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── |
去年「フェニックス」をみてきた仲間が、
「花火で泣いた」って言うんです。
それを聞いて最初は、
「え? 花火で?」と思ったんですが、
こうやってお話をうかがっていると‥‥。 |
小泉 |
「花火で泣く?」って思うじゃないですか。
でも、
さすがに涙まではこぼれなかったけれども、
作った側の自分も最初の「フェニックス」では、
ほんとうにそういう感じになりましたよ。
ずーっと花火の仕事をしてきて、
花火を見てあんなに感動したことは
正直なかったです。 |
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── |
そうですか。 |
小泉 |
自分が作った花火が、
きれいに打ち上がってうれしかった
っていう気持ちは何度かあるけれど、
そんなものの比じゃない感動があったわけです。 |
── |
ああー。 |
小泉 |
とりわけ初年度は、もう、
まっさらな状態から挑戦でしたから、
われわれ自身もどうなるかっていうのが
わかんなかったわけです。
花火って、打ち上げて初めて
成果がそこに現れるものなので、
作ってる側ですら上がってみないとわからない。
すごく怖かったんですよ、正直。 |
── |
あれだけの規模ですし。 |
小泉 |
そう。
だから、そういう意味では、
ものすごく自分自身で感動しましたよね。
見たことのないスケールの花火だったし‥‥
すごい、こう、ジーンと(笑)。 |
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── |
はい。 |
小泉 |
ぼくは、打ち上げる瞬間は現場にいないんですよ。
本部にいて点火のタイミングを指示するんです。
無線で点火者に点火の合図を出すんです。 |
── |
なるほど。 |
小泉 |
合図を出した瞬間にもう上がってるんです。
毎回そうなんだけど、
それからあわてて外に出て、
こう、見るんですよね。
見ながら、最後の瞬間には、
もう、「ああ‥‥」とか、
なんて言うんですかね、
ボーっとする感じですよね(笑)。 |
── |
やっぱりその3分間というのは特別で。 |
小泉 |
特別です。
上げるわれわれも、
毎年初めての挑戦があったりするので。
で、見る側も多分そうだと思うんですよ。
「フェニックス」という花火に対しての
特別な思い入れがあると思います。 |
── |
すごいですねえ。 |
小泉 |
すごい。
あんな感激というか‥‥なかったです。 |
── |
やはり震災からの復興ということも、
感動のひとつにまざって。 |
小泉 |
もちろんです。
震災があって「フェニックス」があって、
人々を勇気づけたいとか、
長岡の人たちががんばってることを
全国に発信したいという気持ちだったりとか、
その想いを考えて花火を作ってるわけです。
だから余計に、
花火に自分たちの気持ちが乗っかりますよね。 |
── |
ことしで6回目になりますが、
その瞬間はやっぱり緊張しますか。 |
小泉 |
緊張しますよ。
失敗もありましたから。 |
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── |
そうなんですか。 |
小泉 |
打ち上がるはずのものが
打ち上がらなかったとかね。
ただ、見てるかたたちが
それに気づいたかどうかはわからないですが、
そういうこともありました。 |
── |
練習ができないから。 |
小泉 |
できないです(笑)。 |
── |
雨が降ったらどうするんですか? |
小泉 |
やります。
濡れないようにセットして。
中止や延期は、まずないですね。 |
── |
そうですか。
──それにしても、平原綾香さんの
『Jupiter』がすばらしいですよね。 |
小泉 |
なかなか難しかったです。 |
── |
曲に合わせるのが? |
小泉 |
ええ。
スローな曲なので、
曲の抑揚をこわさないようにするのが
すごく難しかったです。 |
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── |
そうなんですね。 |
小泉 |
花火で抑揚つけることも可能なわけです。
だけど曲のイメージがあるし、
あんまり花火で抑揚をつけすぎちゃうと
ゴチャゴチャしてしまうんです。 |
── |
最初の「フェニックス」から、
花火の構成は変わってるんですか? |
小泉 |
いや、意外とそんなことなくて。
多少の変化とか、挑戦はありますけど、
「やっぱここはこうだよな」みたいな(笑)。 |
── |
なるほど。
あれですね、
日本の花火というのは花火自体が作品であって、
アメリカは演出だと、
先ほどおっしゃっていましたが、
「フェニックス」はその中間のような
花火になっていますよね。 |
小泉 |
そうですね。
全体としての構成をすごく大切にしながら、
ひとつひとつの花火も
作品としてしっかり見られるような、
そういう仕上がりにしてあります。 |
── |
両方あるから、すごいと思います。 |
小泉 |
ありがとうございます。 |
── |
もう、どんどんたのしみになってきました。 |
小泉 |
(笑) |
── |
それで、あの、
今日もお仕事をされてるんですよね。 |
小泉 |
はい、してます。 |
── |
邪魔にならない範囲で、
花火づくりの現場を
見学させていただけますでしょうか。 |
小泉 |
いいですよ。
じゃあ、いきましょうか。 |
※小泉欽一さんの会社、
「新潟煙火工業株式会社」のHPはこちら。 |