こんにちは、ほぼ日の奥野です。
長年、長渕剛さんのファンなんですが、
長渕さんソックリに
長渕さんの歌を歌う人に出会いました。
Takuya Nagabuchiさんが、その人。
いわゆる「ソックリさん」に対しては、
ファンであればあるほど、
「厳しい目」を向けがちなものです。
しかしながら、Takuyaさんの歌には、
並み居る長渕ファンの先輩方も、
すっかり舌を巻いているご様子。
だから、たしかめに行ったんです。
そしたら「感動してしまった」のです。
Takuyaさんの声に、その姿に。
なぜ俺は、「偽物」に、こんなにも?
自分で自分がわからなくなり、
こうして
インタビューを申し込んだ次第です。
「なぜ俺は『偽物』に感動したのか?」
あつくるしいファン2名による
ただのおしゃべりになっていましたら、
たいへん申しわけございません。
Takuya Nagabuchi
ご本人いわく「究極の長渕剛ファン」。長渕剛さんの「デビュー時からの変遷」を年代別に再現できるという唯一無二のパフォーマンスで、テレビやラジオに多数出演、著名人・芸能人の長渕剛ファンからも一目置かれている存在。「モノマネ」や「そっくりさん」などのお笑い枠とは一線を画しており、新たな音楽ジャンルとして未知なる領域を開拓すべく日々活動している。長渕剛さんの音楽を、次の世代へ、またこれまで馴染みが薄かった人へも「クラシック音楽や古典芸能が代々受け継がれていくように、一切の誇張なくストレートに伝えたい」という。実際にインタビューさせていただいたら、しゃべり声まで似ていました。
- ──
- ギター1本と
1年後のライブのチケットを握りしめて、
全国行脚‥‥。
- Takuya.N
- 自分が出ていたライブハウスはもちろん、
知り合い主宰のイベントとかでも
2、3曲歌わせてもらって、
こんど、こういう挑戦をしたいんですが、
もしも、あなたのまわりに
長渕剛の好きな人がひとりでもいたら、
広めてほしいって、頼んでまわりました。
- ──
- まさしく草の根活動。1年後へ向けた。
- Takuya.N
- 運のいいことに、その年、
ちょうど剛さんのツアーがあったんです。 - で、会場のまわりでライブをやろう、と。
一発目は横浜アリーナだったんですが、
そこで、いきなり、
すごい人だかりができちゃったんですよ。
- ──
- 無理もないです。
- Takuya.N
- 何か俺、半分夢叶ってないか、これ‥‥?
みたいな、
数えたら700人くらいいるんじゃないの、
くらいの人が集まってきて。
- ──
- いや、そうなりますよ。
- そんなね、長渕ファンしかいないところに、
Takuyaさんを投下したら。
- Takuya.N
- さすがにそこでチケットは売れませんから、
宣伝だけさせてもらって、
こんど、こんなことやりたいんです、
場所は名古屋です、
10月13日です、
昔の曲を昔の声でやります、
いまの曲も当然、いまの声でやります‥‥。
- ──
- はああ。
- Takuya.N
- じゃあ次は、「交差点」って歌を、
当時の剛さんの声で歌ってみますねとか。
- ──
- そんなの聴いたら泣きますよ。
- でも、そういう場所には、
他にもたくさん、同じような人がいるけど。
耳の肥えた猛者たちも、
あの、Takuyaさんのパフォーマンスに、
引き寄せられてきたんですね。
- Takuya.N
- たぶん、格好もめずらしかったと思います。
- 「この現代に、バンダナスタイルの長渕?」
みたいな。
- ──
- ああ、20年くらいズレてるから。
- Takuya.N
- そうそう、
「何だあれ、20年おかしくない?」って、
近寄ってくる‥‥みたいな。 - で、歌を聴いたら、
「声、これ、CD流してんの?」とかって。
- ──
- いやあ、そこがすごいと思うんです。
- 人生の大半を、長渕さんの曲しか
聴いてないような人たちにそれ言われるの。
ちなみに
YouTubeにアップしてた映像というのは、
そういうときのアレですか。
- Takuya.N
- そうですね。
- 他にも、宣伝のためにライブに出たりとか、
知り合いのパーティーに呼ばれて
歌っているようすを、アップしていました。
- ──
- はじめ、閲覧者数的には‥‥。
- Takuya.N
- いや、もう、ぜんぜんっスよ。
- でも、「乾杯」を、
4つの声で歌いわけた映像でポンと跳ねて。
- ──
- Takuyaさんにしかできないやつだ。
具体的には、「何期」があるんでしたっけ。
- Takuya.N
