さらば青春の光の森田哲矢さんに、
インタビューしました。
古着について、コントについて。
スニーカーについて、
「ごっつええ感じ」について‥‥。
いろんな話題を行ったり来たり。
楽しい時間でした!
はじめての主演映画も、
そろそろ公開になるようですよ。
担当は「ほぼ日」奥野です。
森田哲矢(もりた てつや)
M-1グランプリ、キングオブコントともに決勝進出を果たす実力派コンビ・さらば青春の光のメンバー。株式会社ザ・森東の社長を務める。個人事務所ながらテレビ、ラジオと多数のレギュラー番組を抱え、YouTubeも精力的に更新中。
- ──
- いまさら強調することでもないですが、
「ダウンタウンのごっつええ感じ」は、
本当に、衝撃的におもしろかったです。
- 森田
- おもしろかったですよねぇ。
- 松本さんの『遺書』『松本』も読んで、
すっかり洗脳されました。
松本さんは、「芸人」というものの
地位を上げた人じゃないですか。
「芸人が、いちばんすごいっしょ!」
とかって言いながら。
- ──
- あるとき、板尾創路さんが、
ゴジラのテーマで水中から出てきて
「カニを食べなさい、カニを」
と言って、また沈んでいったんです。
- 森田
- はい。はいはいはい。板尾係長ね。
- ──
- おもしろいかどうか、
すぐには判断できなかったんですが、
ものすごいインパクトで、
いまでもハッキリと憶えています。
- 森田
- わかります。
- これをおもろいと思ったほうがいい、
これからはこっちだ、
と思わせる何かがありましたもんね。
- ──
- 新しいことをしてるっていうのかな、
クリエイティブっぽいことに
見えたんですよね。当時、あの番組。
- 森田
- そうだと思います。
- ──
- じゃ、そんな「ごっつ」に魅入られて、
森田少年も、
大きくなったらお笑いを目指そうと。
- 森田
- いやあ、これは、
いろんなところで言ってるんですが
24のころに借金したんです。 - ぜんぶ返しはしたんですけど、
そのとき、これから
マジで自分が「億」稼ぐ可能性って、
どこにあんのかって考えたら、
「お笑いなら可能性あるんちゃう?」
と思ったのがはじまりです。
- ──
- なるほど。
- それまでは、漫才を考えたりだとか、
コントをつくったりしてたんですか。
- 森田
- ぜんぜん。何にもやってないです。
- もちろんね、大阪っていう土地柄で、
小学校の授業参観に
みんなでコントをやったりだとかは
ありましたけどね。
- ──
- それ、ウケたんですか?
- 森田
- ウケました。それだけは憶えてます。
内容はぜんぜん憶えてないけど。
- ──
- じゃあ「億、稼ぐには」って考えて、
いきなり
コントをつくりはじめたんですか。
- 森田
- 20万だけ余ったんですよ、金が。
借金を返したら、20万。 - で、当時ですけど、
松竹の養成所が20万やったんです。
かわら長介さんの
構成作家の学校と迷ったんですけど。
- ──
- 芸人さんの道を選んだ。
- 養成所では勉強とかをするんですか。
コントとか、漫才づくりの。
- 森田
- しないです、しないです。そんなの。
見よう見まねというか。
あんなもん、
誰も何も教えてくれないですよ。 - ネタつくってきなさいって言われて、
何となくつくって、
ダメ出しされて‥‥の繰り返しです。
- ──
- なるほど。
- さらば青春の光をはじめてからは
コントの占める割合が
高くなったと思うんですけど、
どんなところがおもしろいですか。
- 森田
- コントはね‥‥何て言うんですかね、
漫才よりもあざとくないっていうか、
ウソでいいというか、
そういうところがあると思うんです。
- ──
- と、言いますと?
- 森田
- 漫才って「ウソ」つかなあかんから。
- たとえば
「昔、ヒーローに憧れてたんだよね」
みたいなフリがあったとして、
実は憧れたことなかったとしたら、
ネタのために、
ウソつかなあかんってことですよね。
- ──
- ええ。
- 森田
- その点、コントの場合は
そのまま演じればいいだけなんです。
- ──
- 昔ヒーローに憧れた自分を、演じる。
- そういうシチュエーションの中で、
そういう人になってしまえば、いい。
- 森田
- そうそう。
- 漫才で「彼女ほしいねんけど」って、
彼女おるやつも
ネタのために言うわけですけど、
それに対して、相方が
「おまえ彼女おるやん」て言ったら
成立しないじゃないですか。
そういう笑いならまだしもですけど。
逆に、いいネタが思いついても、
いやいや、こいつ、
こんなこと言わへんよと思われたら、
ウケないと思う。
- ──
- なるほど‥‥。
- 森田
- コントだとそこの幅が利くというか、
究極、何やってもいいんです。
- ──
- フィクションという前提があるから。
- 森田
- そう。だからぼくは、
コントの方がやりやすいんですよね。
- ──
- コントは自由。どこまでも。
さらば青春の光のコントを見てると
感じます、そのこと。 - さらば青春の光のコントって、
「そもそもの設定が、とんでもない」
ことが多いじゃないですか。
- 森田
- はいはい。
- ──
- 鬼の食育をするお父さんがいるとか。
- 森田
- はいはいはい。
- ──
- でも、そのシチュエーション内では、
鬼の食育お父さんは、
ごくふつうにふるまってるわけです。
鬼の食育お父さんとして。 - つまり、あたりまえのことをしてる。
俯瞰してみると、とんでもないけど。
- 森田
- そうですね。
- ──
- つまり、その設定のつくりこみが、
すごいんだなあと思うんですよ。
- 森田
- ああ、ありがとうございます。
- 実際、設定づくりに
いちばん時間を使ってるんで。
- ──
- ああ、そうですか。
- 常日頃から、おかしな設定だとか
おかしなシチュエーションを
考え続けてるって感じなんですか。
- 森田
- それもありますけど、
単純にただテレビを見てたりとか、
人としゃべってるときに、
あ、この言い方おもろいなあとか、
そんなところから
変な設定を思いつくこともあって。
- ──
- やっぱり日常がベースなんですね。
慣れみたいなことも、ありますか。
- 森田
- 慣れ。ネタをつくる、慣れ?
