音で読む。音をつくる。 音で読む。音をつくる。
「聞く、ほぼ日。」は、ほぼ日が取り組む
オーディオコンテンツのプロジェクトです。
その第一弾としてリリースされるのが、
『ボールのようなことば。』のオーディオブック。

製作を手掛けてくださった
オトバンクの代表を務める久保田裕也さんに、
「耳で聞くコンテンツ」についてうかがいました。
まだ聞いたことがないという人にとっては、
最適の「オーディオコンテンツ入門」になるはず!
第5回 自分だけの世界に連れて行ってくれる
──
久保田さんたちがつくられている
オーディオコンテンツは、
想像以上に人の手が入っているというか
「機械的にたくさんつくる」
ということとは真逆のことをやってますよね。
久保田
そうですね。
プラットフォームこそ
インターネットとアプリという
新しいテクノロジーをつかったものですけど、
機械的なものづくりをしている感覚は
まったくないですね。
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──
会社として収益もあげなきゃいけないなかで、
そこまでやられるのは、
どういう感覚なのでしょうか?
久保田
単純にオーディオコンテンツが
好きな人が集まっているからじゃないですかね。
「オーディオブックって、こうあるべきだよね」
という思いが、社員みんなにあるような気がします。
──
それはルールとかを決めているわけではなく。
久保田
じゃないですね。
なんですかね、もうほとんど、
本能に近いというか
「まあいっか、こんなもんで」って、
どうしてもできないんですよ。
自分がしっかり納得できてないと、
GOサインを出せないんです。
──
お話を聞いていると、
もう完全にゼロから1をつくるような
「ものづくり」ですよね。
久保田
そうかもしれないですね。
「ここまでがんばれば絶対にいいものができる」
って一度知ってしまった以上、
もう妥協できなくなってしまったというか。
──
なるほど。
久保田
どこも間違ってはいないんだけど、
オーディオブックの商品として考えると
「なんだか足りてない音」っていうのが、
やっぱりあるんですよね。
聞いた人すら気づかないような
こだわりかもしれないですけど。
でもやっぱり、会社を立ち上げたときから
「せっかく聞いてもらうんだったら、
すこしでもよいものを」
という思いがずっとあるんです。
「誰かにとってのはじめての
オーディオブックかもしれないから、
どんな作品もさぼらないでやろう」って。
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──
たしかに、はじめて聞いた
オーディオブックがイマイチだったら、
その人はもう「聞くコンテンツ」は
試してくれないかもしれない。
久保田
そうですね。
あらゆる人が、時間や場所を問わず
オーディオコンテンツを
たのしめるようにしたいと思っているので、
そのためには細部まで
本気のものづくりをしないといけないって
みんなで確認し合いしながら、
ここまでやってきました。
──
なんだかお話を聞いていて、たいへん僭越ながら、
「ほぼ日」のコンテンツづくりにも
似ているところがある気がしました。
ぼくらのコンテンツをオトバンクさんに
オーディオ化していただくのは、
すごく相性がいいなと、いまあらためて思っています。
久保田
ああ、そう言っていただけると、
ほぼ日ユーザーとしては、
とてもうれしいですね(笑)。
──
これから「聞く、ほぼ日。」をつくっていくのが、
ますます楽しみになりました。
久保田
ぼくはオーディオ化することで、
これまで以上に「ほぼ日」の世界観を
じっくり味わってもらえると思っているんです。
というのも、「音」って、
どこか閉じているというか、
聞いていると「自分だけの世界」に
連れて行ってくれるときがあるんですよ。
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──
ああ、それはよくわかります。
それを聞いていま思い出したのですが、
ほぼ日って「Only is notLonely」、
「ひとりだということは孤独ではない」
ということばを
昔からスローガンのひとつにしているんです。
コンテンツをオーディオ化することで、
より「ひとりの時間」を
楽しんでもらえるような気がしてきました。
久保田
ああ、そうですね。
なんていうか、「音」って、
ほんとうに不思議なんですよね。
そういう風につくられているわけではないのに、
自分に語りかけているような気がするじゃないですか。
「自分に語りかけている」と思うと
聞き手も熱を持ってコンテンツに接しますし、
作者の意図を超えて、いろんなことを
感じ取れるようになるんですよね。
──
ひとりで聞いているんだけど、
仲間に入れてもらってるような感じがするというか。
久保田
そう、しゃべっている相手が、
自分の部屋にいるような気分になりますよね。
あれは不思議な感覚だなあと、
長いことオーディオブックをつくっていても、
いまだに思うんですよ。
(久保田さんのお話はこれで終わりです。
お読みいただき、ありがとうございました。)
2022-04-22-FRI
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