- 自分で命名しただけですが、
まず最初は「フォークアイドル期」ですね。
まだ髪の長いころ、澄んだ声の。 - 1978年から1984年くらいまでです。
- ──
- なるほど。その時期の有名な楽曲としては
「順子」「巡恋歌」とか。
さっきの、ぼくが好きな「交差点」とかも。
- Takuya.N
- 次が「ロックバンド期」で、
具体的には1985年から1990年まで。
- ──
- 有名な曲だと「とんぼ」の時代ですけど、
個人的に好きなアルバム1位2位を争う
『STAY DREAM』と『LICENSE』を含む、
カッコいいという表現がピッタリの時代。
- Takuya.N
- さらには1991年から2000年までの
「カリスマボイス期」を経て、
2001年から現在までの「生涯現役期」。 - 勝手に4期にわけて歌っていたんですけど、
そのときは、アンコールで思いついて
「乾杯」1曲を4つの時期で歌いわけたら、
その場にいたのが
必ずしも長渕ファンだけじゃなかったのに、
すごく盛り上がってくれて。
- ──
- 曲も、みんなが知ってる「乾杯」だし。
- Takuya.N
- その映像に
「フォークアイドル期」「ロックバンド期」
みたいにテロップを入れたら、
再生回数が、ダーンと跳ねたんですよね。 - 全国の私設応援団のみなさんに、
知ってもらえるきっかけになったんです。
- ──
- つまり、その時点ではすでに、
声のコピーは完成してたってことですよね。 - けっこう練習してたってことですか?
- Takuya.N
- いや、それが、そんなにやってないんです。
わりと自然に出てくるんです。
- ──
- えええ‥‥あの声が。
- Takuya.N
- もちろん時代で歌いわけたりしてますから、
その部分の試行錯誤はありますが、
何て言うんでしょう、
無理やり、意識して似せてる気はないです。
- ──
- たしかに「似せよう」って意図を感じない。
Takuyaさんの歌声には。 - 子どものころは似せようとしてできなくて、
自分の音楽をやってたときには、
あえて長渕さんの曲からは離れていたのに。
- Takuya.N
- 自然に、出てくるんです。
- ──
- それが「その人になりたいほど、大好き!」
ということなのか‥‥。 - Takuyaさんの弾き語りを聴いてると、
「次、こういう感じになったらいいなあ」
というところに、
歌が、かならず、収まりますもんね。
- Takuya.N
- とにかく、歌おうと思うと「出る」んです。
- ただ、そのためのアイテムも重要ですけど。
ギターは当然、サングラスも、
衣装もそうだし、髪型ももちろんですよね。
「道具」があるとないとでは、
スイッチの入り方がぜんぜん違いますから。
- ──
- ああ(笑)、具体的には、どういう‥‥。
- Takuya.N
- ようするに、バンダナを巻いているときに、
初期の声を出そうとすると、
やっぱり、どうしても違和感があるんです。 - だって今、俺バンダナ巻いてるんだけどな、
とか気になっちゃったりして。
- ──
- 見た目と声が「混線」しちゃう的な(笑)。
- Takuya.N
- だけどバンダナを取っておでこのあたりに
髪がサラサラってそよいだら、
「おっしゃあ、初期だ!」みたいな感じ。
- ──
- ハハハ(笑)。
何でしょう、自己暗示的な感じなのかなあ。
- Takuya.N
- そうかも知れないですね。
- とにかく、以降、「知ってもらう」ために、
本番のある2014年の10月まで、
チケットを持って、
もうね、いろんなところをまわってました。
- ──
- いろんな‥‥というと、
ライブハウスとかイベント以外の場所にも。
- Takuya.N
- 剛さんのファンが集まるところだったら、
それこそ
居酒屋さんなんかでも歌ったり。 - 長渕ファンの大将がやっている居酒屋とか、
けっこうあるじゃないですか。
ああいうお店に、
剛さんが好きな人を集めてください、
ギター持って行きますからってお願いして。
- ──
- つまり、必ずしも
スポットライトの当たらないような場にも。
- Takuya.N
- かなりアウェイなところでも、
1曲、歌って「何だこいつ?」となったら、
よーし、こっちのもんだぞと思って。 - 「名古屋で少し遠いかもしんないんですが、
当日は、もっといろんな時代の曲を
当時の声でやらしてもらいますし、
いろんな時代の衣装を何着も着ますし、
旅行がてら、観光がてら、ぜひ。
名古屋って来たことあります?
