
昔はよくCDシングルの3曲目に
カラオケのトラックが入ってましたよね。
- ──
- ああ、入ってた入ってた(笑)。
- Takuya.N
- ボーカル抜きの、伴奏だけのトラック。
- それを再生しながら、
兄貴のCDコンポにマイクをつなげて
歌って録って聴くんだけど、似てない。
何かの拍子に声がしゃがれて、
「おっ、何か、ちょっと似てるかも!」
みたいによろこんでいた程度です。
だから、剛さんみたいに、
海へ向かって叫んだり、
そこまでの努力はしていませんでした。
- ──
- 声を枯らすために焼酎でうがいとかも。
- Takuya.N
- してないですね(笑)。
- なので、まずは、
見た目をどうやって似せようか‥‥って。
自分の顔を鏡でじっと見て、
もうちょっと
前歯が出てたら似てくるのかなと思って、
毎日、前歯を指で前に押したりとか。
- ──
- マジですか(笑)。
- Takuya.N
- 出なかったですけど。
- ──
- ですよね(笑)。
- Takuya.N
- 髪型を似せても、
額のかたちが違うから似ないのかなあと、
剃り込みを入れてみたり。 - 自分、まつ毛がフサフサしてるんですが、
剛さんって、
まつ毛が、あんまりないじゃないですか。
- ──
- そこまで知らなかったです(笑)。
- Takuya.N
- なんで、まつ毛を抜いたりもしてました。
バンダナを巻いて自転車に乗ったりとか。 - ‥‥ハハハ。
- ──
- ハハハ。「ハーレー」じゃなくてね。
それって中学時代?
- Takuya.N
- ですね。中2くらいがピークだったかな。
- それでも、高校に入るくらいになったら、
「なれないんだな」ということが、
だんだん‥‥わかってくるわけですよね。
- ──
- ええ。
- Takuya.N
- 一方で、同じくらいの時期から、
路上ライブをやりはじめていたんですよ。 - 最初は剛さんの曲ばっかり歌ってました。
「ゆず」とか「19」とか、
そういうのをやってる人たちに混じって。
- ──
- ああ、あの時代ですか。
- 路上からメジャーデビューへの夢の道が、
リアルに通じてたような時代。
- Takuya.N
- オリジナルソングを歌っている人もいて、
「お、自分の歌っていいな」とか。 - そのあたりから、どんどん、
剛さん以外の音楽も、聴くようになって。
- ──
- 見た目を似せようとしたけど、
限界があると悟ったことも、あいまって。
- Takuya.N
- そうなんです。
そのうち自分の歌もつくりはじめました。 - アコギが好きだったんで、
山崎まさよしさんだとか斉藤和義さんも
聴くようになりました。
たとえば16ビートのカッティングとか、
剛さんにはない弾き方をしてたし、
そういう興味もあって。
剛さんの曲ばっかりをやってきてたから、
最初ぜんぜんわからなかったんです。
- ──
- 少し離れた時期もあったんだ。
- Takuya.N
- ええ、高校生から路上ライブをはじめて、
20代いっぱいは、
ずっと自分の音楽活動をしてましたけど、
そのころは、
「ナガブチナガブチ」してなかったんで。
- ──
- 佐藤拓矢さんとして歌っているときは、
そうですよね、
佐藤拓矢さんで勝負しているわけだし。
- Takuya.N
- 自分のことで精一杯でした。
- ──
- 長渕剛さんは超有名人ですけど、
佐藤拓矢さんだって
同じアーティストなわけですもんね。 - 誰かの真似していても‥‥ねえ。
- Takuya.N
- そうですね。ただ‥‥その反面、
自分の歌を歌いはじめたら、
より剛さんのすごさがわかったんです。 - それなりに音楽の知識も増えていって、
他のアーティストの曲も
いろいろ聴きましたけど、
「ああ、やっぱりすごいな、この人は」
って、あらためて思ったんです。
- ──
- 人に聴かせる音楽をつくってく過程で、
長渕さんのすごさを再認識した、と。
- Takuya.N
- ただ、自分の音楽をやっていたころは、
ふだんは、あえて、
意識して聴かないようにしていました。 - 長渕剛っぽいねとかって言われるのも、
癪だったし、嫌だったんです。
「本人になんかなれやしないのに、
なろうとしてるのかなあ、この人って」
とか思われたくなくて。
剛さんみたいな要素は極力なしにして、
自分なりにがんばったんですけど。
- ──
- ええ。
- Takuya.N
- 鳴かず飛ばずで。
- ──
- なるほど。
- Takuya.N
- 信念を持って、
自分の歌を歌ってはいたんですけども、
お客さんはつかないし、
ぜんぜん、届かないんだなあ‥‥って。
- ──
- それで‥‥「戻ってきた」。
- Takuya.N
- はい。そうですね、戻ってきたんです。
剛さんのところに。 - まさか、戻ってくるとは思わなかった。
戻ってくるにしても、
こういう戻りかたをするとは‥‥まあ、
思ってませんでした(笑)。
- ──
- 佐藤拓矢さんではなく、
Takuya Nagabuchiさんの活動は、
どういう時期に、
どうやってスタートしたんでしょうか。
- Takuya.N
- 29のときです。8年くらい前です。
- ──
- 29‥‥長渕さんで言えば、
『HUNGRY』を出したころかなあ。 - 人生に、変化を兆す時期ですね。
- Takuya.N
- はい、まさにそうです。
- 自分の音楽を精一杯やってきて届かず、
もうすぐ30になる。
いったい俺はこのままでいいのか‥‥
という気持ちが募っていって。
- ──
- ええ。
- Takuya.N
- 一方で、自分は結局、
