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ベナン共和国へ出発しよう! |
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ブードゥーのトリックスター |
木陰からマーロン・ブランド。頭には『ワルキューレの騎行』が鳴り響く。コンラッドの『闇の奥』みたいな国で、石川直樹はレグバ氏に出逢った。彼は街のトリックスター。英雄であると同時に、いたずら好き。秩序を引っかきまわす、神話的な存在。そんなレグバ氏に対する人々の眼差しは、概して親しげだ。調子はどうだい、おじさん。決して疎んじはしない。が、ことさらに敬ってもいない。その加減が、ゆるくていい。なにせアーヴィング・ペンを虜にした「モデル」だ。石川が夢中でシャッターを切っていると、若者が現れ、氏の端っこを刃物で切り取った。お守りにするのだという。「ちからを、わけてもらえるのさ」ここは西アフリカ、ブードゥーの国。すべてが濃厚。ガイドブックなど皆無。頼りになるのは『ゾマホンのほん』だけだった。
2011-01-17-MON
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