2010年11月18日 美本を手に入れてください。

印刷の版と原画が失われている場合、
絵本はどう復刻するのか?
いつも一緒に仕事をしている
印刷オタクに、いやもとい、印刷会社の営業・藤井さんに
連絡してみたところだ。

「方法は、あります。
 絵本をスキャンする、という方法ですね。
 私、それで何度か本を復刻したことがございます。」


▲藤井さん。印刷の知識がない私たちを
 いつも助けてくれる男。
 そして、うっかり、台割を美しく作ってしまい、
 自分で見積もりをディスカウントしてしまう男である。
やっぱりスキャンですか?
永田も、そうじゃないかと申しております。

「そうですね。
 本をいったん解体して、スキャンします。
 そこから、版をおこしまして、
 印刷をする、という方法です。」

解体ですか?

「はい。解体です。
 そのままでは、スキャナーにはいりませんから、
 いったん本をばらばらにして、
 一枚の紙の状態にする必要があります。」

あのー。藤井さん。
困ったこと「その3」があるんです。
仮に、その1が、印刷の版がないことであるとしたら、
その3です。

「その2はなんでしたっけ? ちなみに?」

その2っていったら、原画がないってことですよ。

「失礼しました。で、そのその3というのは?」

いま、手元に絵本が一冊しかないということです。
これは、困ったこと、ですよね。
だって、解体するんですよね。
解体したらもとに戻らないんですよね。

「(いつもよりワントーン高い声で。)
 いや~~~
 ホントですか?」


▲こういう、スキャナーでスキャンするわけでは
 無いらしいです。
 印刷会社には、ドラム式になっている
 スキャナーがあるんだそうです。

ええ。ウソはつきません。
閻魔様も怖いですし、
この状況でウソをついても、仕方がありません。

「いや~~~。困りましたね。
 それを解体しちゃうと、手元に復刻前の本が
 無くなってしまうということですよね。
 いや~~~。」

そのとおり!
どうしましょうかね。

「探してください。
 ともかく、もう一冊絵本を手に入れてください!!」

わ、わかりました。
それが、絶対の条件ですね。

「そうです。そうでなければ、
 その1冊しかない本を壊すことになります。」

それは、困ります。
仮に復刻された暁に、
一冊は、「当時のまま」残しておきたい。是非。
探します。探します。
もう一冊さがします。

「あ、モギさん、ぜひ『美本』を!
 スキャンするときに、美しければ美しいほど
 美しい復刻版ができあがります。
 美本を探してみてください。」

ふむ。美本ね‥‥。

古本屋、古い知り合い、
かたっぱしから連絡をとってみることにしよう。
とはいえ、モギだって、
東京糸井重里事務所には13年しかいない。
そんなに、古い知り合いがいるわけじゃないぞ。
あ、ひとりいた!
石井さんだ! 石井さんは糸井事務所の古い人だ!

おっと、その前に、そのブラウザの検索窓に、
「さよならペンギン 古本 販売」と入力だ!

(つづく。そして、小さい事件はおこった。)

2011-02-25-FRI
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