- ──
- はい。設定を考えるときとかにも。
- 森田
- ああ、慣れはあると思いますけど、
うーん、そうですね、
自分の「型」を決めるのが先かな。
- ──
- なるほど。
- 「さらばの型」ってありますよね。
確実に。
- 森田
- まあ、何となくですけどね。
- でも「ああ、さらばっぽいね」と
言ってもらえるところまでは、
来れてんのかなとは思いますけど。
- ──
- 何かを創作している人、
何か表現している人に話を聞くと、
いかに自分の「タッチ」に
たどり着けるか‥‥が勝負どころ、
がんばりどころだって、
もうみなさんおっしゃいますよね。
- 森田
- そうなんでしょうね。
- ぼくらが漫才をやりはじめたころ、
笑い飯さんとか、
ブラマヨさんなんかの漫才を見て、
この人たち以上の漫才は、
つくられへんかもと思ったんです。
- ──
- そうなんですか。
- 森田
- でも、コントならまだ、
勝つ可能性があるんじゃないかと。
- ──
- そっちで、つまりコントの領域で
さらば青春の光は
自分たちの「型」を磨いていった。 - その「手ごたえ」がつかめたのは、
どれくらいの時期ですか。
- 森田
- ぼくら、初舞台が
キングオブコントの一回戦なんです。
そのために
はじめてネタつくったんですけど、
イッコ目のボケで、
「ドーン!」ってウケたんですよね。 - まあ、そのときは、
そっからブワワーッと沈んで行って、
どんどんスベってったんですが。
- ──
- 出だしはウケたけど。
- 森田
- でも、そのときに、
なぜか手ごたえを感じたんですよね。 - ああ、この感じで、
あとは「後ろ」を上げていったら
イケるんやないかと。
そっからはけっこう早かったっすね。
松竹内のバトルライブですけど
1位1位1位‥‥とかで、
半年くらいで
関西のショーレースの決勝も通って。
- ──
- はじめから、コツをつかんでいたと。
コントが性に合ってたんですかね?
- 森田
- それもあるし、その前に2年くらい
漫才やってたってことも、
けっこう大きかったとは思いますね。
- ──
- ああ‥‥漫才でやってきたことが
コントで花開いた、
みたいな部分もあるんでしょうか。
- 森田
- そうかもしれないですね。
- でもやっぱり、コントが合ってた。
オレらがコントやってなかったら、
いまはないと思うんで。
M-1とかで漫才だけやってても、
たぶん
こうはなってないやろうなと思う。
(つづきます)
写真:池ノ谷侑花(ゆかい)
2023-04-20-THU
-
森田哲矢さん主演の映画
『大阪古着日和』、公開です!光石研さんが主演して話題となった
YouTube番組『東京古着日和』の「大阪版」が
映画になりました!
その名も『大阪古着日和』です。
主演は、古着大好き大阪代表・森田哲矢さん。
ヒロイン役の花梨さんと
古着屋で出会い、
なんだか、いい感じになっていく本人役です。
チャンピオンのスウェットなんかの古着も、
まるで登場人物のひとりのように、
重要な役割を果たします。
オリジナル東京版の光石研さんも出演!
本人役なので、東ブクロさんも出てきますよ。
公開は4月21日(金)から。ぜひ!
詳しいことは映画の公式サイトでご確認を。「もともと『東京古着日和』が好きで
そのことをYouTubeで言ったら、
制作スタッフの方から出ませんかと言われて。
え、いいんですか? って。
最初は、光石研さんが行った先の古着屋で、
ちょこっと出てくる人いるじゃないですか。
『東京古着日和』には。
あれかな~と思ってたんですよ。
そしたら、森田さん主役です、みたいな。
え、いいんですか、えー、
そんなyoutubeもあったらいいですよね、
とかって言ったら、
いや、youtubeじゃないです、映画ですと。
えええー! ってなりました。
マジ、なんでも言っとくもんやなあと。
こっ恥ずかしかったですけど、
自分なりに、精一杯やらせてもらいました。
演技は難しかったです。
コントやってるほうが楽でした(笑)。
花梨ちゃんがかわいいんで、必見ですよ。
光石研さんも、すごくいい感じなので、
『東京古着日和』のファンにも、
ぜひ、観てもらえたらなあと思っています」
(森田さん)映画「大阪古着日和」
2023年4月21日(金)
渋谷ホワイトシネクイント他 全国順次公開森田哲矢(さらば青春の光)
光石研 花梨 東ブクロ 森島久監督・脚本・編集:谷山武士
脚本:谷山武士、廣川祐樹詳しいことは映画の公式サイトでご確認を。
©2023 TT BOOKS & FILMS