── |
もう、1ヵ月以上、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を
プライベートで続けてるそうですが。 |
糸井 |
やってますよ。なぜか。毎日。 |
── |
1ヵ月もこつこつ同じゲームを
続けているというのは、
めずらしいんじゃないですか? |
糸井 |
そうですねえ。
『ニンテンドッグス』もやりましたけど、
あれは、まあ、犬つながりですよね。
けど、この
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は、
ほんとうに、個人として、ただただやってる。 |
── |
ひとつのソフトを、
こつこつ毎日やってるのっていつ以来ですか? |
糸井 |
う〜ん‥‥『ピクミン』? |
── |
それは2001年のソフトですよ(笑)。 |
糸井 |
いや、もちろん、「どれどれ?」っていう
おためしで遊んだソフトは
たくさんあるんですけどね。
毎日、真剣に、
マジメに取り組んでるっていう意味では
『ピクミン』以来だね。 |
── |
『ピクミン』のつぎにハマったゲームが、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』
っていうのは、意外な展開ですね。 |
糸井 |
なんていうんだろう、
『ピクミン』やっていたときもそうなんだけど、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』って、
ゲームっていうことばが
もう、当てはまらないんですよ。
ある時間を使ってインタラクティブに遊ぶ
ソフトに「参加」しているんですよ。 |
── |
ゲームをやってるという感覚がない? |
糸井 |
ゲームをやっている感じもないし、
ゲームをやっていない感じもない。 |
── |
「ゲームをやっている感じもないし、
ゲームをやっていない感じもない」。 |
糸井 |
たとえば、本読むときにさ、
「文字を使って情報を取り入れている
感じはありますか?」って聞かれたら、
そんな感じするわけないじゃない? |
── |
はい(笑)。 |
糸井 |
で、「文庫本になっていかがですか?」
って言われても、やっぱり
「えっ? なに?」ってなっちゃうでしょ。
ゲームっていうものが、
そういうレベルに、ぼくの頭のなかでは
とっくになってたんでしょうね。
あえて自分を中心に言いますけど、
そこにソフトとハードが
追いついたと言いたいですね。 |
── |
(笑) |
糸井 |
いや、本当にそうだと思いますよ(笑)。 |
── |
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』、
まず、「こういうものが出るらしい」って
話を聞いたときはどうでしたか? |
糸井 |
じつは、このソフトのもとになっている
『脳を鍛える大人のドリル』っていう
本の存在は知ってたんですよ。
まわりで読んでる人もいましたしね。
ベストセラーになってましたから、
一回は目を通しておかなくちゃなあ、
とは思ってました。
ただ、その本を使って、
自分で本気になって脳のトレーニングを
するつもりはなかったですね。
そういうことを、苦にせずにやる人がいて、
それはとてもいいことだと思うんです。
現実の生活の役に立とうが立つまいが、
そういうことをやっているほうが、
やっていないよりもずっといいだろうと。 |
── |
肯定はするけれども、
自分でそれをやってみるという気は‥‥。 |
糸井 |
なかったですね。
たぶん、めんどうに思えたんでしょう。
本だと採点とかも
自分でやらなくちゃならないし。
だから、『ピクロス』のときと同じですよね。
仕組みはわかって、なるほどとは思うけど、
実際に紙の上でやるとなると、
消しゴムとか用意するのめんどうだし。 |
── |
なるほど。 |
糸井 |
で、あるとき、京都に行って、
任天堂の岩田(聡)さんに
「ちょっとこれ、やってみてください」って
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の
サンプル版を手渡されたんですけど。
そのときも、「オレは苦手だなあ」
って思ったんですよ。
こういうものを「苦手だ」って
ぼくは言い続けてきたわけなんです。
単純な計算だとか、ちょっとした記憶とか、
速読とか、そういうことって、
「どうでもいいことじゃないか!」って
言ってきた代表選手なんですよ、ぼくは。 |
── |
はい、たしかにそうだと思います(笑)。 |
糸井 |
だからね、逆にいうと、
これはいい機会かなと思ったんですよ。
やっぱり、頭を十分に働かせることって、
考えかたを飛躍させるのに便利なんです。
筋肉だってそうですよね。
いくら俊敏な神経を持っていても、
それについていける筋力を持っていないと、
とっさの動きができないわけです。
となると、トレーニングしたほうがいいんです。
ぼくはいまトータルワークアウトで
トレーニングしてるから知ってるんですけど、
重いものを持ち上げるっていう、
「つまらないトレーニング」が
どれだけ自分の動きを助けていることか。
その、筋力のことを知っていたおかげで、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を
自然に受け入れることができた
っていうのはありますね。 |
── |
ああ、なるほど。たしかに、
筋力トレーニングと意味合いは近いですね。 |
糸井 |
そうなんです。
ベンチプレスとか、腹筋とか、
おもしろいかっていうとそうじゃないでしょう?
いってしまえば、あんなのつまんないんだよ。
もちろん、あれを楽しいっていう人も
なかにはいるだろうけど。
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』も
同じだと思うんですよ。
計算とか暗記とか、日々のトレーニング自体を
おもしろがる人もいると思うけど、
それ自体がおもしろいっていうよりも、
その先にある自分の成長とかが
おもしろいんだよね。
だから、ぼくはいまでも
「このソフト、おもしろいですか?」
って訊かれたら、
「おもしろくない」って答えるかもしれない。
でも、毎日やってる。
ぼくにとってはこのソフトは、
ゲームっていうよりも、
「禁煙」とか「健康診断」とか
「トータルワークアウトでのトレーニング」
とかに近いものなんですよ。
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