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nagata

あのときを収めた本

2019/03/08 16:12
震災にまつわる
しりあがり寿さんのお仕事といえば、
思い出すのは、
朝日新聞夕刊に連載されている
『地球防衛家のヒトビト』のなかで
4コマすべてが瓦礫で埋められた
回があったこと。
起承転結が求められる新聞の4コマ漫画で
台詞も擬音も一切なく、
ただただ瓦礫が続くあの作品は
東日本大震災のことばでは
とても表せない風景と見るものの無力感を
リアルに表現していたと思います。
しりあがり寿さんの震災後の作品は
『あの日からのマンガ』という本に
収録されています。

あれから丸8年が過ぎようとしていますが、
当時、どんなことであれ、
震災について公に何かを発するというのは、
とてもたいへんなことでした。
ほぼ日刊イトイ新聞という
毎日更新するウェブサイトに勤めているぼくは、
記名で何か言う立場ではありませんでしたが、
当時のそういった苦労は憶えているつもりです。
その意味で、あのときにしっかりと冷静に
自分の意見や作品を発表していた人を
いまも尊敬しています。

身内の話になりますが、
糸井重里もそのひとりでした。
糸井の原稿は一年ごとに
「小さいことばシリーズ」という本に
まとめられていますが、
東日本大震災があった2011年の原稿は
『夜は、待っている。』
という本に収録されています。
機会があれば、当時の勇気や決意を
ぜひ、読んでみてください。