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パキスタンへ出発しよう!
この街を歩くために
シリアで狂いかけた写真家は、ヨルダンの屋台で空きっ腹を満たした。素晴らしきトルコの、細かい部分はすっかり忘れた。バックパックのコードを引き絞り、西へ西へと向かう旅。そのとば口で、「パキスタン」が、石川直樹を追い詰めている。カラチの喧騒からラクダの背に逃れ、ラワールピンディでは、押し寄せる理解不能言語に窒息した。若き日の写真家は、それでもシャッターを切り続ける。言葉も神も常識も、すべてが異なるこの国では、それが唯一のコミュニケーション回路だからだ。街を歩くために、旅を続けるために。法もジョークも生と死も、すべてが異なるこの国で、唯一、完全に意味を理解できるもの。それは、人々の「笑顔」だ。写真家のカメラには彼らの「笑顔」を引き出す魔法が、かかっている。
2011-08-08-MON