糸井 |
旦那さんは、
ケイちゃんのそういうところは?
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増田 |
私の強い部分、主人は知ってます。
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糸井 |
まぁ、こういう人の旦那は
そりゃすごいと思うなぁ。
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増田 |
でも、主人は
三日坊主もできない人ですよ。
体を鍛えると言ってても、
1日で終わっちゃう人です。
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糸井 |
ああ。それはね、
よく言えば広いこころの持ち主です。
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一同 |
(笑)
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増田 |
ですから主人、
こういう奥さんは
苦手なんじゃないかなぁ。
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糸井 |
ケイちゃんはひとつの細い道を
どんどん掘っていく人で、
旦那さんは広いところで
「あそこに何かあるな」と
見る人なんでしょうね。
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増田 |
はい。
プラス思考の、ゆったりとした、
穏やかな人です。
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糸井 |
ケイちゃんは、キリキリした
ドリルのような話をしているんだけど、
楽しそうでもあるんです。
だから、きっと
旦那さんがいい人なんだろうなぁ、って思った。
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増田 |
そうですね。
私はたぶん、結婚して
すごく変わりました。
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糸井 |
うん。
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増田 |
私は自分に完璧を求めるし、
人にも完璧を求めるところがあって
厳しかった。
でも結婚して‥‥
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糸井 |
三日坊主もできない
旦那といることで‥‥
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増田 |
そうそう一日坊主の‥‥(笑)、
変わりました、すごく。
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糸井 |
そういうのって、やっぱり、
与えてもらえるものですね。
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増田 |
あのね、主人は亡くなった父に
すごく似ています。
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糸井 |
ああ。
空いていたピースが
埋まったような気がします。
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増田 |
はい。
だから、結婚して、私は
また生まれ直した感じです。
自分では養女であることを
受け入れてはきたけど、
実はいろんな悲しい思いをしました。
結婚して、
その思いに蓋をしてきたことに
はじめて気がつきました。
ある年の誕生日、12時になって、
スタイリストさんから電話をもらったんです。
「ケイさん、おめでとう」
と言ってくれました。
とっさに「ありがとう」と返したんですが、
そのときに、
最初の「おめでとう」は
主人に言ってほしかったと思いました。
主人は隣の部屋で仕事をしていたので、
ノックして、
「私、今日お誕生日だから
おめでとうって言って」
とお願いして、言ってもらいました。
そしたら突然
うわーっと泣いてしまったんですよ。
自分は何を泣いたんだろう?
そのとき、ちいさかったころのことを
思い出しました。
最初に「おめでとう」と言ってもらいたい人に
「おめでとう」を言ってほしい、
それを抑えていたんだ、ということを。
私はずっと、母に
「おめでとう」と言ってもらいたかったんだ。
そういうことを、
主人と生活してるあいだに
どんどん埋めさせてもらっています。
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糸井 |
よかったね。
ほんとに、よかったですね。
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増田 |
抑えていたことをたくさん思い出すので、
つらいこともあるんですが。
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糸井 |
忘れたままで、
そのままになっちゃうことだって
あったかもしれないですね。
ケイちゃんは
かなりストイックなことを言ってるのに、
しあわせそうだとわかります。
それは旦那さんのおかげもありますよね。
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増田 |
生きててよかったと思います。
実は、23歳ぐらいのときに
結婚するつもりで、解散したんです。
糸井さんがレコーディングのときに
ごらんになったという、あれ‥‥
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糸井 |
電話しに行った、あのとき‥‥!
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増田 |
はい、その人です(笑)。
結婚だけが
解散の理由ではなかったんですが、
その恋愛がなかったら、
もしかしたら解散は
もう少し遅くなっていたのかもしれません。
その結婚がなくなって、
10年ぐらいは立ち直れませんでした。
あの解散は、言うなれば
100人以上のスタッフから
職を奪ったのです。
家族を入れたら300人以上。
自分のしたことの愚かさや過ちに気づいて
すごくつらかったです。
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糸井 |
10年、かかりますか。
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増田 |
10年以上かかったかもしれないです。
そのときに、結婚と仕事は
天秤にかけてはいけないと知りました。
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糸井 |
つまり、ケイちゃん、
気持ちはバツイチなのね。
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増田 |
ああ! そうだ! そうかもしれない。
やな感じ。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
いまの結婚は
仕事とのてんびんじゃなくて
包摂するような感じですね。
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増田 |
はい。
いまの主人は──いまのっていう言い方は
おかしいですけど(笑)──、主人は、
私が結婚しようとしていた人のことも
知っているんです。
もう、結婚する18年ぐらい前からの
知り合いですから、
恋愛相談にも乗ってもらっていました。
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糸井 |
親であり、子どもであり、兄であり、弟であり。
そういう関係は、最高ですよね。
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増田 |
そうです。ほんと、そうです。
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糸井 |
いまのツアーのチケットは
もう完売らしいですね。
思い出じゃないピンク・レディーがいる
ステージですから、
みんな観たくなるのもわかります。
やっぱり、なんかね、ある種の
みんなが作った国宝みたいなもんですよ。
プラスチックや紙でできてたり、
ハリボテだったりするところも含めて
ピンク・レディーは、ある時代の国宝です。
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増田 |
うん‥‥。ありがとうございます。
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糸井 |
それが、まだ観られるし、
もっと進化してるというのは、素敵です。
おもしろい話を
たくさんありがとうございました。
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増田 |
ありがとうございました!
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一同 |
(拍手)
ふたりで「UFO」の
ポーズをしてもらっていいですか。
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増田 |
もちろん。
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糸井 |
手がこう?
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増田 |
自分の頭を山に見立てて、
山からUFOがひょっこり現れる感じ。
みなさんも、やってみますか?
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糸井 |
UFOのポーズは右手ですか、左手ですか。
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増田 |
右手です。
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一同 |
せーの、
「UFO」!
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