2011年2月9日 カバーの裏のこと。

「さよならペンギン」は、
「ビートルズのリマスター」をキーワードに
完全復刻をするという相談がまとまったあとに、
デザイナーの清水さんが口を開いたところまでが
前回だ。

というようなあらすじを説明する前に、
知らせるべきことがあったのをわすれていた。
今日から、こちらのページで、
「さよならペンギン」とグッズの販売を開始したのだ!
お店においてあるのは、
「さよならペンギン」の絵本、
「さよならペンギン」のマグカップ、
「さよならペンギン」のカード、
そして、「さよならペンギン」Tシャツ。
いずれも数量限定販売中である。

その、記念すべき日に、
復刻記はとても半端なところを語るのだ。
どこまで続くのか、復刻記。
いらぬ心配はさておいて、先に進め。
まず、口を開いたままの清水さんをすくう必要がある。

「あのー、藤井さん、
 カバーを二つ作るって、できますか?」

カバーを二つとな?

「ソフトカバーとハードカバーの
 どっちにしようという話のときにもちょっと考えてたんだけど、
 どうも、あの黄色いソフトカバーの表紙が
 どこにもなくなってしまうのがもったいないと思うんですよ。」


▲「赤黄」のバージョンのブックデザインは、
 秋山政美さんの仕事。

「で、考えたのですが、
 カバーを2枚つくっちゃうっていうのはどうですか?」

ここで、一瞬、進行係の顔が曇ったのを、
藤井さんは見逃さない。

「1冊の本に、2枚のカバーをまくという
 ダブルカバーという方法もありますが、
 裏表で印刷して、1枚におさめるという方法もありますよ。」

藤井さん! ナイス! 
ぶっちゃけた話、紙代が1枚分で済みそうです。

「裏写りはしませんか?」

と、清水さん。
あああ、しまった! 
小銭の神様に足をすくわれて、
そのことを考えられませんでした!

「そうですね、完全復刻ということで
 カバーの紙の厚さもだいたいわかりましたが、
 そのくらいあれば、裏写りはしません。」

そして、永田が。

「だとしたらさ、ハードカバーのカバーの周りも
 現代版に差し替えないといけない部分とかも、
 残せるんじゃない?」

え? あの社長の3枚目の写真も?

「そうそう。あれもね‥‥。」


▲これが、それ。

「あ、でもひとつ注意しないといけないね。
 裏表のカバーは、そのことをちゃんと説明できる
 『ほぼ日ストア』での販売だけにしようか。
 そうじゃないと、なんで両面印刷なのか
 意味がぜんぜんわからないからね。」

こうして、『ほぼ日ストア』での「さよならペンギン」は
カバーが裏表になり、ソフトカバーのほうのデザインも
めでたく復刻することができることになった。


▲表

▲裏

ところで、藤井さん、
さきほど、カバーにつかう紙の厚さについて、
さらっと話をされていましたが、
復刻に使う紙はどう選べばいいのでしょうか?
当時と同じ紙は、いまもつくっていたりするんでしょうか?

「まず、当時のものは無いとおもいます。
 現状で似ている紙を探さないといけないですね。」

なにに近いとか、わかりますか?

「ん〜〜〜〜〜、まったくわかりません!
 だいたい、このへんという見当はつくのですが、
 わかりません!
 本をもって、会社(凸版)の紙を扱う部署にいって
 調べてもらうしかありませんね。

 その上で、2〜3種類の紙にプリントをしてみて、
 色を調整していきましょう。」

いよいよ、色校正紙がでてくるのだ。

「はい。正直すごく不安ですね。
 湯村さんも、糸井さんも当時の原画の色を
 覚えていらっしゃるはずですよね。
 お二方の期待にそえる色がでるかどうか‥‥。」

はたして、この藤井さんの不安は的中するのか、
それとも、単なる杞憂におわるのか?

(つづく。次回はいよいよ、テスト刷りがでてくるぞ。)
※裏表のカバーは、部数限定の「ほぼ日ストア」販売特典になりました。
 現在は終了しています。

2011-04-01-FRI
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