2011年3月01日色校が出る。きれいだな。

4月1日に「さよならペンギン」は
無事に販売を開始した
絵本の他に、マグカップ、カード、Tシャツも販売中だ。
ただ、残念なことに、
マグカップはすでに完売してしまったのだが、
夏ごろには、完売してしまったデザインと
新しいデザインとをあわせて発売する予定である。
夏ぐらいに発売というが、
それまでこの「復刻記」が続くわけではない。
その点はご心配くださらなくて大丈夫だ。
「さよならペンギン」の復刻がネタの宝庫だといっても、
いつかそのネタは切れる。


▲緊急会議をした。
 ちょっと、ほっとして思い出話をした。
 しかし、「復刻記」が終わってない筆者は、
 罪悪感も抱えている。

さて、時間をもどしていこう。
いつかそのネタは切れるといっても、
「さよならペンギン」の復刻がネタの宝庫なのにはかわりない。

前回までは、今回の復刻は刊行当時のデザインや色を
そのまま生かした「完全復刻」にするということを決め、
さらに、ソフトカバーのデザインが生きるように、
「ほぼ日ストア」限定でカバーを裏表印刷にする、
と決めたところで終わっている。

今回からは、いよいよ「色」の話をしていこう。
まず、解体をしてスキャンをしたデータは、
2種類の紙に印刷されてでてきた。

日本製紙「ユーライト」という真っ白な紙と、
王子製紙の「ニューエイジ」という
ちょっとクリームがかった紙である。
これが、当時の紙に近いと凸版藤井さんが判断し、
かつ、現在流通していて普通に手に入る紙だという。

▲これがその二つ。
 ならべてみると、わかりにくいけど、左のユーライトのほうは、
 「蛍光」といってもいいような白である。
 (データは同じ条件でスキャンしたもの)

この二つを、糸井事務所の会議室
通称・スペース青山にひろげておいた。

そこに、著者がやってくる。
一枚一枚の校正紙をじっくりみつつ。

「きれいに出たもんだね〜〜〜〜。
 ふ〜〜〜〜ん。いいねえ〜〜〜〜。」

と。
まこと、自分の作品が編集されたりすることに
あまり頓着せずに淡白なことは、
「小さいことばシリーズ」
仕事で知ってはいたが、
ここでもその淡白さは遺憾なく発揮されるのだ。

なにか、赤をいれる点(修正をする点)はありますか?

「ないよ。だって、君らこれからやるんだろ?」

やります、が。

「じゃあ、そうしたらいいよ。
 だいいちオレは話を書いたほうの係だしな。」

あ、ありがとうございます!
信頼されてるのはうれしいが、足元がふらつくのも確かだ。

「じゃあ、オレがうるさく赤入れするのが
 いいっていうのか?」

いえ、それも困ります。
そういう軽口をたたきつつ、著者の校正は終了したも同然である。

さて、「さよならペンギン」チームは、
一人目の著者の校正が終了して安心しつつも、
それはいったんおいておいて、紙の決定である。

またまた、清水さん、藤井さん、永田が雁首を揃えた。


▲雁首ひとそろい。
決めるときのポイントは、
二種類の紙のうち、どっちの紙に刷ったほうが
原本に近いかということだ。
色味がより近い方を選ぶ。
▲ わかりやすいように、一つページを選んで、
 2種類の紙と原本を比べてみよう。
 真ん中が原本。左右は上記と同様。
 おもったよりとてもわかりにくい。現物だと一発なのだが。
この原本との色味の比較プロセスのときに
とんでもなくばかばかしい事件が発生した。
そんなに、本筋と関係があるわけではないが、
紹介したらしたでそれなりに読めるネタではあるのだ。
しかしながら、その事件の原因が筆者であるので割愛することにした。
歴史とはそういうものである。
特に話の流れに関係の無いような筆者に関わる事件は
割愛されるものである。

先を急ごう。
まず、大きなところからいうと、
ユーライトのほうは白地が不自然なほどに白いように見える。
原本の紙が「白い白」なのか
「クリーム系の白」なのか、ということは
経年変化がすすみ黄ばんでしまっているので、
正確なことは分からない。
それにしても、ユーライトの白は
印象として白すぎるというのが一致した意見であった。

▲比べてみる。

▲比べてみる。

そして、色味の部分でも、ユーライトではない、
ニューエイジという紙のほうが、
色味が原本に近いということがわかってきた。

「ニューエイジでいきましょう。」


▲紙の見本帳各種。印刷の見本が刷ってあって、各種の紙が閉じてある物。
 この1枚1枚をデザイナーさんや編集者は
 指先ですりすりとさすり感触をたしかめて
 どの紙にするのかを決めていく。
こうして、紙は決定されたが、話はまだまだ続く。
このまま「ニューエイジ」という紙にに印刷をしてで終わり、
ではないのである。

ここから、色を復刻していく必要があるのだ。
いま出ている色は、約30年分の経年変化までを
スキャンでデータに取り込んでしまっている。
「経年変化=ノイズ」はリマスターでは
ホコリとして払われる必要があるのだ。

さて、どうやって?
(つづく)
2011-04-07-THU
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