大橋 | 昔の流行って、何か1つ、これ! ってなると、みんなが、一斉に着ましたね。 例えばミニスカートが流行ったときは、 もう膝丈くらいはカッコ悪くなって。 1つの流行に、みんながワーッて集中した。 最近って、トラディショナルなのもあれば、 クリエイティブなもの、 すごくアート的なものもあって。 その間にまたいろいろある。 どれを着ても全然おかしくない時代です。 だから、仕事がやりやすいし、 選ぶ人も選びやすくなってるのかなと思うんですね。 ただ、やっぱり、鶴田さん、 |
田村 | そうそうそう。 |
鶴田 | だから、似合うんでしょうね。 おしゃれに見えるんでしょうね。 |
大橋 | そうですね。 |
田村 | そうですね。やっぱり。 着こなしちゃうっていうか、 どこに裏付けされてる自信か わからないんですけど(笑)、 「わたしはこれ」みたいなね。 で、堂々と着られちゃうと、 それがね、ちゃんと存在しちゃいますもんね。 |
大橋 | カッコいいですよね。 |
鶴田 | そうですよね。そこがずれてると、 服が勝っちゃってるな ということになっちゃうのかもしれないですね。 |
田村 | さっきのうちの母親の話じゃないんですけど、 「もう年だから、 ちょっと飾りがないとだめなのよ」 みたいなことって、 何か付いてるものだと安心するというのは、 自分に自信がないためなのかなあ、 と思うんですよ。 |
大橋 | やはり、人柄がにじみでることで 洋服が似合っていくって、 年齢が重なれば、 そういうような女性に なりたいものじゃないですか。 本当はね。 そうであれば、服って、 シンプルでもすごく素敵に見えたり するんじゃないかなぁと。 こんなことがありました。 |
鶴田 | 日本の女の人は、 女を意識して服を選ばないっていうのは、 そういう関係性から 生まれてきたりもするのでしょうか。 |
田村 | あぁ、それはあるかもしれないね。 「父兄会に来る時、それ着てこないで」 みたいな(笑)。 うちのカミさんも、子どもに言われてました。 |
一同 | (笑) |
田村 | 「いちばん地味なのにして!」みたいな。 |
鶴田 | かわいい(笑)。 |
田村 | ところがね、いちばん地味なのが、 かえって目立っちゃうわけですよ。 みんなわりと柄の服を着ていて。 無地のを着てるお母さんなんか、 1人しかいないから、 「すっごい目立ってた」 とか怒られてましたよ(笑)。 |
一同 | (笑) |
鶴田 | 悲しいですね。 地味なのを着ていってるのに、 怒られてしまったら。 |
田村 | そうそうそう。 だから、男性もね、 たとえばサラリーマンで役つきの人だったら、 「俺の家内として、これくらいじゃないの」 みたいなことが、あるのかもしれない。 |
鶴田 | それに応えちゃうんですかね、 日本の女性って。 |
田村 | うん、そう。 |
大橋 | 日本はね、女の人は、 奥さんになると、女の人じゃなくて、 奥さんになるでしょう。 わたし、父母会に行くときのための お母さん服を買ったことがあるんですよ。 |
鶴田 | 大橋さんでも買うんですね! |
大橋 | 1回だけ。最初で最後。 サンローランのワンピースを買ったの。 ‥‥どうやってみても似合わないんですよ。 |
糸井 | おもしろーい(笑)。 |
大橋 | わたし、年取ってるのに、 ロゴの入ったTシャツ着て、 ツナギを着て、平気だったの。 ところがみんなに、 「うーん?」って思われたらしくて、 買ったんですけど。 もったいなかった。 結局、ヘンな格好してても、 なるべく父母会が始まる直前に行って、 みんなが出る前にパッと帰る(笑)。 そうしました。 みんなね、お母さんになったら、 女性じゃなくてお母さん。 自分もそれを納得して、 自分自身というよりは、 その自分の立場みたいなものを優先するので、 そういう形で奥さんらしい服、 お母さんらしい服に なるんじゃないかなぁと思うんですけどね。 |
田村 | それはあるかもしれない。 |
コスプレみたいな話ですね。 | |
田村 | そうそうそう、そうなんだ。 |
鶴田 | そうかもしれないですね、ある意味ね。 |
田村 | トライブス(tribes)ってあるでしょ? 「族」。 |
なんとか族の「族」ですね。 | |
田村 | 若い子の中にも、 いろんなのあるじゃないですか。 ゴスロリとか。 |
大橋 | ええ、ええ。 |
田村 | そういう中でも、 日本人って真面目なんです。 全部がそのトライブスで許されるものしか 着ないわけ。 靴は絶対この厚さ、とか。 |
大橋 | はぁ、はぁ。 |
田村 | 僕は、ちょっとはずしたほうが いいのにと思うんだけど。 |
糸井 | (だまって聞いていたのだけれど、 みゆき族とかそうでしたよね。 |
田村 | そうでしょ? そうそうそう! |
糸井 | 必ずマドラスチェックのシャツで、 ベージュのコッパン履いて。 |
田村 | よく言われちゃうんです、 「その靴下違うよ」とか。 「コットンで、上に線2本入ってなきゃ」 みたいなね。 |
鶴田 | へぇ。おもしろいですね。 ということは、国民性ですね。 |
田村 | うん。自分が属するべきトライブスの中で、 ルールが厳格にあるわけ。 ほんとは厳格になんて、 ないはずなんだけど、 着る人が、「これはいいのか?」みたいに、 すごく真面目に考えちゃうわけ。 |
糸井 | 苦しい時は、 楽譜通りに歌っちゃうしかないんだよね。 |
大橋 | そうなんですよねぇ。 |
糸井 | ほんとうは、崩せるんですよ。 |
田村 | でも、やっぱり心配だから、 まず堅いところから行きますよね。 |
大橋 | やっぱりね、そうですよね。 |
糸井 | そうだと思う。 で、それは日本全部ですよね。 |
大橋 | あぁ、そうかもしれない。 |
糸井 | あ、俺、こんなに しゃべるつもりで来たんじゃないんだ。 |
一同 | (笑) |
糸井 | ついおもしろくなっちゃって。 |
(つづきます) |
2011-11-17 THU |