#01 はじめてカメラを買うんですの巻 その2

今回の部員

「菅原さんがGRを買いなさいって
 ずばり教えてくれたんですが、
 その魅力をもうちょっと聞きたいです!」
「わたしにはズーム付きの
 コンパクトなデジタルカメラが
 いいらしいです。はて?!」
「きみは一眼レフだ!
 って言われて、
 すっごく戸惑ってますー‥‥」

講師

「まぁまぁ、ゆっくり説明しますよ!」

司会

「やっぱりあたらしいカメラほしいなあ。
 でも欲しいカメラ、
 すっごく高いんだよなあ。
 その前に壊れたテレビどうにかしないとなあ」
シェフ 菅原さんはGRをわりと強くすすめますよね。
そのこころは?
菅原 顔が昔ながらのカメラっぽいでしょ、なんか。
一同 わはははは(笑)。
シェフ 顔っていうのは、カメラを正面から見た時の
印象ってことですね。
菅原 いま、カメラっぽくないカメラが多いから。
あと、物として、触り心地もけっこういいですし。
でね、ほんとうはぼく、
デジタルカメラが好きじゃないんです。
シェフ そんなこと言われても!
ぼくら、デジタルカメラを
さがしてるんですから。
菅原 なぜかっていうとね、
液晶モニターを見て撮るでしょう?
一同 うんうんうん。
菅原 ファインダーはのぞかないでしょう。
コウノ ファインダーってなんですか。
アロハ のぞき窓みたいなところですよね。
シェフ そういえば‥‥
あっ。ぼくの持ってる、
古いデジカメには、
ファインダーがない!
菅原 そうなんですよ。
このごろのデジタルカメラには
ファインダーがないものが多いんです。
おがわ でもGRにもないですよね。
菅原 それがね、オプションでつけられるんです。
アロハ 糸井さんもそれつけてますね!
菅原 お勧めしました。
マストアイテムです、これ。
液晶だけで撮るのと
ファインダーを覗いて撮るのとでは
違いが、すごく大きいと思う。
シェフ 心の問題? 写り方が違う?
菅原 写り方が違います。
アロハ (やや、ぽかーん)
同じ機械で、同じ対象にむかって
同じようにシャッターを切って、
なぜちがうんですか???
菅原 こういうことなんです。
連載の中で書いたかもしれないですけど、
写真を撮るって、
世の中をカメラという道具で
「切り取る」ことだと思っているでしょ?
それ、間違いだと思うんですよ。
一番最初に、「あっ!」と
見るじゃないですか。
見たあとに、自分とその相手の間に
カメラが入るだけのことなんです。
そのときに、人間って目でものを見ているんで、
体から離れた、手先の液晶画面で確認するよりも、
目のすぐそばにあるファインダーごしのほうが
「見たまま」世界が写ると思うんですよ。
一同 へえ〜!
菅原 やっぱり覗くっていうか、楽しいんですね。
覗き見っていうのが、
好奇心をそそる何かじゃないですか。
その、下世話な部分も含めて、
覗き見だと思うんです。僕の仕事、超覗き見。
一同 (爆笑)
菅原 知らなくていいようなことばっかり、
覗いているわけだから。
ほんと、そういう意味で。ちょっとこれ、
見てみて。まずきれいでしょう。
(と、ファインダーつきのGRを渡す)
 
アロハ あ、ほんとだ。
こうやって(液晶で)見るのと全然‥‥
きれい、すごいきれい!
この部屋って、こんなにきれいでしたっけ?!
すごいきれいー!!!
モギ (横で聞いていて、思わず参加)
わたし、GRを使ってるんですけど、
ファインダーは持ってないんですよ。
見せて、見せて、見せて。
‥‥いやあ〜ん!
シェフ なにを悶えておるのだ。
モギ きれい!!
菅原 これ、今のカメラが
最大に失っちゃっていることなんです。
昔のカメラが非常にいいのは、
肉眼で見るよりも、ファインダー越しのほうが
見える世界が、きれいなんですよね。
 
シェフ どれどれ‥‥おお! ぜんぜんちがう!!
これ、写真だ!
って、何言ってるんだろう。
菅原 いや、その通り。
シェフはカメラ好きだからわかるかもしれないけど、
カメラって世界をきれいに見るための
道具でもあると思う。
双眼鏡ってありますよね。
今度試しにちょっと見てみてください。
裸眼で見るよりも、全然くっきり、
すっきり見えるじゃないですか。
あれは光学機器によって、
そういうふうになっているわけなんですよ。
でね、GRをつくったリコーは、
もともとコピー機の会社なのですが、
昔からすごくいいレンズをつくっています。
そのメーカーがつくったカメラであり、
ファインダーなわけです。
別売りのファインダーにもちゃんとガラスが入ってて、
光を集めるレンズと同じ構造が入っている。
これね、ファインダーだけで2万円するんだけれど、
GRを使う人は、ぜひ買ったほうがいいと思う。
フイルムカメラでいうとね、
ライカであるとか、コンタックスであるとか、
中判カメラならハッセルブラッドやローライフレックス、
ああいうものも、ファインダーがとてもきれいです。
写真を撮るという行為の中で、
そういう感覚を持ったら、
もっと楽しくなるって思うんですよ。
「ちょっときれいに見たいから覗いてみる」
っていう。で、実際、本当にきれいだろうし。
シェフ 大事なことのような気がしますね。
菅原 もうひとつ、ファインダーがいいのは、
ファインダー越しには、じぶんの視線が、
対象まで一直線になるっていうことです。
おがわ 視線が。
アロハ 対象まで。
コウノ いっちょくせん。
アロハ この話、わたしにすすめてくださってる
カメラについてのお話ですよね。
シェフ うん。そうなんだけど、
GRにつけられるファインダーのことから
ファインダー越しにものを見ることについての
話になってるんだよ。
たしかにちょっと難しいかもー。
菅原 難しくないですよー(笑)。
自分が「あっ!」って思ったことって、
その思いは、自分から対象まで一直線でしょ?
写真を撮るときには、
その直線をイメージしてください。
その線を結んだところにカメラがあるのが、
一番、その印象を写しやすいことだと思うんです。
だから、ファインダー越しのほうが、いいんです。
カメラはあなたの目ですから。
同じ場所にいて同じものを見ていても、
絶対同じようには、絶対見えないですよね。
だから、撮る人によって写真って変わるんです。
似てはきますよ。でも、絶対別々ですよ。
シェフ とみちゃん、わかる?
アロハ なんとか!
 
さらに次回につづきます。
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2008-04-10-THU