ほぼ日刊イトイ新聞

勉強の夏、ゲームの夏。2018

さあ、今年もはじまります!
ほぼ日がお届けする
夏休みの終わりの風物詩といったら、これ!
勉強とゲームの両立をめざす恒例企画
『勉強の夏、ゲームの夏。2018』!
勉強サイドでは、ほぼ日のまわりにいる
「意外に高学歴な人たち」をお呼びして、
勉強や受験のコツを教えていただきます。
一方、ゲームサイドでは、
乗組員がヤングとアダルトの2チームにわかれ、
本気の「ババ抜き」で真剣勝負! 
しかも、最大4台のビデオカメラを使い、
勝負のかけひきを動画で生中継しちゃいます!
あ、そうそう、毎年恒例のシェフこと、
武井がつくる「静岡おでん」は、
すでにいい感じに煮込まれていましたよ。
夜までずっとたのしくやってますので、
ときどきのぞきに来てくださいね。
それでは今日一日、どうぞよろしくお願いします!

今年のゲームサイドは生中継!

再生ボタンを押すと、
すぐに中継がご覧いただけます。

事前に読者からお寄せいただいた
勉強や宿題についての相談に、
ほぼ日のまわりにいる
「意外に高学歴な人たち」が答えます。
ときどき、おでんの様子も。

ご登場予定の講師のみなさん

新谷陽一さん (東京大学の学生・ほぼ日インターン生)
税所篤快さん(国際教育支援NGO「e-Education」創業者)
山内奏人さん(ワンファイナンシャルCEO)
竹之内祥子さん(okatteにしおぎ)
長瀬勝彦さん(経営学者、首都大学東京教授)

2018/08/23 19:56

成功事例は嘘をつける

shinya.hirano
2018/08/23 19:56

成功事例は嘘をつける

shinya.hirano
長瀬先生は、
なぜ経営の失敗に興味があるんですか。

「ぼくが興味を持っているのは、
 うまくいかないところなんです。
 なぜ調子のよかったはずの企業が、
 どこかで調子を崩して倒産したり。
 自分で意思決定するときにも、
 決めたはずなのにクヨクヨしたり、
 後悔してしまったりするんだろうって。
 『行動意思決定論』という分野は、
 当時はまだ学問として成り立って
 間もない頃だったんですよね。
 それでも英語の論文を読んでみたら
 おもしろいなと思って、
 いつの間にかたどり着いたのが
 行動意思決定論だったんです」

うまくいかないことを
分析できる学問なんですね。

「成功者を語るときに気をつけたいのが、
 たしかに才能があったねとか、
 あの分野で優れていただとか、
 後知恵のようにして
 いくらでも要因を付け加えられます。
 その要因を真似すれば
 誰でも成功できるかというと、
 まぁ無理に決まっているわけですよ。
 『決してくじけなかった』といって
 じぶんも『決してくじけない』と
 マネをしたところで、
 ぼくはビル・ゲイツにはなれません。
 成功物語を読むと心が高揚して、
 私も見習いたいと思うのですが、
 いくらでも付け加えられるんです。
 失敗物語は、数こそ少ないけれど、
 よっぽど得ることが多いと思います。
 企業の経営者の中にも、
 たまたま何かで成功したからといって
 自分の能力を勘違いして
 思い上がってしまう人もいますから」

なにかで成功した人は、
まわりからも才能があるように
見られるんでしょうね。

「人は、いくらでも嘘をつけますから。
 『Dr.HOUSE』という
 アメリカの人気ドラマが
 あるんですけれど、
 偏屈な医者が主人公で、
 不可解な症状で担ぎ込まれた病人の
 病気を推理していくんです。
 この主人公は、
 自分で患者を診ようともしないで、
 部下に指示をして検査をするんです。
 なぜ診ないかというと、
 『患者は嘘をつくからだ』と言う。
 たしかにそれは言えていて、
 症状や生活習慣を正直に言おうとしても、
 どこかで体裁を繕うとしてしまうんです。
 経営者だってあとになってみれば、
 本当はそうでもないのに、
 『歯を食いしばって頑張りました』
 と言えてしまうわけです。
 もちろん正直な人もいますけれど、
 人間の記憶ほど曖昧で、
 融通無碍なものはないんですよね」