日々のできごとを記してみたり、
これからのことに思いをめぐらせてみたり。
手帳をひらくだけで、
じぶんとじっくり向き合う時間がうまれます。
そこに、おいしいお菓子と心地いい空間があれば、
さらに「いうことなし」だと思いませんか?
気まぐれに更新する「東京甘味手帳」は、
手帳タイムを過ごすのにぴったりな
東京のおいしいもの&お店案内です。
写真:川原崎 宣喜
- プリンが食べたい。
いちどそう思ってしまったら、
その気持ちは
ほかのなにかでは埋められない。
- そういうときは自分の気持ちに素直に従う。
このお店に行けば、
望んでいたプリンが食べられる。
- ガラスの扉越しに見えるのは
この喫茶店のマスター。
50年変わらず、こうしてここで
コーヒーをたてて、
プリンをつくっているんだって。
- お店に来るたび見惚れる、
手書きのメニュー表。
いつ見てもクスリとしてしまう、
「寝ないでください」「たばこは3本まで」の張り紙。
ミルクセーキやレモンスカッシュに惹かれながら、
やっぱり頼むのは、コーヒージャンボプリンセット。
- 「流れるような手つき」とは
このことをいうんだろう。
ガラスのデザート皿に
クリーム色のプリンをのせて、
透き通るカラメルをかけて、
できあがり。
- マスターがプリンの型を見せてくれた。
右側がふつうの、左側がこのお店の型。
ジャンボプリン、ほんとうにジャンボだ。
- プリンをすぐ食べたい気持ちと
あまりにもかわいいから
描いておきたい気持ちとがせめぎあって、
手帳を開いて、さっと描いて。
- スプーンを入れるときのこの感触!
マスターが言う。
「白米って飽きないだろう。
素朴な味は飽きないんだよ」
だからこのお店のプリンも飽きないんだ。
- 「年に1回来てくれる人だって
だいじな常連さん。
だから店を休まないようにしてるんだ」
マスターに会いに来る人も多いっていうの、
わかる気がするな。
- ずっと変わらないお店でも
変わっていることはあって、
それが今年はじめて出して
すぐに完売したという「お中元」。
手書きのカードを事前に買って、
好きなタイミングで
書いてあるメニューにひきかえられる。
とっておきたくなるようなカード!
- プリンを食べ終えてからも、
このお店の居心地のよさに
ついゆっくりしてしまった。
- そろそろ出ようかな、と思ったけど‥‥、
わ、タマゴサンド!
- タマゴサンドがあまりにおいしそうで、
わたしも追加で注文してしまった。
今日はとくべつ、
もう少しだけこのお店で過ごそう。 - 変化がたくさんある今だから、
このお店に来たかったのかもしれないな。
ヘッケルン
半世紀前から、
この場所で営業を続けている喫茶店。
虎ノ門という土地柄、
サラリーマンの人たちも多く訪れますが、
このお店の雰囲気がそうさせるのか、
つねにゆったりとした空気が流れています。
名物は50年変わらないジャンボプリン。
この味を求めて、北海道から沖縄まで
遠くから来る人も多いのだとか。
3代常連はあたりまえ。
最近はおばあちゃんからひ孫まで、
4代つれだって来るお客さんもいるそうです。
ジャンボプリンと同じくらい
お客さんを楽しませているのは、
マスターのてきぱきとした手さばきと、
ときどき聞けるたのしいおしゃべりです。
◎ジャンボプリン 400円
「牛乳と卵の味がしなかったらプリンじゃない」
とマスターがいうとおり、
素材の味わいが楽しめる、シンプルなプリン。
おおきさはふつうのプリンの2.5倍!
過度なつくりおきはせず、
すこしずつ作っては出す、というスタイルも
おいしさを保つ秘訣。
カラメルは1時間ゆっくり煮詰めたのち、
20秒で色をつけ、
さいごの3秒で焦げを入れるのだそう。
◎タマゴサンド 430円
注文を受けてから切るパン。
常温のままの、新鮮な卵。
「とくべつなことは何もしていない」といいながら
一つひとつの工程を、手を抜かず丁寧に行うことで
まろやかな卵のうまみ、
パンのやわらかな口あたりが
他にはないおいしさを生み出すサンドウイッチです。
ヘッケルン
東京都港区西新橋1丁目20-11 安藤ビル1F
営業:平日8:00~19:00/土曜8:00〜17:00
電話:03-3580-5661
休み:日曜・祝日・第二土曜日
「こんなにシンプルな材料で、どうしてこんなに美味しいの?」と、
びっくりしていたら食べ終わってしまったたまごサンド。
なんどもなんども食べたい味でした。
(さて、次回のスイーツは‥‥? どうぞおたのしみに。)
2020-07-30-THU