2018/08/23
19:24
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経済学の本流とはだいぶ違うんですよね。
経済学はどちらかというと、
理論重視の数学的に美しいモデルを
構築していくことが優先されていたんです。
そういった流れが長く続いた中で、
実際の人間はどういうふうに
行動するのかに着目して
心理実験を踏まえたものが
行動意思決定論という学問なんです」
ああ。たしかに、
合理的な判断をしたと思っても
間違ってしまいますもんね。
「たとえば、新しいアパートに
引っ越した友達に、
どうしてそのアパートを選んだのかを
聞いてみるとしますよね。
家賃や家の広さ、
新しさとか駅の距離とか、
迷う要素がいろいろありますよね。
専門用語で『属性』というのですが、
属性を点数化すればいいじゃないか、
という話にすぐなるわけですよ。
でも、その属性の合計点を
比べてみたところで、
その意思決定が正しいのかというと
きっと納得できませんよね?」
ああ、たしかに。
決めようとしたはずなのに、
悩み続けてしまいます。
「点数化をしようとしても、
属性の点数の決め方もあいまいですから。
あらゆる選択肢がある中で
すべて合理的な選択をするなんて、
無理のある話なんですよね。
こどもの頃によくやっていた
『ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な』
という選び方だって、
決まりそうになったところで
納得いかなければ途中で、
『か・き・の・た・ね』
なんて足してしまうわけですよ。
結局のところ、
直観やフィーリングに頼ってしまう。
じゃあ、直観がダメなのかというと、
じつはそうではありません。
その人の経験に基づいた意思決定が
直観とも言えるので、
あながち馬鹿にできないんです。
直観というものは、
人間の無意識がいろんな要素を
しっかりと考えた結論なわけだから、
意外と信頼できるものなんですよ」