2011年3月8日
再校が出る。では、わたくしが。

さて、本日は発売日第二弾!
全国書店(オンライン含む)で、
「さよならペンギン」が販売になる日である。
全国といっても、津々浦々ではないので、
くわしくはこちらをごらんいただき、
さらに、無駄足をふまないためには、
書店に電話をして在庫を確認するのが正解だと思われる。

ぜひ手にとって、これから記述する、
色の復刻についてみていただきたい。
(文体の都合上たいへん偉そうで恐縮である。
 ほんとうは、心はとても腰がひくく
  お願いつかまつっている次第である。)

で、色だ。
前回、印刷をする紙の種類がきまった。
原本の色に近い印刷ができるとおもわれる、
すこしだけクリームがかった紙を本文用紙として選んだ。


▲でてきた色校正用紙をみながら地べたで会議である。

ここで、スキャンしたデータをそのまま印刷するのかといえば、
違うのである。
スキャンしたデータはもちろん、
経年変化をした色の情報もあわせて入っている。
そりゃ、そうだ。
バラしたものをただスキャンしただけなのだから。

我々が目指すは「完全復刻」なのである。
だとしたら、それは発行当時の
1976年当時の色に戻さないといけないのだ。
仮に「さよならペンギン」がビートルズのリマスター版だとすれば、
「経年変化」は「ノイズ」であるからして、
それははらうべき「ホコリ」なのである。

誰が? どうやってやるのか?
それが、今日のトピックの核心である。

この話をしている前日に、
著者のうちの「文字を書くほうの係」の
糸井重里さんは、
「きみたちでおやんなさい。」ということになった。
そして、杉江も同時に湯村さんに問い合わせたところ、
「おまかせ。」という回答を貰っていたのだ。

つまり、いったん「色校を」と著者に投げた玉は、
軽くぱっかーんと「おまかせ」の4文字で
打ち返されてきたのである。
色を復刻するのは、またまた
清水さん、藤井さん、永田の手に委ねられたということになる。

さて、どうするのだ? 3人。


▲いろいろなことを「おまかせ」した瞬間のことである。
 「いいねえ〜〜〜〜〜〜。」という糸井。
 そして、我々は「あとがき」もあわせて糸井に依頼した。

まず、わかっていることが一つある。
復刻の経験があり、印刷の知識が豊富で
それを専門の職業としている人物を我々は一人知っている、
ということである。

永田が口を開く。

「藤井さん、我々は退色した印刷を、
 もとの印刷と同様にするために、
 赤字をいれたことは無いんです。
 どういう傾向で退色していくのか、とか
 紙とインクの発色の兼ね合いとかに関する知識はありません。
 ここは、約30年たって、にごった部分を払う作業、
 つまり、ノイズをとっていく作業は、
 門外漢がすると方向を間違ってしまうように思います。
 専門家におまかせしてもいいでしょうか?」

藤井さん、ここにきてまさかの
全員からの「おまかせ」である。


▲絵本の中身の話ばかりしているが、もちろん表紙周りも
 ちゃくちゃくと進めている。帯の話も待ち構えているのだ。

「ははははははは。
 おっしゃることはごもっともです。
 では、わたくしが。」

結局、現在のところ、凸版藤井さんの一人相撲中です。
自分で解体して、自分で社にもちかえり、
そして自分で色校正をする、という状況になっている。
でも、どうかんがえてもこの場合は、
活躍をしていただかないとどうにも前に進めないのだ。

数日後、清水さんが作った表紙周りのデザインデータがと
藤井さんの赤字が反映された色校正が出てきた。
一部分、その赤字の写真を紹介しよう。


▲ゴミ、キズとりまくりである。
次回、復刻のための色の調整は
どのようにしていったのか、
ということを紹介していこう。
実は、色味の調整だけじゃなくて、
様々な印刷の技がつかわれているのであった。
(もちろん、つづく)
2011-04-08-FRI
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