え? 先があるの?
モギは、難問に燃えたりするタイプではないのだ。
今までの人生でねばっていいことなど何もなかったのだ。
というような己の歴史などどうでもいいのだ。
ともかく、もう諦めるつもりだったから、
無策で報告にきただけなので、
新規の提案、それは不意打ちに等しいぞ。
あきらめる以外に
どんな方法が考えられるのでしょうか?
「スキャン、とか? わからないけど。
だってそれしかないでしょ。」
スキャン、ね~~(疑心)。
「ともかく、ここは専門家にきいてみよう。
藤井さんに電話してみようよ。
たぶん、藤井さんなら、
いままでにもそれくらいのことやってるよ。」
藤井さん! と、モギは思った。
そうか、なにかいいアイデアをくれるかも!
ここで「藤井さん」を紹介しよう。
「ほぼ日」の「ただいま製作中」にも
頻繁に登場する人物である。
彼は、凸版印刷株式会社の営業で、
「ほぼ日」では何冊もの本を彼と一緒につくってきた。
例えば、ブックデザイナーの祖父江慎さんと一緒に、
「言いまつがい」や「ベリー・ショーツ」、
そして、永田が編集を担当する
「小さいことば」シリーズなどである。
彼は優秀な営業マンであるとともに、
「趣味・印刷」と言いそうなくらいの印刷オタクであり、
「あんまり詳しく印刷の話をして、妻に呆れられる」
というノロケのような話を得意技としている。
実際に、印刷技術に関する豊富な知識で、
いままで何度となく我々の窮地を救ってくれているのだ。
今回も、ぜひ助けてもらいたい!
モギはある意味で、
他力本願が服を着て歩いているようなものだ。
「はい、藤井でございます。」
あの、ちょっと困ってて。
藤井さん、印刷の版も原画もないっていう本を
復刻したことってありますか?
「はい、ございます。」
やはり。
次回、具体的にどうしたらいいのか、
藤井さんは語る。
(つづく) |