任天堂カンファレンス2008.秋レポート
ゲーム好き乗組員、ヤエが行く! 第1回

ある日の昼下がり。
任天堂から「10月2日に代々木体育館で発表会、
『任天堂カンファレンス2008.秋』を行います」
というご連絡をいただきました。
いろいろな未発表のゲームで遊べるうえに
なにやら新製品の発表もあるみたいだと。
それを知った弊社のゲーム好き乗組員たち。
当日は「取材だ! ゲームだ!」、
「仕事だけど遊んでいいんだー!」、
「Aボタン! Bボタン!」と
ムダに意気込みながら
わいわいと出かけていきました。

ほぼ日きってのゲーマー、ヤエによるレポート

こんにちは、「ほぼ日」のです。

いつもは1本のゲームの紹介をお届けしている
「樹の上の秘密基地」ですが、
今回は少し趣向を凝らして、10月2日に開催された
「任天堂カンファレンス2008.秋」の
レポートをお届けいたします。


レポートするのは弊社乗組員のです。
おもに「ベア1号」「やさしいタオル」
関わっている彼女は社内でも1、2位を争う‥‥
いや、ブッチギリで1位のゲーム好きと言えます。
ゲームの話になるとマシンガンのごとく話し続け、
その熱の帯び具合は、遠くから見ても
「あ、ヤエさん、いま熱っぽく語ってる」と
誰もがわかるほどです。


そんな彼女に自由にレポートを書いてもらいました。
のびのびと書いてもらったのびのびレポートです。
ところどころで僕が突っ込みや
合いの手を入れさせてもらいますね。


当日はニンテンドーDSファミリーに加わった新たな1台、
「ニンテンドーDSi」の発表はもちろん、
誰でも音楽というものの楽しさが味わえる「Wii Music」、
そしてファン待望のWii版
「街へいこうよ どうぶつの森」など
おもしろそうな作品がいろいろ展示されていましたよ。
それではヤエさん、お願いします!



音楽を楽しさに触れられる「Wii Music」

「任天堂カンファレンス2008.秋」のレポートを
任されました、ほぼ日乗組員のヤエです。
よろしくお願いします!


まず、10月16日に発売された「Wii Music」の話から。
すでにご自宅でプレイされている方も
いらっしゃるかもしれませんね。
「Wii Music」はWiiリモコンとヌンチャクを振ると、
ギターやヴァイオリン、ドラムなどの音が出て、
音楽を演奏できる、というソフトです。

この言いかただと「すごい」と思わないでしょう?
私も正直、実際にプレイするまでは、
「Wii Music」のすごさや不思議さを
ぜんぜんわかってませんでした。
やってみたら、もう「なんじゃこりゃー!」ですよ。

▲「Wii Music」をいざ実際にやってみて、あっけにとられた図。
 ほんとびっくりしました。

このときのヤエさんはずーっとプレイしてました。
お姉さんにいろいろと教わりながらのプレイだったのですが、
何かひとつ感動するたびに僕らのほうを向いて
「スゴイ! これスゴイ!」とまさに興奮状態でした。

演奏中、Wiiリモコンをどんなタイミングで振っても、
音ははずれることなく、かならずメロディになるんです。
この「音が絶対にはずれない感じ」が、
体験してみると、とても不思議でした。
Wiiリモコンをびくびくしながら、おそるおそる振っても、
ちゃんとメロディになります。
リズムに合わせて振ると、自分が鳴らしたいリズムで、
しっかりメロディになります。
ジャズでいうならば、かっこいいアドリブ演奏が
どんなふうにプレイしてもできる、といったところです。

▲すぐに演奏に慣れました。トランペット演奏中。
 楽しいです。これは楽しいです!

私ははずかしながら、リズム感がありません。
コンサートで手拍子をすると
いつのまにか周りとずれている、
リズム系のゲームは一緒にやっている人の足をひっぱる‥‥
そんな私でも、まったく問題なく楽しめる
新しい感じのソフトだと思ったのですが、
実は、さらにびっくりしたことがありました。

ヴァイオリンが泣く、ギターがうなる。 気持ちよく自己陶酔できて、しかも、かっこいい。

いままでプレイしたことのある音楽系のゲームは、
まず楽譜があって音符にあわせてボタンを押したり、
指定されるリズムを刻んだりすることが多く、
音楽を演奏するときは、
音をひとつひとつ、つなげているような感じでした。
ところが、音楽というものはよく
「ヴァイオリンのむせび泣くような哀しい音色」とか、
「ギターがキューーーーンとうなる」とか、
表現されることがあるでしょう?
この「Wii Music」は、まさしくそんなふうに、
それぞれの楽器がのびのびと、
いい音で「泣く」んです。
いい音で「うなる」んです。


