日々のできごとを記してみたり、
これからのことに思いをめぐらせてみたり。
手帳をひらくだけで、
じぶんとじっくり向き合う時間がうまれます。
そこに、おいしいお菓子と心地いい空間があれば、
さらに「いうことなし」だと思いませんか?
気まぐれに更新する「東京甘味手帳」は、
手帳タイムを過ごすのにぴったりな
東京のおいしいもの&お店案内です。
写真:川原崎 宣喜
- 雲ひとつない青空、
アスファルトの照り返し。
立っているだけで汗がふきだす気候のなか、
夏の強い日差しに負けじと歩く。
きょう私がここにきたのは桃のため。
いまだけの桃のため。
- 上京したころ、
ドキドキしながら行ったカフェは、
変わらずわたしを迎えてくれた。
- お店に一歩足を踏み入れると、
ショーケースにずらりと並ぶスイーツ。
おおきなシュークリームや
くまのかたちのくまショコラ。
どれも魅力的だなあ。
でも今日はそう、桃!
- オープンキッチンを通り抜け、
席につく途中で
見えてしまった。
桃!
あれを食べるんだ。
- 地下にも客席があるんだよね。
初めてきたとき、
これが東京か! って驚いた。
- 今日の座席は1階の、
落ち着いたランプが置かれたテーブル。
座ってひと息ついて、
注文して、少し待つ。
汗が少しずつひいていく。
- 手帳を書きながら待っていると、
やってきた!
この時期だけの
「まるごとピーチ」。
きれいにむかれた桃が
そのままの姿で
お皿にのっている。
- おそるおそるナイフを入れる。
これがほんものの桃なら
種に当たるところだけれど、
すっと刃が入っていく。
- ナイフは難なくお皿まで到達。
- 断面をちょっとのぞいてみる。
- ん? なんか赤いのが。
- あ! いちご!
- くしがたに切って、口に運ぶ。
フレッシュな桃の果汁が
口いっぱいに広がる。
なんてやわらかくてジューシーな桃!
真ん中にたっぷり詰められた
カスタードクリームの
やさしい甘みが、桃とよく合う。
いちごの歯ごたえと酸味も、
すごくいい感じ。
- 桃そのもののおいしさが
そのまま味わえる部分もありつつ、
スイーツとしての組み合わせの妙もあって。
ああ、これはどんどん食べちゃうな。
- このとくべつな桃は、
夏の間だけのたのしみ。
来年もまた、
来られたらいいな。
LOTUS(ロータス)
2000年に開店して
カフェブームの火付け役となり、
いまもなお表参道を代表するカフェであるLOTUS。
栗とゴルゴンゾーラのペンネや
塩こんぶチャーハン、グリルチキンなど、
長く愛される定番の食事メニューだけでなく、
カスタードクリームたっぷりのシュークリーム、
キュートな見た目のくまショコラなど、
目移りしてしまうようなスイーツもずらり。
「東京の食堂」を標榜するLOTUSは、
しっかり食事をしたいときも、
甘いものを食べながら
ちょっと一息つきたいときにも、
同じように迎えてくれる場所です。
◎まるごとピーチ 1000円+税
甘みの強い山梨県産の桃をまるごと1個使った
インパクト抜群のスイーツ。
その甘さ自体を楽しんでもらうため、
桃は軽く色止めをするにとどめて、
コンポート(砂糖で煮る)などの加工をしない
フレッシュな状態で使います。
中央にはたっぷりのカスタードクリーム、
その中にいちごをイン。
桃とカスタードクリームがとけあって
絶妙な舌ざわりと甘みが口に広がります。
そのなかで、いちごの酸味がアクセントに。
長い間夏のメニューとして提供していましたが、
6年ほど前から人気に火がつき、
いまは平日でも1日100個、土日は150個ほど
注文されるのだとか。
「まるごとピーチ」に適した大きさと甘みの桃を
仕入れられる、
6月下旬から9月第1週くらいまでの
期間限定のスイーツです。
(まるごとピーチの注文は15時から。
お食事をされた方は11時から注文可能です)
◎スプリンクルケーキ 700円+税
2020年のクリスマスから登場し、
新しく人気メニューの仲間入りをしたケーキ。
懐かしさも感じさせる
色とりどりのチョコスプレーの中身は、
薄いスポンジの上に乗った
バニラのムースとフロマージュクリームの層。
ふわふわとやわらかく、
フォークがすっと入ります。
口に運ぶとムースとクリームが
さっととろけていきます。
ポップでかわいらしい外見に反して、
味わいはさっぱり。
じつは大人こそ楽しめるケーキです。
LOTUS
東京都渋谷区神宮前4-6-8
営業:10:00〜24:00(月〜日)
※状況によって変更の可能性あり
休み:なし
電話:03-5772-6077
目の前にツヤツヤ光る桃が置かれたときの高揚感。ナイフを入れるのをためらう気持ちと、早く食べたい気持ち。大きめに切って頬張って、口の中が桃やカスタードクリームの味でいっぱいになったときのあのうれしさ‥‥ああ、思い出していたら、もういちど食べたくなってしまいました。それにしても、「まるごと」っていい言葉だなあ。
(次回は常夏の島の甘味です。どうぞお楽しみに。)
2021-07-31-SAT