キギの渡邉良重さんとつくるブランド
CACUMAから、おしゃれでここちのよい
掛けふとんカバーと枕カバーが出ます。

製造してくださったのは、
おふとんといえばの、東京西川さん。

聞けば、会社のなかに
日本睡眠科学研究所なるものがあって、
睡眠の研究に取り組んでいるのだとか。

‥‥それは、おもしろそう。

というわけで、CACUMAをきっかけに、
なかよくなれたので、
おふとんの会社が考える「睡眠」のこと、
いろいろと、うかがってきました。

担当は「ほぼ日」奥野です。

創立は室町時代、1566年。

──
驚きました。室町時代の創立と言ったら、
ことしで創立‥‥。
鈴木
452年、ですか。
──
すごい。それを聞いて、
とつぜん、みなさんが由緒正しいお顔に
見えてきました(笑)。
鈴木
ありがとうございます(笑)。
──
もともと、おふとん屋さんですか?
速水
いえ、はじまりは「蚊帳」ですね。
──
蚊帳というと夏に蚊よけに吊る、あの。
速水
そうですね、日よけや蚊よけとして。

最初からふとんではなかったんです。
鈴木
そもそも弊社は、
滋賀県の近江が発祥の地でございまして、
行商として、いろいろな土地に、
品物をお届けする役割をしておりました。

──
そうなんですか。
鈴木
で、品物の中のひとつのアイテムとして、
蚊帳を扱っていたのです。
ただ、その蚊帳も、
当時は、まあ、単なる地味な色の、
おもしろみのないものばかりだったので、
二代目の甚五郎が、
蚊帳に「デザイン」を取り入れ、
萌黄色の蚊帳を創案したと言われてます。
──
萌黄色というと、若々しい緑色の?
鈴木
ええ、これは、言い伝えなのですが、
行商中の甚五郎が、
いわゆる「箱根越え」をしていた折、
疲れた身体を休ませようと
木陰に身を横たえたところ、
一面、「つたかずら」の野原にいる夢を
見たらしいんです。
──
ええ。つたかずら‥‥。
鈴木
そのとき、つたかずらの若葉が目に映えて、
そのことが本当に心地よく、
そうだ、こんな色の蚊帳をつくれば、
人々の気持ちを和ませ、
爽やかにすることができるのではないかと。
──
蚊帳のイノベーションというわけですね。
鈴木
紅い色の縁取りを施した萌黄の蚊帳が、
当時としては
たいへん革新的な色合いだったそうでして、
これが、爆発的に売れまして‥‥。
──
蚊帳で、いわゆる「財を成した」と。
鈴木
そのようです。
──
じゃ、おふとんは、いつから?
速水
明治20年からで、わりと最近です。

──
じゃ、それまでは、ずっと蚊帳一本で?
鈴木
いえ、当時の西川の主要取り扱い商品は、
「蚊帳・畳表・弓」だったのですが、
明治維新をむかえ、
弓を取り扱うことが少なくなりまして。
──
ああ、なるほど。
鈴木
つまり、その「弓の穴埋め」に加えて、
明治という新たな時代に、
生活必需品の取り扱いを拡大しようとして、
ふとんを売りはじめたそうです。
──
おふとんは、新時代にあわせて、
西川さんが経営を刷新するためのアイテム、
だったってことですね。
あの、日本の昔ばなしなんかを見てると、
ふとんって、今よりずっと
大事なものだったんだろうなあってことが、
よくわかる気がするんです。
鈴木
ええ、ええ。
──
いくら「ツギハギ」だらけになっても、
捨てずに使うどころか、
絶対に、手放せないようなものっていうか。
鈴木
そうかもしれません。

──
戦争中なんかの資料を見ても、
ふとんを
リヤカーに載っけて戦火から逃れたりして、
つまり「財産」ですよね。
鈴木
はい、いまでこそ減っていると思いますが、
「打ち直し」と言いまして、
ちょっとへたってきてしまったふとんには、
綿を足したりして使い続けていました。
あるいは、いわゆる「嫁入り道具」として、
ふとん一式を、持たされてもいましたし。
──
暖房なんかなかった時代の、ふとん‥‥。
鈴木
はい、そういう時代には、
ふとんに入ったときの「安心感」ですとか、
「ありがたみ」というのは、
今以上に、あったかもしれないと思います。
──
生活スタイルのちがいですけど、
海外の映画なんかを見ていると、
靴をはいたまま、平気で
ベッドに寝転がったりするじゃないですか。
鈴木
ええ、そうですね。
──
あるいは、ふとんに入ったまんま、
ブレックファースト的なものを食べてたり。
鈴木
はい(笑)。
──
あれ、日本の「ふとん」でやったら、
絶対に怒られますよね。
ふとんのうえでメシ食うな‥‥って。

ま、病気のときは別としても。
鈴木
そうでしょうね(笑)。
──
そのあたりのことについては、
「神聖視」とまでは言わないですけど、
日本では「ふとんのうえ」って、
なんだか、特別な場所なんでしょうか。
鈴木
そうかもしれません。

みなさん、お好きですしね‥‥ふとん。

──
はい、好きです。
鈴木
ですから、おもしろいなあと思います。
わたしたちにしても、
もっと寝心地のよいふとんをつくろうと
日々研究し、努力していますけれど、
寝心地がよければよいほど、
「ふとんから、出たくなくなる」という
マイナスの効果も‥‥(笑)。
──
なるほど、そうですね(笑)。

でも、そこは寝ている側の「努力」で。
鈴木
はい。

起きていただければと思います(笑)。

(つづきます)

2018-03-20-TUE

KIGIの渡邉良重さんとほぼ日がつくる、
洋服のブランド「CACUMA(カクマ)」から
寝具がリリースされます。

洋服同様、他にはないデザイン性と、
肌触りなどの使い心地を両立させた、
掛けふとんカバーと枕カバーのセットです。

通常、カバーに「地の色」をひくことは
ほとんどない
(きれいにプリントするのが難しい)
そうなのですが、
渡邉良重さんたってのご希望で、
ホワイトも含めて、
4柄すべて「地の色」が敷いてあるんです。

生地目を見せないこのプリント法は、
技術的にかなり高度らしく、
ふとんのプロフェッショナル・西川さんが
試行錯誤して実現してくださいました。

また、素材には、出雲の高品質な綿を使用。

発売は、3月23日(金)から。お楽しみに!