田村 でもね、男性の服も、
ちょっとずつ変わってるんですよね。
やっぱり3年前のジャケット着ると‥‥。
糸井 違うんだよね。
ジャケットが一番違うんだよね。
田村 そうそうそう、そうなんだ。
どこが変わってるのっていうくらいなんだけど、
着ると違うんです。
糸井 主に大きさ。
田村 そうですね。
今は小さいですよね。
田村 特に今のは着づらいですよね。
糸井 小っちゃくなったから、困るんですよね。
大きいのが欲しいんだよ、着やすいし。
糸井さん、でも細いし、
田村さんも細いし。
糸井 いや、それはさ、
服に合わせて細くしたんだよ。
一同 (笑)
糸井 たいへんだよ。
俺、だって、自分が一番むくんでた時の写真を、
パソコンの中の端っこに
いつでも見られるようにしておいてますからね。
大橋 えぇ? 本当ですか?
鶴田 へぇ!
田村 いつ頃ですか?
糸井 つい3年くらい前。
田村 あぁ。
糸井 その時が、一番俺が
こいつは信用できないと思ったんだ。
一同 (笑)
田村 いや、僕も心配してた。
ちょっと顔丸くなってるなぁって。
大橋 そうなんですか。
糸井 やっぱりさ、そうやって
体も壊していくんだよね。
つまり、見た目のサインって、
中身と一緒だから。
大橋 なるほど。
やっぱりその時の体調は悪かったですか?
糸井 「あぁ、このままジジイになってお終いだな」
と思った。
一同 (笑)
糸井 いや、思うんですよ。
だらしなくどんどん行く感じが、
「あぁー‥‥!」って思ったんですよ。
鶴田 何かを手放すと、
転がっちゃうっていう感じは
あるかもしれないですよね。
糸井 そうですよね。大橋さんが、
コム デ ギャルソンの服を着ると、
負けちゃだめだ、
しっかりしなきゃって思うっていうのと、
おんなじなんです。
だから、こうなっちゃったら、
ちょっと信用できないなぁと思ったの。
「こいつには任せられないな」みたいな。
大橋 あぁ。
田村 それ、自分しか言えないけど(笑)。
それ、言う人いないでしょう?
糸井 まぁね。
大変だぁと思った。
大橋 往々にして、そうやって
自分を客観視できる人って少ないですよね、
男も。
田村 そうでしょうね。
糸井 ある瞬間気付くんですよ。
大橋 きっと、自分で気づかないとだめですよね、
言われても、したがわない。
鶴田 直らないですよね。
糸井 言われたら、腹立つもんね。
大橋 「いいんだよ、俺は!」
とか強がりを言って。
田村 そうそうそう。
大橋 そうですよね。
大橋さん、地方に行かれるじゃないですか、
つくった洋服を持って。
で、初めてこういう服を着るっていう
お客さんも来ませんか?
田村 たくさんいるんじゃない?
大橋 そうですね、すでに知っている人と一緒に、
ついて来ただけの人がいたりします。
たまたま偶然、着てくれて、
「わぁ、わたし、これ似合うから、これ欲しい」
って言ってくださる人もいます。
けれども、「着たい!」と思って
着てくれる人のほうが
やっぱり似合ったりすることも。
着たいなと思って着てくれる人が似合う。
大橋 いろいろですね。
糸井 ミナ・ペルホネンの皆川明さんが、
始めたばっかりの時に、
自分で作った服を車に積んで地方を回ったんですって。
洋品店みたいな所に「置いてください」って。
大橋 本当に?!
鶴田 すごいですね。
糸井 「置かせてください」って言って、
だめだったっていう経験を
さんざんしてきたって(笑)。
鶴田 だめだったんですか(笑)。
大橋 でも、それ、すごいよくわかります。
やっぱりなかなかとね、置いてくれる所は少ない。
たまたまわたしは
いろんなことで知ってる人がいたので、
そういう人たちが、
「じゃあ、展示会をしてあげるよ」
みたいなことで、それにもう頼ってるんですけども、
自分からここにお願いしたいと思っても、
ほとんどやっぱりだめですね。
糸井 おもしろいですねぇ。
大橋 むずかしい、それは。
糸井 でも、大橋さんは、ちゃんと通じた。
「わたし」っていうまんまで
通じてる人がいるっていうことは
すごいことなんですよ。
大橋 うーん‥‥。
でも、着てもらうまでがたいへんですよね。
まずは興味を持ってもらわないと、
着てみようって思ってもらえない。
お店番をしていて、
すごくいたたまれない気分になることも
多いですけれど。
田村 でも、それ、直の反応だから、
おもしろいですよね。
糸井 おもしろいね。
(つづきます)
2011-11-21 MON