葉っぱを お金に変えた人。  「いろどり」の横石知二さんから、グッドニュース。
第8回 変わる上勝。
糸井 若者たちがやってきたニュースについて、
話を戻しましょう。
上勝はどうですか、50人の若者がやってきて。
横石 変わってきましたねぇ。
ほんとうに実感が出てきました。
たった50人でも
町全体に与えている影響というか、
訴えてるものというのは、
すごく大きいものがありますね。
たった50人なのに。
糸井 でも、その50人は、
みんなが見ている50人なんですよね。
だから、量で計れないなにかで、
戦えるというか、試合ができるというか‥‥。
横石 そういう時代がきたと思います。
「量」とか「理論」ではない部分への
意識が育ってきたことが、
ぼくはものすごくうれしいんです。
糸井 もしかしたら、あれですね。
この流れでいうと、
ほんとうに上勝だけで成り立つ部分が
どんどん増えていきますよね。
横石 そうなんです。
糸井 若い人たちそれぞれの
「技術」なり「思い」が、
成り立つようになるでしょう。
横石 そこが変わってきました。
糸井 あ、もうすでに始まってますか?
横石 始まってます。
「起業」のムードが。
糸井 そうかですかぁ。
うーん、おもしろいですねぇ。
横石 こういうことが、
今の地方では、なかなか。
糸井 ないですよ、なかなか。
横石 ないですね。
ありがたいことです。
それぞれがちゃんと成立するまでには、
まだちょっと遠いとは思いますけれども。
糸井 いや、でも、そんなに遠くないと思いますよ。
土地代はそんなにかからないし、
店を建てなくてもネットでもできますから。
だいいちあれでしょう、
子どもを作る能力がある人が来てますからね。
まず人口が増える。
横石 ええ、増えています。
糸井 子どもが生まれるという現実について、
町がどういうふうに受け入れるかとか、
託児所はどうする? とか。
そういうことを考えると、
町そのものが様々に
起業しやすい方向へ変わっていくはずですよね。
横石 ええ、そこはたのしみな部分です。
──で、そうだ、糸井さん、
今年の小学生の入学者数が
17人だったんですよ!
糸井 ほぉー、17人。
横石 2000人の町で、
小学校の入学式に
17人の新入生がやってくるっていうのは、
これ、すごいことなんです。
糸井 そうですか。
横石 ふつうだったら、
2人とか3人の世界なんです。
そんな現象も出てきたんですよ。
17人の新入生が並んで‥‥。
うれしかったですねぇ。
糸井 もう‥‥
たまんないですね、
またそんなグッドニュースを(笑)。
横石 いやぁ(笑)、
ほんとに、よかったなぁと思って。
糸井 すばらしいです。
──それから、あれですよね、
これは強く言っておきたいんですけど、
上勝にやって来た若い人たちはみんな、
来たくて来てますよね?
横石 と、言いますと?
糸井 若い人が田舎の町に入ってくるときって、
来たくて来たんじゃなくて、
しょうがなくやって来るケースも
すくなくはないじゃないですか。
横石 ああー。
糸井 しょうがなく来た人は、
前からいる人たちと、
いさかいも起こしやすいものですけど、
上勝ではきっとそれがないですよね?
横石 ないです。
そう‥‥そうですね、
この子らはみんな、
上勝に「来たくて来た」子たちです。
糸井 その違いは大きいと思いますよ。
横石 ええ。
みんな、ほんと、
東京で生きていく選択肢もきちんとありながら、
自分の価値観で上勝を選んでくれてます。
大学でトップクラスだったような子が、
そんな子が、来るんですねぇ。
糸井 いいですねぇ。
横石 今まではそんなこと、なかったですから。
糸井 流通したんですよ、人が。
横石 ああ‥‥。
糸井 下半身のあるお金のように
どっしりとした若い人が、
上勝の町に巡ってきたんでしょうね。

(つづきます)
2010-06-21-MON
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