ないでしょ、ないでしょ、来てくださいよ」
みたいな感じで、もう必死でね。
- ──
- 遠い‥‥とおっしゃいますが、
実際のところ、どこまで行ってたんですか。
- Takuya.N
- 九州から東北まで、ですかね。
- ──
- はあ‥‥その旅というのは、当然ですけど、
交通費から宿泊費から自腹で、
現地では、
チケットをどれだけ売るかってことですか。
- Takuya.N
- そうですね。
- ──
- その‥‥九州への旅なり東北への旅なりを、
一回一回ちゃんとそろばん弾いたら、
まったくの赤字ってこともあるわけですね。
- Takuya.N
- そうでしょうね。
- ──
- はあ‥‥それで‥‥1年後の、当日。
- Takuya.N
- はい。
- ──
- チケットは‥‥。
- Takuya.N
- 完売していました。
- ──
- すごい!
- Takuya.N
- いや、ギリギリまで売ってましたけどね。
でも完売しました。なのに当日、台風で。
- ──
- えええ‥‥!
一回上がってまた下げられた気分です。
- Takuya.N
- 直撃でした、日本列島。
- もう‥‥前日なんかはひどいもんでした。
当然、雨風もひどいけど、
全国から「払い戻し、できますか」って。
- ──
- ああ‥‥来ますよね、そりゃ。
- Takuya.N
- はい。もう、おそろしいくらい来ました。
- ぼくは基本ひとりでやってるんですけど、
趣味でイベントを開催しているような
友だちや音楽仲間がいたんで、
「申しわけないけど、対応頼むわ」って。
- ──
- 波乱‥‥。
- Takuya.N
- 結局、ライブは決行したので、
チケットの払い戻しはなかったんですが、
申し訳ないことに、
断念した人もけっこう多かったんですよ。
- ──
- まあ、でも、それだけ苦労して、
1年も前から全国行脚してきたわけだし、
何より、
その後の人生を左右するようなことだし、
簡単に中止は出来ないですよね。
- Takuya.N
- それでも、520人くらいのみなさんが
足を運んでくれたんです。 - やっとソールドアウトしたのに‥‥て
悔しい思いもありながら、
それでも、台風なのに
来てくださったのはうれしかったです。
- ──
- そうでしょう。
- Takuya.N
- 4部制でやったんです。
- ──
- 長いなあ(笑)。
- Takuya.N
- 昼の2時から、夜の8時までだったかな。
- ──
- 文楽の「仮名手本忠臣蔵」の全11段を
通しでぜんぶ見るみたいなことですね。 - 4部制っていうと、じゃあ、
やっぱり年代別にもろもろチェンジして。
- Takuya.N
- そうです。
- ──
- そんなに長い音楽のライブやる人なんて、
めったにいないですよね。 - 長渕さんはご本人は、
富士山麓で、夜の9時からスタートして、
夜通し歌って、
翌朝6時の
ご来光を見るまで歌ったりしてますけど。
- Takuya.N
- かなわないです。
- ──
- ともあれ、
その日、そのライブにかけていた思いが、
それだけ強かったんだ。
- Takuya.N
- はい。でも、あとにはくやしさが残った。
- 台風の件もそうですが、
こんなふうにすればよかったのになとか、
単純にもっとやれたんじゃないかなとか、
細かく区切った場合には
「やれなかった時代」もあったんですね。
- ──
- なるほど。
- Takuya.N
- このままじゃ終われないと、思いました。
- 最後に一発、でっかい花火だって思って、
この日まで突っ走ってきたけど、
ダメだ‥‥このままじゃ終われないって。
- ──
- それで、続けた。
- Takuya.N
- そう、続けなきゃダメだって思いました。
少なくとも、自分が納得するまでは。 - そう‥‥そうですね。そう思ったんです。
そっから、
ずーっと今日までやってる感じなんです。
(つづきます)
2021-12-29-WED
-
Takuya Nagabuchiの最新情報は
YouTubeなどでチェック!まず、すぐにアクセスできるものとしては、
毎週金曜日の22時~23時に、
YouTubeライブによる生配信のラジオを
配信してらっしゃいます。
これ、話し声まで似てるんですよ‥‥。
もちろん弾き語りも披露してくださいます。
年の瀬12月30日(木)には、
今年最後のオンラインライブも開催予定。
参加者は、事前にメッセージを送ったり
リアルタイムのチャットで
曲のリクエストもできるということです!
生で聴くのもいいんですけど、
まずはオンラインから、体験してみては?
配信時間や参加方法など、
くわしくは配信チケットの販売ページで。