PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙213 日本のHIV
タイ北部の町と「マリ・クレール」誌



こんにちは。
すっかり間が空いてしまって、すみません。

10月から11月にかけては
海外での仕事が続いて、どこにいても時差に体がなじまず
いつもに増してぼーっと過ごしてしまいました。

11月の出張は、以前ここでもご紹介した
HIVの対策がある程度うまくいっているタイ北部の町
ASEAN諸国の方々を招いて視察をしたり、
話し合ったりする会議のお手伝いをしていました。

日本の厚生労働省がこのようなワークショップを始めてから
もう何年にもなるのですが、
わたしがお手伝いできたのはここ4年ほどです。

HIV対策がうまくいっている開発途上国の一地方を
同じような問題で困っている国の方々と一緒に見て
その問題点を明らかにしたり、
自国にあてはめて解決策を考えてみる、というのが
今年のワークショップの目的でした。

わたしが参加させていただいたこの4年間に、
以前からしつこくお話ししていた
「2005年までに300万人にHIV治療薬を届けよう」という
「3 by 5計画」が始まり、そして終わりました。

ですから今年は、
この「3 by 5計画」がもたらしたものを目の当たりにできる
わたしにとって絶好の機会となりました。

患者さん、病院の職員、地域の人々、宗教家と
さまざまな方々のお話を直接伺い、
またワークショップ参加者といろいろ話をするうちに
わたしは途上国で起きていることと
日本で起きていることは結局同じなのだということを
改めて感じることとなりました。

「3 by 5や国内の医療政策によって
 この地域にも薬が届けられるようになって、
 とてもよかったと思っています。
 でも、結局大切なのは、予防なんです」

タイ北部の町、パヤオの病院で
信じられないほどたくさんの患者さんを一手に引き受けて
診療を続けている医師がおっしゃったこの一言は
おそらく世界中のHIV診療をしている者が
共通して感じていることだと思います。

最近、ほぼ日の連載を読んで興味を持ってくださった方から
「HIVのことについて話しませんか」とか
「HIVを特集したいと思うので、話を聞かせてください」
というような
ありがたい連絡をいただくことがあります。

さまざまな年齢層の方々に
HIVのことを知っていただける、
またとない機会になりますし、
何より「ひとりストップエイズキャンペーン」期間中なので
できるだけお引き受けしています。

そんなひとつに
ファンション誌の「マリ・クレール」がありました。
「マリ・クレール」誌はファッションだけでなく
社会的なトピックも積極的に扱っている雑誌です。
11月22日発売の2007年1月号では
「私たちの愛とセックスを守ろう!」というタイトルで
HIVに関する特集を組むことになったので、
わたしも少しばかりお手伝いをしました。

各界の方々からの言葉やさまざまなキャンペーンの紹介、
日本での現状や患者さんのインタビュー、
そして、「どこで検査が受けられるか、
検査が陽性だったらどうすればよいか」という
具体的な情報など
ファッション誌がこのようながっちりとした
特集を組んだことは
おそらくこれまでないと思いますし、
その厚みのある内容には感銘を受けました。

現在発売中の「マリ・クレール」、もしよろしければ
ぜひ手にとってご覧になってみてください。
ほんのわずかですが、拙書を差し上げる
読者プレゼントも用意しました。

では、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2006-11-24-FRI

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