第4回 もちつきの余韻。
─── というわけで、
「土楽」さんでのおもちつきは、
たっぷりとした、濃密な時間でした。
糸井 身も心もまんぷくで。
─── はい。
糸井 自分たちであれをやろうと思ったら
たいへんなことです。
─── そうですね。
臼の管理は、きっとたいへんですよね。
ヒビが入ったりカビが生えたり‥‥。

糸井 ありがたい体験です。
─── はい。
福森さんはご不在でしたが、
お弟子さんの州さんの
「もちつき技術」はすばらしかったです。
糸井 すいすいとついていましたよね。
なかなか真似はできません。
─── 無駄なちからが入って、すぐ疲れちゃいます。
糸井 車のハンドルでいうと、
パワーステアリングってやつですよ。
軽いちからでコントロールできる。
州さんも、福森さんも、
パワーステアリングで、もちをついています。
─── 州さんが、
「片手は添えるだけ」と教えてくれました。
糸井 福森さんは、ほんとうに片手でつきますからね。
─── はぁーー。
糸井 かっこよく、ぱーんとついてるのを見ると、
うらやましいです。
─── はい。

そして、つきたてのおもちのやわらかさ。
あれは格別でした。
糸井 ごまを入れてみたり、
からすみを入れてみたり‥‥
あれだけいろいろな材料を
もちに入れられるのは、
家でついているからこその特権です。
─── なるほど、そうですね。
つきたてのやわらかい状態じゃないと混ぜられない。
糸井 手間ひまかけてね。
─── よもぎもちには
大量のよもぎが入っていましたが、
あれは春に歩いて集めたよもぎを
ゆがいて冷凍しておくんだそうです。
糸井 そうやって、いろいろな食べ方があって、
それぞれにおいしかったですけど、
ぼくにとってのいちばんは
「大根としょうゆ」でした。
─── からみもち。
糸井 (深く頷く)おいしい。
─── みんな一瞬、無言になりました。
糸井 あと、今回はなかったけど、
つきたてのもちに納豆をからめるのもいいです。
─── あぁー(味を想像)、おいしい。
糸井 焼いたもちのことも話しておきたいですね。
それはそれで、おいしいものです。
しょうゆをつけて、磯辺焼き。
うちには必殺の海苔がありますから、
そこにバターをちょっとつけたりしても‥‥
─── ‥‥(味を想像)たまらない。
糸井 焼いたもちには、砂糖じょうゆもいい。
甘じょっぱい味もうまい。
ただね、
「砂糖じょうゆが好き」って言うのは、
ちょっと照れくさいんですよ。
─── ああー(笑)、
「わたし砂糖じょうゆが好きです」
‥‥すこし恥ずかしいかもしれません。
糸井 そういうときには、
「みたらし」と言えばいいんです。
─── みたらし!
糸井 「もちは、みたらしが好きです」
これならスマートに言えます。
─── 砂糖としょうゆの味ですからね。
なるほどー、みたらし。
そういうふうに言うようにしてみます。
糸井 ぜひ、おつかいください。
─── 焼いたおもちといえば、
ああして杵でついたおもちって、
あれですね、
焼いても中が大きな空洞にならないんですね。
糸井 そうなんです。
杵づきは、焼いてもみっちりしています。

─── ぷくっとふくらんだ白いおもちは、
かわいらしくもありました。
糸井 似ていると もちに教える ぱいおつに
似  て  い  る  と   も  ち  に  教  え  る   ぱ  い  お  つ  に

▲糸井が自分のiPhoneで撮影
─── ‥‥‥‥‥‥‥‥。
糸井 あんこのときにも話しましたが、
もちというものは、女体です。
─── ‥‥はい。
おもちを丸めていたとき、
土楽のお母さんがそっと横に立って、
「さわると気もちがいいでしょう。
 もち肌っていいますからね」
とおっしゃったんです。
手ざわりが気もちよくて、
とても印象に残っています。
糸井 食と性は、
いつもとなりあわせにありますから。
─── 豊作と、繁栄。
糸井 そうです。

‥‥そうこう言っている間にね、
もう、
2014年がどんどんはじまっています。
─── え?
糸井 しっかりしてください、これは新春企画でしょう。
─── ああ! はい。失礼しました。
糸井 あのね、今年はおれ、はたらくよ!

─── (急にカメラ目線!)はい。
糸井 身をモチにして。
─── 身をモチにして! (笑)
糸井 身をモチにしてはたらきます。
つかれても、つかれても!
─── つかれても(疲れても)!
もちのように、つかれても!!
糸井 燃えてます。
赤いくびまき‥‥これは猪木ですから。

─── わはははは!
またそんな(笑)、掲載できない写真を‥‥。
そろそろ締めますので、ふつうの表情でお願いします。
糸井 (意に介さず)ことしは闘魂ですから。

糸井 じゃんじゃん撮ってください。
─── ‥‥‥(猪木の顔マネをどんどん撮らせている)。
糸井 ちょっと、撮ったのを見せて。
(カメラのモニタで真剣に写真チェック)
うーーん‥‥前はもっと上手にできたんだけどなぁ。
─── ‥‥‥(どうやらこれ、本気みたいだ)。

糸井さん、いいんですね?
ほんとに猪木のままで。
この写真で締めちゃって、いいんですね?
糸井 今年もよろしくおねがいします!

まさかのエンディング!
もちつきのコンテンツが、
よもやアントニオ猪木で終わるとは思いませんでした。
なにはともあれ、これにて新春企画は終了です。
2014年も、どうぞよろしくお願いいたします。
糸井重里とともに、
わたしたちも身をモチにしてはたらく所存です。
元気があれば‥‥いろいろできる!


<おまけ>
お土産のおもちは、「ほぼ日」のキッチンで焼いて、
乗組員みんなで食べました。






▲昔の人も、おもちを食べるときはこんな顔をしてたのかなぁ。
(完)
2014-01-04-SAT
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