何をやりたかったんだろうって思いが、
心のどこかにあった。 - どうして俺は音楽をやりはじめて、
どうして人前で歌ってるんだろうって。
もともとの思いは、
いったい、何だったんだろう‥‥って。
- ──
- ああ‥‥。
- Takuya.N
- そんなふうにして悶々としていたとき、
居酒屋で弟と飲んだんです。 - 俺、もう来年30だなとか言いながら。
- ──
- はい。弟さんと。
- Takuya.N
- 当時、佐藤拓矢のライブのときとかに、
ほとんど冗談みたいなノリで、
「俺、30になったら
長渕剛の完コピライブをやります」と、
勝手に言ってたりしたんです。
- ──
- 完コピ‥‥完全になりきる‥‥。
- Takuya.N
- そう、長渕剛モデルのギターを新調し、
衣装なんかも、
オーダーメイドでソックリにつくって。 - 俺は、何から何まで
ぜんぶ一緒じゃないと納得がいかない、
よくいる、そのへんで買ってきた
ボロ布くっつけたようなね、
そんな適当なモノマネ風情じゃなくて、
完全なパフォーマンスをやるんだ、と。
- ──
- おお。
- Takuya.N
- そう、俺みたいな、
心の底からマニアックな長渕ファンが
泣いてよろこぶような、
パーフェクトなコンサートをやるんだ。 - それもね、初期のころから現在までを
声も髪型も衣装も変えて、
オールナイトでやるぞ‥‥とかってね。
- ──
- その構想は、ずっとあったんですね。
- Takuya.N
- ただ、誰も本気にしてなかったと思う。
自分でも、
冗談みたいな感じで言ってましたし。 - でも‥‥その居酒屋で話してるときに、
弟が
「長渕の完コピのやつ、やんないの?」
「やったらいいんじゃないの?」って。
- ──
- へええ‥‥弟さんが。
- Takuya.N
- 結局、毎日同じように生きていても、
何の変化もないわけです。
代わり映えのしないバイトに行って、
自分の音楽をつくって、
芽が出ないまま来年は30にもなる。 - でも、そうか、やっぱり、
そもそも俺がやりたかったことって、
なりたかったものって、
音楽家でも何でもないんじゃないか、
ということに、
弟と酒を飲んでいて気づいたんです。
- ──
- つまり‥‥。
- Takuya.N
- 俺は、長渕剛になりたかったんだ。
- ──
- 何か泣ける(笑)。
- Takuya.N
- そのことを思い出した‥‥というか、
忘れちゃいなかったけど、
ただの夢物語だと諦めていたんです。 - だから、もう、
思いっきりやってやろうやと思って、
酔っ払った勢いもあったけど、
絶対に実行するって決心したんです。
- ──
- おお。その居酒屋で。
- Takuya.N
- ただ、そのへんのライブハウスとか、
ちっちゃいところで
ちっちゃくやるんじゃ嫌だったんで、
すぐに名古屋でもかなり大きい、
700人くらい収容できる
芸術創造センターを予約したんです。
- ──
- えっ、先に会場を押さえちゃった?
- Takuya.N
- はい、1年後に予約を入れたんです。
2014年の10月13日。 - チケットを売り切るだけの
知名度もツテもコネもなかったけど、
1年かけて、
チケットを売り切ってやると決めて。
- ──
- わー‥‥700枚を‥‥手売りで?
- Takuya.N
- もちろん700人も集められるとは
思ってませんでした。 - 身内や知り合いの音楽仲間で
100人くらいしか集まらなくても、
絶対にやろうと決めたんです。
- ──
- なるほど。
- Takuya.N
- ただ、まだ1年あるわけだから、
やれるだけのことはやろうと思って、
コアな長渕ファンに届けるためには
どうすればいいのか‥‥
と、まあ、いろいろと考えました。 - 来てくれる人がいるとしたら、
そういう人たちだと思ってましたし。
- ──
- どうしたんですか。
- Takuya.N
- すぐにやれることとして、
YouTubeに動画をアップしました。
- ──
- いや、じゅうぶんに伝わりますよね。
映像でも、あのクオリティは。 - 生で聴いたらもっとすごかったけど。
- Takuya.N
- おかげさまで映像は好評で、
そんなことをしばらく続けていたら、
剛さんの私設応援団みたいな
人たちの集まりって、
もうね、全国各地にあるんですけど。
- ──
- ありますね。
- Takuya.N
- 愛知県にも、そういう人たちがいて。
- その人たちが俺の映像を観てくれて、
「何だ何だ、
無茶なことしようとしてる奴がいる」
「よし、応援してやろうぜ」
みたいな感じで、
日本全国の剛さん私設応援団の人を、
紹介してくださったんですよ。
- ──
- 超強力な味方あらわる!
- Takuya.N
- 日本各地のそういう人たちを頼って、
全国をまわったんです。 - ギターと1年後のチケットを持って。
(つづきます)
2021-12-28-TUE
-
Takuya Nagabuchiの最新情報は
YouTubeなどでチェック!まず、すぐにアクセスできるものとしては、
毎週金曜日の22時~23時に、
YouTubeライブによる生配信のラジオを
配信してらっしゃいます。
これ、話し声まで似てるんですよ‥‥。
もちろん弾き語りも披露してくださいます。
年の瀬12月30日(木)には、
今年最後のオンラインライブも開催予定。
参加者は、事前にメッセージを送ったり
リアルタイムのチャットで
曲のリクエストもできるということです!
生で聴くのもいいんですけど、
まずはオンラインから、体験してみては?
配信時間や参加方法など、
くわしくは配信チケットの販売ページで。