楽器をかっこよく泣かせるって、
本物の楽器だったら、素人には想像できないほどの
たくさんの練習がいると思います。
それが、Wiiリモコンやヌンチャクのボタンを
ギューッと押すだけで、
かんたんにできるんですね。
ギターなら「ウィィィーーーーーーーン」、
ハープなら「ポロポロローーーーン」と
いい音で鳴り響きます。
これをやっているあいだは、
身体と音が一体になったような実感があって
とっても気持ちよかったです! ハマリました。

ギターをキューーーンとうならせたときのヤエさんの顔は、
たいていのギタリストがこういう音を出すときに見せる、
あの痛そうな顔でした。



▲ギタリスト、ヤエさん。お姉さんからレクチャーを受け、
 「あー、なるほど!」と言いながらプレイ中。

最初にお伝えしましたが、そもそも「Wii Music」は
どうプレイしても、かならずメロディになります。
気のすむまで「ウィィィーーーン」とか
「ポロポロローーーーン」とかやっても
かっこいい曲になっているわけです。
本物の楽器だったら、
へたっぴな演奏に自己陶酔する姿を
他人様にお見せするのは恥ずかしいですし、
ハッと我に返ると自分でも恥ずかしいのですが、
そんな恥ずかしさは一切なしです。
楽器を泣かせる気持ちよさに、人目を気にせずに
思う存分にひたれるゲームソフトははじめてでした。

どんなふうに振っても「音楽らしく聞こえる」んです。
それが「音楽を奏でている感じ」を感じさせてくれます。

じつはこのカンファレンスの前に
少し触らせてもらう機会があったのですが、
「音楽を奏でている感じ」を存分に味わうことができて
なんとも言えない笑みがこぼれちゃいました。

次にどうプレイするかの考えをめぐらすワクワク感と 思ったことがかたちになるうれしさの 両方を提供してくれる新しい道具。

とことんプレイしていないので、
まだ想像でしかないのですが、
ひたってプレイして気持ちのいい音やメロディと、
自分が聴いて好きな音やメロディは、
特に最初のうちは違うんだと思います。
「Wii Music」は曲の演奏を終えたあとで
演奏した曲を聴くことができるので、
自分好みの曲になるまで「演奏→聴く」を繰り返し、
演奏する人の楽しさと、
プロデューサーや指揮者のような
曲全体をコントロールする人の楽しさを
試行錯誤しながら味わうことができます。

なにせ「Wii Music」は
「これができたら100点、もしくはゴール」
という要素は一切ないし、
出来合いのものを楽しむわけでもなく、
ただひたすら自分にとって気持ちのよい演奏を
めざせばそれでよし、というものです。
60種類以上の楽器と
クラシックやロック、ポップスなど、
幅広いジャンルの50曲をもとに、
なにができるか、どうすればどんな音が出るか、
どんな演奏をしようか‥‥と、
Wiiをプレイしていないときに考える時間さえ
「Wii Music」の楽しさの一部なんです。
「自分で考えたり、想像をふくらませることは
 ワクワクして楽しいね」とか、
「思ったことがかたちになるのはうれしいなあ」といった、
遊び本来のおもしろさを思い出させてくれる
新しい道具でもあると思いました。


そういえば、「Wii Music」について
宮本茂さんが発表されているときに、
幼稚園を訪問したときの様子が映像で紹介されました。
「Wii Music」を初めて見た幼稚園児たちの
食い入るようなキラキラしたまなざしときたら!
そして、自分たちでWiiリモコンを握って振ったときの
うれしそうな表情ときたら!
初めて「Wii Music」に触れる小さな子どもでさえ
すぐに演奏ができて夢中になれる‥‥
それって、すごいゲームソフトだなあって
しみじみしました。
私は、遊び本来のおもしろさがあるものこそ
万人が楽しめるものだと思っています。
「楽器が弾けたらなあ」と、
一度でも思った経験のある方は
ぜひ、プレイしてみてくださいね。

「Wii Music」のデモンストレーションで
壇上に現れた任天堂の宮本茂さん。
ヤエさんが壇上の宮本さんを見つめる眼差しは、
かっこいい系の男子を見つめる眼差しと同等、
もしくはそれ以上のものだった、と僕は思います。


前日に「宮本さんに会えるかな? 会えるかな?」と
しきりに言っていたので、生で見る宮本さんは
かなりうれしかったのではないでしょうか。


と同時に、宮本さんといっしょに壇上に上がった
「Wii Music」のプロデューサーである戸高さんが
「どうぶつの森」に登場するキャラクター「とたけけ」の
モデルとなっていることを聞いて
「うそ! うそ! マジで? マジで?」と
これまた興奮気味だったことも
針生メモとして追加しておきます。



2008-10-24-FRI
(続きます)