2010年11月30日
そっちじゃない‥‥事件。

「スキャン用の美本」を求めて、行動を早速開始する。
いかに、古い知り合いに問い合わせるとは言え、
電話は(正直なところ)ネットで検索よりも
多少億劫なので、
まずは、検索窓に
「古本 さよならペンギン」などと入力する。

まず、「さよならペンギン」の古本を探す者が、
かならず「ぬかよろこび」をする物件に
当然だが、モギもひっかかる。

「お、アマゾンにあるじゃん。
 『さよならペンギン』。」

それは、同名の書籍
「さよならペンギン」のほうである。
これは、絵本ではなくSFのようである。

そして、古本をさがすときにも、
この同名の書籍はひょいひょいと顔をだし、
絵本のほうの「さよならペンギン」を探す者に
ぬかよろこびにつぐぬかよろこびをもたらす。
そっちの「さよなら」じゃないんだよ‥‥。

しかし、絵本の方の情報にたどり着いたとしても、
2008年の入荷情報だったり、
オークションの残骸だったりと、
「過去に『さよならペンギン』ありました。」
という情報ばかりである。

こりゃあ、無理だな。
さっさと、作戦を「古い知り合い」に変更だ。

古い知り合いといってもなあ‥‥。
と思って、社長こと糸井重里に理由を説明して
いいアイデアはないかと聞いてみた。

「あ、それだったら、
 石井くんにきいてみな。」

おお。石井さん。
ラッキーナイスの石井さん。
ラッキーな人とナイスな人が作った会社
ラッキーナイスの石井さん。
石井さんはラッキーな人だったかな、
ナイスな人だったかな。‥‥忘れちゃいました。

石井さんは、ラッキーナイスという会社を作る前に、
糸井事務所で働いていた人物だ。
勤め始めたのは、「さよならペンギン」が出版された頃、
ではなかったか??

さあ、電話だ! 電話をしよう!


▲東京糸井重里事務所の看板。
 事務所設立は1979年。

「なんや、もぎちゃんひさしぶりやな。」

石井さんは、京都の人だ。
その後判明したが、
栗コーダーカルテットの栗原さんとは、大学の同級生だ。
今は、その情報は蛇足だ。いずれどこかで!

で、「さよならペンギン」の事情を説明すると‥‥。

「そっか、どこにもないんか。
 いま、自宅にはないと思うんやけど、
 たぶんな、違う場所にあるはずやから、
 探しに行ってくるわ。
 2週間くらい時間もろてもええ?」

たぶん、石井さんが「ナイス」なほうじゃないか?
親切にも、遠方まで探しに出かけてくれるというのだ。

要件を済ませたその後は、
最近の電動自転車の発展ぶりについて、
40分ほどおしゃべりをし、
受話器で耳が痛くなった。
長電話をしなくなったので、すごい久しぶりの痛みだった。
そう、石井さんはおしゃべりなのである。

そして、数週間後、電話があった。

「もぎちゃん! あったで!」

わ~~~~! ありましたか!

「うん。あったで。
 ちょっと、ざら紙が日に焼けてるけどな。」

ざら紙?
「さよならペンギン」はざら紙に印刷された本ではないぞ。
ざら紙でペンギンといえば‥‥。

「うん。そうやで。
 『情熱のペンギンごはん』とちゃうの?」


▲石井さん。
 事務所にくるときは必ず、オフィスのほうに寄って爆笑小話をしてくれる。
 乗組員の一部に来訪を激しく楽しみにされている男なのだ。

ちゃいますねん。
そっちの「ペンギン」じゃないねん‥‥。

「あ~~~~! そっちか。
 そっちは、オレ知らんで。
 オレが、糸井事務所入る前や。
 湯村さんと糸井さんやろ?
 そんで、『ペンギン』ってことばで、
 『ペンギンごはん』だと取り違えてしまったわ。」

ああ、すみません。すみません。
遠くまで取りに行ってもらったのに、
すみません。

「あはははは。しゃあないな。
 まあ、オレも糸井事務所にでいりしてたような
 古い知り合いに会うたりしたら、きいてみるわ。
 残念やったな。すまんすまん。」

その後は、最近の電動自転車の発展ぶりについて、
またまた、40分ほどおしゃべりをし、
前回にひきつづき、耳が痛くなった。

石井さんのほかにも、
社長こと糸井重里の娘さんや、
その他の知り合いにもあたったが、
結果は「無い」ということだった。

『さよならペンギン』の2冊目は
全然見つからない‥‥。

(つづく)

2011-03-01-TUE
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