日比谷の映画館。
「ゴジラ-1.0」を見て大感動して
涙をぬぐっていたら
エンドロールに知っている名前が。
数年前に話をしたことがある
VFX少年・三宅智之くんでした。
中学3年のときにつくった
ショートムービー「2045」の作者として
制作秘話を聞いたことがあったのです。
大学4年生になった三宅くんにメール送ると
ウルトラマンや仮面ライダーなどの
映像作品に関わっていることがわかり‥‥。
そこで、大学卒業間際の三宅くんに
会いに行ってみました。
担当はほぼ日のかごしまです。
(取材は2024年2月に行いました)
- ──
- 『ゴジラ−1.0』はアメリカのアカデミー賞にも
ノミネートされていますね!
(取材後、視覚効果賞を受賞)
- 三宅
- うれしいです。
白組調布スタジオの『ゴジラ−1.0』のチームは
世界一だと自分は思っているので、
海外の人にも注目してもらえてよかったなと思います。 - それにずっと追っかけてきた監督が
世界的に注目されているのも本当にうれしいです。
- ──
- 前から世界一だと思っていたんですね。
- 三宅
- そうです。
海外の作品に比べて、予算はかなり少ないのに
クオリティが高い作品をつくれるので、
ものづくりの場としては世界一だと思います。 - 『ゴジラ−1.0』は少しだけだったけれど、
自分も参加できてよかったです。
- ──
- そして、その世界一のチームで
春から働き始めるんですよね。
どんな仕事をするのですか?
- 三宅
- いろんなアーティストがつくったCG素材や撮影した映像を
組み合わせるコンポジターという職につきたくて
希望を出しています。 - 実写にCGを合わせたときに、
CGがその場にあるように見せるだけでなく、
構図、光などを使って、
よりよく見せる工夫をする仕事です。
演出に従って、
美しく見せたり、カッコよく見せたり、
かわいく見せたり‥‥。 - 白組の調布スタジオのすごいところは、
一級品の素材をつくる人がいるし、
それを料理する役目のコンポジターをはじめ、
すごい人が集まっています。
そして、それを指揮するのが山崎監督なんです。
- ──
- 就職後は
映画制作のあらゆる面を吸収したいって
言っていましたね。
- 三宅
- 白組の調布スタジオは「垂直統合」されているところが
面白いところです。 - 普通の映像制作現場は
トップに監督がいて、その下にいろんなスタッフがいて、
最後に素材をつくる人、撮影する人とか、
CGをつくる人など現場のスタッフがいるんですね。 - でも白組調布スタジオの場合は少人数で、
監督が直接現場のスタッフと話すんです。
- ──
- 監督と直接話せるのはいいですね。
- 三宅
- そうですね。
監督がスタッフの周りを行き来している環境は
すごくいいなと思っています。 - あとジェネラリストっていうか、
いろんなことができる人が集まっているので、
仕事はわかれてはいるんですけど、
いろんなことが経験できそうです。
学べることが多そうだなと
スタジオにお邪魔するたびに感じています。
- ──
- じゃあ、いろいろな仕事に挑戦したいですか?
- 三宅
- そうですね。
コンポジターはデスクワークが基本なのですが、
入社後はデスクワークに限らず
撮影現場にも出ていってみたいです。
- ──
- 映画監督にもなりたいですか?
- 三宅
- 映画監督になれたら、うれしいです。
だけどいまは幅広く知識をつけて学んでいきたい。
学んだ先に映画監督への道が
つながっているといいなと思っています。 - いま挑戦しているのがシナリオとイラスト。
シナリオを書いて友だちに読んでもらったり、
イラストを描いてSNSで公開したり。
実際のところは、楽しいからやっているんですが。 - いずれは山崎貴監督のように
脚本から撮影、CG、VFXまでできる監督として
映画を撮りたいと思っています。
- ──
- 将来つくりたい映画のイメージってあるのかな?
- 三宅
- いろいろあるけれど、ずっと思っているのは
まず自分が楽しめる映画をつくりたいということ。
自分が大好きなことを詰め込んだ映画です。 - 具体的に言うと叶わない夢になっちゃうんで、
言わないようにしているんですけど(笑)。
- ──
- これからが楽しみですね。
- 三宅
- そうですね。
今後やりたいことは変わると思うんですけれど、
自分のモットーとしては、「いま」を楽しむことなので、
その時々で楽しいと思うことに取り組みたいです。 - まずは働くのは楽しみですね。
- ──
- では、直近の楽しみは何ですか?
- 三宅
- えーっと、ディズニーシーに行くことですかね。
- ──
- 卒業記念に?
- 三宅
- そうですね。卒業前にたぶん2、3回は行きます。
- ──
- 2、3回も?メンバーを変えて?
- 三宅
- はい。いろんなメンバーと。
この前も自分が企画して映像仲間と15人ぐらいで
行きました。
普通の楽しみ方ではなく、
建築や演出方法を見るというのが主目的です。
ディズニーシーが大好きなんですよ。 - 建物にしても、
木造っぽく見えても木でつくっているのではなく、
木に見えるように演出している。
だから腐ったり朽ちたりしないんですね。
建物についている苔にしても、人工的につくっている。 - 全部演出されているっていうのが面白くて‥‥!
しかもすべて触れる。
人がつくり出した最高レベルの空間だと思っています。
ディズニーシーのことは無限に語れます!
- ──
- ディズニーシーのことを
空間のつくり方の視点で見たことはなかったです。
- 三宅
- これはファストパス発券機のミニチュアです。
全部集めました。 - こういうものを見て、
癒されながら作品をつくっています。
好きなものを見て楽しむと
「自分もいいものを生み出したい!」という気持ちが
掻き立てられるんですよね。
- ──
- 創作の源泉の一つがディズニーシーなんですね。
- 三宅
- はい、ディズニーシーからも映画からも
“つくりたい”という創作意欲をもらっています。
『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞視覚効果賞を受賞しての一言
「とてもうれしいです。この素晴らしい作品に関われたことがうれしいですし、
これをきっかけに日本のCG業界がもっと活性化したら素敵だなと思います」
(おわります)
2024-04-14-SUN